2ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ジャンプキャラ・バトルロワイヤル PART.13

1 :作者の都合により名無しです:2006/11/12(日) 01:44:00 ID:6nQ3k5Ed0
このスレは週刊少年ジャンプのキャラクターで所謂バトルロワイアルのパロディをしようという企画スレです。
これはあくまで二次創作企画であり、集英社や各作品の作者等とは一切関係ありません。
それを踏まえて、みんなで盛り上げていきましょう。

※ここはSS投下専用スレになります。感想、議論は下のスレでお願いします。
ジャンプキャラ・バトルロワイアル感想議論スレ PART.26
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1161958721/


2 :作者の都合により名無しです:2006/11/12(日) 01:44:53 ID:6nQ3k5Ed0
2/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子 /●中川圭一 /●大原大次郎
1/4【NARUTO】●うずまきナルト /○春野サクラ /●大蛇丸 /●奈良シカマル
2/4【DEATHNOTE】●夜神月 /○L(竜崎) /○弥海砂 /●火口卿介
1/4【BLEACH】●黒崎一護 /●藍染惣右介 /●更木剣八 /○朽木ルキア
1/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ /●ニコ・ロビン /●ウソップ /●道化のバギー
1/4【銀魂】●坂田銀時 /●神楽 /●沖田総悟 /○志村新八
1/4【いちご100%】●真中淳平 /●西野つかさ /○東城綾 /●北大路さつき
1/4【テニスの王子様】○越前リョーマ /●竜崎桜乃 /●跡部景吾 /●乾貞治
1/4【アイシールド21】●小早川瀬那 /●蛭魔妖一 /○姉崎まもり /●進清十郎
0/4【HUNTER×HUNTER 】●ゴン・フリークス /●ヒソカ /●キルア・ゾルディック /●クロロ・ルシルフル
2/5【武装錬金】●武藤カズキ /○津村斗貴子 /●防人衛(C・ブラボー) /●ルナール・ニコラエフ /○蝶野攻爵(パピヨン)
1/5【SLAM DUNK】●桜木花道 /●流川楓 /●赤木晴子 /●三井寿 /○仙道彰
0/4【北斗の拳】●ケンシロウ /●ラオウ /●アミバ /●リン
0/4【キャプテン翼】●大空翼 /●日向小次郎 /●石崎了 /●若島津健
0/4【キン肉マン】●キン肉スグル /●ウォーズマン /●ラーメンマン /●バッファローマン
2/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー /●エリザベス・ジョースター(リサリサ) /●ブローノ・ブチャラティ
2/4【幽遊白書】●浦飯幽助 /○飛影 /○桑原和馬 /●戸愚呂兄
0/4【遊戯王】●武藤遊戯 /●海馬瀬人 /●城之内克也 /●真崎杏子
1/4【CITY HUNTER】●冴羽リョウ /●伊集院隼人(海坊主) /○槇村香 /●野上冴子
3/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /●マァム /○フレイザード
1/5【魁!!男塾】●剣桃太郎 /●伊達臣人 /●富樫源次 /●江田島平八 /○雷電
1/4【聖闘士星矢】○星矢 /●サガ /●一輝 /●デスマスク
0/4【るろうに剣心】●緋村剣心 /●志々雄真実 /●神谷薫 /●斎藤一
3/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /●クリリン /●ブルマ /●桃白白 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
0/4【封神演義】●太公望 /●蘇妲己 /●竜吉公主 /●趙公明
0/4【地獄先生ぬ〜べ〜】●鵺野鳴介 /●玉藻京介 /●ゆきめ /●稲葉郷子
0/4【BLACK CAT】●トレイン・ハートネット /●イヴ /●スヴェン・ボルフィード /●リンスレット・ウォーカー
1/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】●ダーク・シュナイダー /○アビゲイル /●ガラ /●ティア・ノート・ヨーコ
0/5【ジャングルの王者ターちゃん】●ターちゃん /●ヂェーン /●アナベベ /●ペドロ・カズマイヤー /●エテ吉
2/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /●勝利マン /○友情マン /●世直しマン
0/4【世紀末リーダー伝たけし!】●たけし /●ボンチュー /●ゴン蔵 /●マミー
30/130 (○生存/●死亡)

3 :作者の都合により名無しです:2006/11/12(日) 01:45:28 ID:6nQ3k5Ed0
2/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子
1/4【NARUTO】○春野サクラ
2/4【DEATHNOTE】○L(竜崎) /○弥海砂
1/4【BLEACH】○朽木ルキア
1/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ
1/4【銀魂】○志村新八
1/4【いちご100%】○東城綾
1/4【テニスの王子様】○越前リョーマ
1/4【アイシールド21】○姉崎まもり
2/5【武装錬金】○津村斗貴子 /○蝶野攻爵(パピヨン)
1/5【SLAM DUNK】○仙道彰
2/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー
2/4【幽遊白書】○飛影 /○桑原和馬
1/4【CITY HUNTER】○槇村香
3/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /○フレイザード
1/5【魁!!男塾】○雷電
1/4【聖闘士星矢】○星矢
3/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
1/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】○アビゲイル
2/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /○友情マン
30/130 (○生存)

4 :作者の都合により名無しです:2006/11/12(日) 01:48:03 ID:6nQ3k5Ed0
基本ルール
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/ruru.html
キャラ紹介
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/keijiban/test/read.cgi/jbr/1139394301/2-11
支給品一覧
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/keijiban/test/read.cgi/jbr/1139394301/34-37
制限のある専用武器
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/keijiban/test/read.cgi/jbr/1139394301/38

まとめサイト(地図含む)
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/
まとめサイト(携帯版)
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/keitai/index.html

旧まとめサイト
ttp://jumproyal.exblog.jp/
パロロワ事典wiki
ttp://www11.atwiki.jp/row/

ジャンプロワ雑談チャット2
ttp://chat.mimora.com/common/chat.mpl?roomnum=245041


5 :作者の都合により名無しです:2006/11/12(日) 01:51:11 ID:6nQ3k5Ed0
前スレ
ジャンプキャラ・バトルロワイヤル PART.12
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1158259549/
ジャンプキャラ・バトルロワイヤル PART.11
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1156162539/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.10
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1156162539/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.9
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1152461310/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.8
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1143723647/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.7
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1141575538/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.6
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1139506098/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.5
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1137897651/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.4
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1132239130/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123891185/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1121088002/
ジャンプキャラ主人公&ヒロインバトルロワイアル
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1115216913/
ジャンプキャラ・バトルロワイアルSS投下専用スレ PART.1
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1119971124/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル準備スレ PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1116767239/
ジャンプキャラバトルロワイアル準備スレ PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1117638620

6 :テンプレ:2006/11/12(日) 12:55:03 ID:SHiFhiRs0
ヤムチャvsタカヤの激闘から数百年…
地球では、平穏な日々が続いていた。
ヤムチャの子孫は、今日も平和に暮らしており、超生物TAKAYAの血は、完全に途絶えていた。

しかし、また悪災は起ころうとしている。

ここは、地球の果ての不毛の地。
一人の科学者、ジョナサン・ジョーンズの手には一つのビーカーが握られていた。
それは、忌まわしき輪廻の血。

「ふはははははは…蘇るのだ!!!!
 タカヤの魂は、まだ死んではいないぃぃ!!!」

大地が、かすかに光った。
 


7 :テンプレ:2006/11/12(日) 12:56:27 ID:SHiFhiRs0
ここは、ニューヨークの繁華街。

そこに、一人の青年がいた。
彼の名は、ヤムチャ。
正確にいうとヤムチャ3世。
100年前、タカヤとの激闘で戦死した初代ヤムチャの子孫だ。

あの闘いの後、彼は一人の子を残した。
それは、ブルマのお腹に宿った隠し子だ。
産み落とされたヤムチャ2世は、悟飯とビーデルの子、パンと恋に落ちた。
そして、二人は一人の子を授かることとなる。

それが、この物語の主人公3代目ヤムチャなのだ。


代々、ヤムチャ一族には、首筋にアザを持っている。
それは、タカヤの闘いでできた、後遺症。
きれいに、狼の形を象っている。

「傷が疼くな…」

それは、新たなる闘いの予感か。




8 :テンプレ:2006/11/12(日) 12:57:45 ID:SHiFhiRs0
―サハラ砂漠エリアB24地点―

ピー ピー

「はい。例の化石、見つかりました。
 今すぐ、そちらに送ります」

発掘されたのは、人のような形をした化石。
というよりか、それは化石と一体化していた。

9 :テンプレ:2006/11/12(日) 12:58:36 ID:SHiFhiRs0
ここは、日本軍、東京基地。
何人かの兵士が、先ほど送られてきた化石を解剖していた。

「なにか、分かったことは?」
「はい、こいつの名はカイン。1000年ほど前に実在した人物です」
「で、例の刻印については?」

この化石の左肩下部から、妙な文字が刻まれていたのだ。

『KIYU』と。

そこへ、一人の男が入ってきた。
100年前に行なわれたバトルロワイアルの優勝者にして、
この日本に、自分の私兵軍を創った人物。
化石の捜索も、彼が命令してのだ。

男の名は、仙道彰。



10 :テンプレ:2006/11/12(日) 12:59:47 ID:SHiFhiRs0
あれは、100年前のことだった。

―バトルロワイアル―
仙道も参加者の一人だった。
当初は、脱出派に属しており、主催者の居場所も突き止め、いざ最終決戦という所だったのだが…
仙道の頭に一つの疑惑がよぎる。

「本当に、フリーザ達に勝てるのか?」

仙道の結論は、NO。
結果として、脱出派の仲間達を裏切り殺してしまった。
そして最期の一人になり、晴れてこのゲームの優勝者となった訳だ。

それから、俺は主催者達の元へ赴き、褒美ももらった。
余談だが、ある人物を生き返らせてもらった。

その後、おれは魔物に転生し、バーンの部下となった。
強くなりたかった、ただそれだけで。

100年の後、おれは『タカヤ』とう超生物がいたことを思い出した。
そいつが再び活動を始めようとすることも、予感で感じた。

そして、仙道は人間界に戻り、今に至る。


その頃、ヤムチャも仙道達の下へ向かっていた。
「タカヤの野郎…今度こそぶっ殺してやるぜ!!!」



11 :テンプレ:2006/11/12(日) 20:13:17 ID:YBwruKVs0
仙道の私兵軍は、目の前にある人間の形をした化石を丹念に調べる。
やはり、これは…

ピキ
突然、化石にわずかにひびが入る。

バキキキキキキキキ……
禍々しいオーラを射出しながら、それは、だんだん人間の姿を形成して行く。
『カイン』と名づけられた、その人間は激しく吼えた。

「UKIKIRYYYYYYYYYY!!!!!
 タカヤ様は、どこだぁぁぁぁぁーっ!!!」




12 :テンプレ:2006/11/12(日) 20:14:51 ID:YBwruKVs0
「やはり、タカヤの部下か!!
 行け!! ミヤギ! ハセガワ! ウオズミ!」
仙道の命令で、部下達が一斉にカインに襲い掛かる。

しかし…
カインの眼光が、部下達に焦点を合わせる、
ただそれだけで部下達は、みじん切りされたネギのように粉々になった。

そして次にカインが、仙道に照準を合わせようとした時だった。

バタン、とドアが開かれた。
その奥から、ヤムチャが姿を現した。

13 :テンプレ:2006/11/12(日) 20:16:22 ID:YBwruKVs0
突然現れたヤムチャは、カインの方へ向かっていく。
「久しぶりだなッ!!小僧ぅぅ!!毎度毎度、俺の研究を邪魔しおってぇぇ!!」
仙道は、面識があるのか、ヤムチャに向かって怒りを露にする」
ヤムチャはそんな仙道を無視し、カインの前に立ちふさがる。

「てめぇが、タカヤの部下って奴か。3秒で片付けてやる」

ビュン!!!

ヤムチャは、一瞬でカインを肉縛した。
カインも必死に抵抗する。
「ほう、やるじゃねぇか、俺の予告時間を全て使い切らせたのはお前が始めてだ」
ヤムチャは、少し間合いを取る。

「てめぇみたいな雑魚に、この能力を使うはめになるとはな」
ヤムチャの左肩のアザが、怪しく光る。

ジュドーン!!! ジュパッ!!!!
ヤムチャの片から、何かが具現化していく。

「閃け!!!! 狼嵐―ウルフハリケーン―」
それは、一瞬でカインを激しく食した。


その光景を見ていた仙道は、中指を真正面に突き立て驚愕する。
「あ、あれは ブ ラ ン ド ッ!!!ま、まさか…
 奴も使えるのかッ!!!?」


14 :作者の都合により名無しです:2006/11/12(日) 22:53:52 ID:2RXHnqO/0
DIO「ブランド-ですが何か」
仙道「仙道波紋疾走」


【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険 死亡確認】
【残り29人】



15 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/12(日) 23:58:49 ID:C+KCt97N0
「ふははははは〜! 我こそはピッコロ大魔王! 愚かで貧弱な人間共よ、貴様等全員この私が支配してくれるわッ!!」
「お〜っと、そうはいかねーぜ! てめえの野望は、この正義超人バッファローマンが打ち砕く!」
「ふん、笑わせるな牛風情が――爆力魔破!」
「ウギャアアアア!! キン肉マーン!!!」
「馬鹿者め。下等生物の分際で大魔王に逆らうからこうなるのだ」
「よくもやってくれたなピッコロ! もう許しちゃおけねぇ、バッファローマンの仇は、このボンチュー様が取ってやるぜ!」
「誰が来ようと同じことよ! 大魔王の前では、百万の軍勢とて蟻の大群と変わりなしッ――爆力魔破!」
「ウギャアアアア!! ルキアーーー!!!」
「思い知ったか愚民共がッ! もう貴様等に抵抗する術は残っておらん! 世界は全て、このピッコロの手中よ!」
「待ちやがれピッコロ! まだオラが残ってるぞ!」
「ぬ!? 現れおったな孫悟空! だが今の私にかかれば、貴様もただの羽虫同然よ――前世の実ィィィ!!」
「なっ、ピッコロの身体が若返っちまった!?」
「これがピッコロ大魔王の真の姿よ! 喰らえ―― 爆 力 魔 破 ! 」
「そ、そんな〜ッ! チクショーッ!」
「クックック――ついに、ついに孫悟空をも倒したぞ! 今度こそ、大魔王の力が最強であることが証明された!
 唱えよ! この世の君臨者が誰か! 王の座に着く者が誰か!
 他でもない、このピッコロ大魔王様こそが頂点よッ!!」


 ・
 ・
 ・
 ・
 ・



16 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/12(日) 23:59:47 ID:C+KCt97N0
 その男の前に、立ち塞がる障壁はなかった。
 その男の瞳に、喧嘩を売る存在はなかった。
 その男の姿に、恐怖で震えて死ぬ者がいた。

 圧倒的。その二つ名に偽りなしの、あまりに圧倒的な戦力。
 暴君、ピッコロ大魔王。
 彼が猛威を振るった道には、血の跡も残らず。
 あるのは、敗れ去った弱者共の無念のみ。

「――どうやら、やっと汽車が到着したようだ」

 数分前に聴いた第六放送の内容にも、別段興味は示さなかった。
 誰が死んだ?――関係ない。ピッコロが成すべきことは、虐殺。
 孫悟空に恨みを晴らすのは当然として、それ以外の者を皆殺しにするという目的にはなんら問題ない。
 ようは、残り何人か。あと何人殺せばいいのか。それさえ分かればあとはどうでもいい。
 ここ、秋田県に位置する駅で汽車を待ち続けたのも、新たな地に赴き参加者を減らすため。

「もたもたするなフレイザード。汽車に乗り込むぞ」
「……おお」

 傍らに、炎と氷を身に宿した魔人――フレイザードを従え、大魔王は威風堂々戦地へと赴く。
 これから起こり得るであろう激戦を思っても、恐怖はない。
 どんな未知の強敵に出会えるのだろうか、という期待感もない。
 臆病者でも戦闘狂でもなく、ただ事務的に殺しを働く。
 それこそが、大魔王の所業。歯向かう者、邪魔な存在を片っ端から殺していくという、完璧なる悪魔の所業だった。

17 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:00:47 ID:wzaZezSk0
 ピッコロとフレイザード。二人の悪魔が、南へと向かう下り列車に乗り込む。 

「おいおい、こりゃあ……」
「気づいたか? フレイザード」

 異変を気づいたのは、すぐ、だった。

「微かだが、血の臭いが蔓延している。それに、車両の各所に斬撃の痕跡も見られるな。
 どうやら、この汽車内で何者かが戦闘を行ったようだ」

 床に落ちていたスナイパーライフルをひょいと摘み上げながら、ピッコロが車内の様子を分析する。
 乗り込んだ汽車内部は無人、不気味なほどの静けさに包まれていたが、戦の臭いに敏感な二人の強者はすぐに気づいた。
 残された血痕と臭い、不自然な破壊の跡と取り残された武器から、ここで繰り広げられたバトルの規模の大きさに。

「まだ何者かが潜んでいるとも限らん。フレイザード、お前は後部車両の方を偵察してこい。私は先頭車両の方を見てくる」

 ピッコロが仮初の相棒に指示を出し、了解を得る間もなくずかずかと先頭車両に向かっていく。
 フレイザードを同盟ではなく、手下か何かとしか見ていないような、唯我独尊の姿勢。
 さすがは自称大魔王というところか、反吐が出るほどの自己中心っぷりだった。

「…………ケッ」

 ピッコロの姿が見えなくなってから、フレイザードは不満の声を漏らす。
 現状の体力も考慮して、自身の力が今のピッコロに劣っているということは認める。
 しかし、このままデカイ面をされて大人しく従っているほど、フレイザードは出来た魔物ではない。
 いつかは出し抜く、いつかは殺す。この目的は、同盟結成後から全く変わらない。

18 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:01:35 ID:wzaZezSk0
 ピッコロの命令通り、汽車の後部車両を練り歩くフレイザードは、そこで一際大きな血痕を見つけた。
 床と座席に飛び散ったそう古くはない鮮血の跡は、志々雄真実が青雲剣で放った渾身の片手平刺突――それを受けた、キン肉マンのものである。
 その事実を知らない、知る必要もないと思っていたフレイザードは、血痕には大した興味を示さず、片隅に落ちていた異物に目を留めた。

 僅かに残った血溜りに純白の姿を濡らし、赤く染まったそれは、キーホルダーのような留め金具によって固定された鳥の羽。
 一見してみれば装飾具としか取れない一品――これがフレイザードの住む世界の特産物でなければ、気にも留めなかったことだろう。

「これは……キメラの翼じゃねぇかァッ!」

 血溜まりから羽の装飾具をひょいと摘み上げ、歓喜するフレイザード。
 その喜びも、キメラの翼と呼ばれた物体の効力を知っての上である。

 キメラの翼。
 キメラという魔物から採取した羽に魔力を封じ込め、移動用のアイテムとしたもの。
 ひとたび放れば、使用者の記憶している(実際に行ったことのある)地に一瞬で移動できる。
 ルーラの使えない者でも簡単に長距離を移動できることから、人間の冒険者の間では割とポピュラーなアイテムとされていた。

 たかが移動用のアイテム、殺傷能力もなければ、身を守る盾にもならない。
 戦闘においてはまるで役に立たないアイテムだったが、絶対勝利を信条とするフレイザードにとって、この羽が持つ効力は十分に魅力的だった。
 何しろ、キメラの翼を使えば戦闘中であろうと瞬時に移動することが出来るのだ。
 例えば敵との戦闘で窮地に立たされた時。
 戦い自体ではなく勝利を好むフレイザードとしては、見え見えの負け戦などはしたくない。
 どうしても回避できない戦いに巻き込まれた時――キメラの翼を放れば、自分だけは容易に撤退できるわけだ。

 それどころか、今ここでこれを使えば、気づかれない内にピッコロとオサラバできる。
 万全ではない現状の身体を思えば、ピッコロは目の上のたんこぶでしかない。
 が、それ故利用価値もある。今すぐにキメラの翼を使うのは、あまりに浅はかか。

「いや待てよ……このゲームのルールを利用すれば、キメラの翼をもっと有効的に活用できるんじゃねーか? 例えば……」



19 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:04:02 ID:wzaZezSk0
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

「ピッコロさん! ピッコロさん!」
「なんだいフレイザードくん?」
「見てよこれ! 汽車の後ろの方でこんなものを見つけたよ!」
「ん? なんだいこれは、鳥の羽じゃないか。さてはフレイザードくん、サボって焼き鳥でも食べていたんじゃないだろうね?」
「違うよピッコロさん! これはキメラの翼といって、どこでも好きなところにワープできる、素敵アイテムなんだよ!」
「なんだって! それは本当なのかい!?」
「本当だよ! なんだったら試しに使ってみるといいよ」
「ふむ。でもワープといっても、いったいどこに行けばいいのかな?」
「ほら、この日本の一番北に、北海道っていう島があるだろう? あそこは雪景色が綺麗だから、試しにあそこに飛んでみるといいよ」
「ほう、それはいいことを聴いたぞ。では試しに使ってみようじゃないか。それッ!」

 ぱひゅーん

「おお、さっきまで汽車の中にいたのに、気がつけば辺り一面雪景色だ! 本当に北海道まで移動できたんだ!」

 ぴぴぴ

「ん、何だ? 変な音が聴こえる……」

 ぴぴぴぴぴぴ

「徐々に大きくなっている……こ、この音は首輪から――」

 ぼんっ

【ピッコロ@ドラゴンボール 死亡確認】

20 :作者の都合により名無しです:2006/11/13(月) 00:04:20 ID:/h7bnE18O
ちんこ

21 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:05:21 ID:wzaZezSk0


 ・
 ・
 ・
 ・
 ・


「……なんてのは無理、か」

 一瞬考え付いた素敵な妙案を頭で払いつつ、フレイザードはキメラの翼をデイパックにしまい込んだ。
 活用法については、これからじっくり考えていけばいい。
 ピッコロに使わせ、どうにか禁止エリアに飛ばさせるという手も悪くはないが……用心深いピッコロが、簡単に引っかかってくれるわけはないだろう。

「フレイザードよ、後ろの方はどうだった?」
「ああ、特に何もなかったぜ」

 汽車中央部で何気なく合流を済ませたフレイザードの腹の内では、ピッコロを出し抜くための作戦会議がめまぐるしく展開されている。
 この汽車が向かう南への道中、或いはピッコロに一泡吹かせるチャンスも廻ってくるかもしれない。
 その時を思い、炎と氷の魔物はひたすらに考えるのだ。
 勝利の栄光を、掴む術を。


 ・
 ・
 ・
 ・
 ・



22 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:06:30 ID:wzaZezSk0
「俺様の名前は、キャプテン・ウソップ! 世界の海をまたにかける、世が認めし大海賊だァァ!!」
「俺の名前はモンキー・D・ルフィ! ウソップ船長の一番の子分だァァ!!」
「こらこらルフィくん。ウソップ船長ではなく、キャプテン・ウソップだ。言ってごらん、キャプテェ〜ン・ウソォ〜ップ」
「キャプテ〜ン・ウソォ〜ップ」
「違う違う。『テ』のニュアンスはもうちょっと間延びした感じでだな……」
「キャプテェ〜ン・ウソォ〜ップ」
「そうそう。やれば出来るじゃないかルフィくん。さすがはこのキャプテン・ウソップの一番の子分……む? どうやら敵が来たようだ」
「よう。俺の名前は志々雄真実。お前が世に聞く大海賊、キャプテン・ウソップか。俺の国盗り成就のため、お前の命を頂くぜ」
「ふふん。また今日も、恐れ知らずな愚か者が散っていくか……だがこのキャプテン・ウソップを相手にするというのであれば、その前に我が一億人の子分達を……」
「そいつ等なら、もう始末しておいたぜ」
「ぬ、ぬわぁにぃ〜〜〜っ!!? くっ、致し方ない! ならばこのキャプテン・ウソップが、直々に相手をしてや……」
「終の秘剣 火産霊神」
「ぐぎゃあああああッ!!?」
「きゃ、キャプテン・ウソップゥゥゥ!!?」
「ふん、恐れるに足らずだな、キャプテン・ウソップ」
「ぐっ……馬鹿な、このキャプテン・ウソップ様が、こんなところで死ぬとは……」
「キャプテン・ウソップ! 死んじゃ駄目だ!」
「泣くなルフィくん。君もこのキャプテン・ウソップの子分であるというのなら……立派に生きて、立派に死んでみろ」
「う、ウソップ……」
「キャプテン・ウソップだ。私が死んでも、ウソップ海賊団にはまだ君がいる……私も、安心して逝けるというものだ……」
「う、うう……分かったよキャプテン・ウソップ。俺はもう泣かねぇ。
 オレ、きっとキャプテンみたいな立派な船長になって……いつか、キャプテン・ルフィって呼ばれるくらいの海賊王になってやるよ!
 だから……もう泣かねぇッ!!!」


 ・
 ・
 ・
 ・
 ・



23 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:07:04 ID:wzaZezSk0
 時は遡り、放送直前。
 さいたま新都心駅にて悲運な遭遇をしてしまったルフィは、汽車内からウソップの死体を降ろし、近場に埋葬してやった。
 その間、傍観者であった飛刀からウソップの勇士その他諸々を聴き、ルフィは新たな決意を固めるようになったのだ。
 悲しんでいる暇はない、と。前を向こう、と。

 エテ吉、バッファローマン、世直しマン、スヴェン、イヴ、ロビン、そしてウソップ。
 死んでしまった仲間は数多く、その悲しみも計り知れない。
 だが、いつまでも悲しんではいられない。
 仲間の死を乗り越え、仲間の死を背負って生きていかなければならない――ルフィはまだ、生きているのだから。

――なあ、ルフィの旦那。これからいったいどうするつもりなんだい?

 ルフィを新たな主人と見定めた飛刀が尋ねる。

「ウソップの仲間だっていう、そのポップとかパピヨンってやつ等に会ってみてぇ。おまえはどうしたいんだ?」
――おれは、Lって奴にキン肉マンの戦いの結果を知らせてやりてぇ。どっちが勝ったのか、なんてまだ分かっちゃいねぇけどよ……

 ルフィの一時の乗車に反応がなかったことから見て、やはりあの時は既に、ウソップ以外の乗客はいなかったようだった。
 いつの間にか消えてしまったキン肉マンと志々雄。
 その決闘の行く末を最後まで見届けられなかったのは悔しいが、結果はもうすぐ、放送という形で知ることが出来る。

『――ご機嫌いかがですかな、皆さん。今回の放送は私、フリーザが担当します。』

 噂をすればなんとやら。
 訪れた六回目の放送に、ルフィは息を呑む。
 この放送は、参加者の脳に直接語りかける形で行われている。
 故に、参加者ではなく支給品として存在している飛刀は、この放送を実際に聴くことはできない。
 ルフィから、詳細を聴くしか術はないのだ。

24 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:07:49 ID:wzaZezSk0
「……キン肉マンに志々雄って奴は、どっちも死んだってよ」
――そうか……。

 大体放送が終了した頃、ルフィは静かに、放送で告げられた死者の名を口にした。
 それを聞いた飛刀は、間接的だがついに決闘の結果を知ることになったのだ。
 キン肉マンVS志々雄真実――結果は、相打ちだったのだと。

「それに、ウォンチューとツバサとブチャラティも死んでた」

 キン肉マンと志々雄の死亡を告げた後、ルフィはさらに三人の名を口にした。
 飛刀にしてみれば、どれも聞いたことのない名前ばかりだったが、彼等とルフィがどのような関係にあったのかは、その様子から十分に察することができる。
 怒りを奥底に溜め、ギリッと奥歯を噛み締める仕草――耐えているのだ。
 ルフィは、悲しみを心中に閉じ込め怒りに変換することで、過酷な運命に必死に立ち向かおうとしている。

「でも、まだルギアは生きてる。……そういや、東京タワーってとこで合流するはずだったんだよな。早く行ってやらねぇと」

 助け合うべき仲間は、まだ残っている。
 もう失わないため、仲間と共に生き続けるため、ルフィは悲しみを封じ込めて前を向く。
 
 腰には飛刀、背には新しく仲間に加わるであろう、頼もしい男を連れて。


 ・
 ・
 ・
 ・
 ・



25 :ちんこ:2006/11/13(月) 00:08:43 ID:/h7bnE18O
ちんこ

26 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:09:29 ID:wzaZezSk0
「ふははははは〜! 愚かな人間共よ! 貴様等全員、この宇宙最強種族であるカカロット様が殲滅してくれるわ!!」
「宇宙最強種族だと? ふん、笑わせるな。真の最強とは、この天才バスケットマン・桜木花道のことを言うのだ。見よ! この豪快なダンクシュートを……」
「か、め、は、め、波ァァァ―――ッ!!」
「な、なに……この天才が――ぐあああああああっ!!?」
「このヤロウッ! よくも桜木をやってくれたな! テメーはこの日向小次郎様のタイガーショットで粉微塵に……」
「か、め、は、め、波ァァァ―――ッ!!」
「な!? ぐがあああああああああああっ!!?」
「ふん、下等生物共が。地球人の分際で、高等なサイヤ人に歯向かうからこうなるのだ」
「おっと前座の出番は終わりだぜ。地球人が本当に下等かどうか、この男塾一号生・伊達臣人が見せてやる」
「ほう、貴様は雑魚二人とは違うようだ」
「当たり前だ――喰らえ、覇極流奥義千峰塵ッ!!」
「攻撃の速度がノロいわっ! か、め、は、め、波ァァァ―――ッ!!」
「ご、ごばあああああああああああっ!!?」
「ふん、やはり貴様も他の地球人となんら変わりない、雑魚生物だったようだな」
(やめろおぉぉぉ! オラは、オラはそんなことしたくねぇ!!)
「――黙っていろ地球育ち。この身体は、俺の身体だ。貴様の出る幕はない」
「違う! その身体は、悟空の身体だ!」
(! ルフィ!)
「性懲りもなく、また地球人が威勢を張ってきたか。そんなにこの俺に殺されたいか?」
「うるせぇ! おめぇは邪魔なんだよ! さっさと悟空の身体から出て行きやがれッ!」
「誰が出て行くか! この身体は元々俺の身体なんだよォッ! か、め、は、め……」
「うおおおおおおおおおおお! ゴムゴムの――――バズーカァァァァァァッ!!!」
「な……そんな――究極の戦闘民族であるサイヤ人が、こんな下等生物にィィィ!!?」
「目を覚ませ、ゴクウゥゥゥゥゥ!!!」


 ・
 ・
 ・
 ・
 ・


27 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:11:46 ID:wzaZezSk0

(クリ、リン……? 違う……この声は、ル、フィ……?)

 ルフィに背負われながら、己の精神を取り戻した孫悟空は、未だ眠りの中にいた。
 だが、覚醒の時はそう遠くない。
 彼が目覚めた時、隣には誰がいるのか。
 それは、志を同じくした仲間であって欲しい……。
 サイヤ人の血は、地球で築いた仲間達との絆によって清められた。
 地球人を殺すのではなく、地球人を守るため。
 目覚めた後も、孫悟空は戦い続けるのだろう。



【埼玉県/さいたま新都心駅周辺/日中】

【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
[状態]:両腕を初め、全身数箇所に火傷。疲労・ダメージ大。少し空腹。
   :ギア・2(セカンド)を習得
[装備]:飛刀@封神演義
[道具]:荷物一式×2 (片方は食料なし、もう片方は食料・水、残り3/4)
   :賢者のアクアマリン@ハンター×ハンター、いびつなパチンコ(特製チクチク星×5、石数個)、大量の輪ゴム
   :ボロいスカーフ×2、死者への往復葉書@ハンター×ハンター(カード化解除。残り八枚)、参號夷腕坊@るろうに剣心
[思考]1:ルキアと合流する為に東京タワーへ。
   2:ルキアと合流後、ポップ、パピヨン、Lと接触するため大阪に向かう。
   3:"仲間"を守る為に強くなる。
   4:"仲間"とともに生き残る。
   5:仲間を探す

28 :四重奏(カルテット) ◆kOZX7S8gY. :2006/11/13(月) 00:13:08 ID:wzaZezSk0
【孫悟空@ドラゴンボール】
[状態]:顎骨を負傷。出血多量。各部位裂傷
   :疲労・ダメージ大。空腹でまともに動けない
[装備]:サイヤ人用硬質ラバー製戦闘ジャケット@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式(食料無し、水残り半分) 、ボールペン数本、禁鞭@封神演義
[思考]1:気絶中
   2:不明

【秋田県/汽車内/日中】

【フレイザード@ダイの大冒険】
[状態]:体力、負傷共に全快時の4割ほどまで回復、氷炎合成技術を実戦経験不足ながらも習得
   :核鉄による常時ヒーリング。
[装備]:霧露乾坤網@封神演義 :火竜ヒョウ@封神演義 :核鉄LXI@武装練金
   :パンツァーファウスト(100mm弾×1)@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式、キメラの翼@ダイの大冒険
[思考]1:キメラの翼の活用法を考える。
   2:ピッコロを、ダイの元へけしかける。
   3:氷炎同時攻撃を完全に習得する。
   4:残り人数が10人以下になったら同盟解除(だが隙あらば・・・?)
   5:優勝してバーン様から勝利の栄光を。

【ピッコロ@ドラゴンボール】
[状態]ほぼ健康
[道具]:荷物一式 、前世の実@幽遊白書、スナイパーライフル(残弾15発)
[思考]1:機関車でミニ日本中央部へ向かう。
   2:悟空他、参加者皆殺し。
   3:フレイザードを利用。
   4:残り人数が10人以下になったら同盟解除(今の所、フレイザードを闇討ちするつもりはないようだ)
   5:主催者を殺す。

※ウソップの死体は埋葬しました。

29 :作者の都合により名無しです:2006/11/13(月) 00:14:48 ID:/h7bnE18O
【ピッコロ@ドラゴンボール 死亡確認】
残り29人

30 :作者の都合により名無しです:2006/11/16(木) 18:53:44 ID:faKdrM/LO
30GET

31 :カーニバル  ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 14:14:40 ID:/5/JqJN/0
イライラする。
体中が血と汗でベトベトだ。
シャワーを浴びたい。でもどの蛇口を捻っても、水は一滴も出てこない。
雨で体を洗うにも、もうずいぶん小降りになってしまった。
さっきまで厭味なほど降っていたのに。
本当にイライラする。

何も考えないとイライラする。だから何かを考えようとする。

最初に思いつくのは、月のこと。
月はもう何時間も前に、主催者のジジイに「死んだ」と放送されてしまった。
でも、そんなの有り得ない。
セナ君は月が死んだなんて酷い嘘を私に言った。
そのセナ君もどうやら死んじゃったみたい。いい気味だ。
あの月が、キラが、私の神様がそんなに簡単に死んじゃうワケがない。
きっと何かの間違いに決まってる。
Lは、月が首輪を解除したって言っていた。
私もそうだと思う。だって月は天才だもの。
でも、それじゃあどうやって首輪を外したんだろう?


セーラー服の女の子が言っていた。
月は死んで、遺体は自分が埋めたって。
これもきっと何かの間違いだ。
あの女の人が何か勘違いをしているんだ。
月が死んで、もういないなんて、有り得ない。

でも、もしも……



32 :カーニバル  ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 14:15:54 ID:/5/JqJN/0
主催者の怪人が言っていた。セーラー服の女の子も言っていた。
死んだ人を生き返らせることが出来るって。
なら、私が月を生き返らせればいいんだ。
月が無事で、死んでないなら意味無いけれど、
それで月が生きてるって確認できるなら十分だ。

でも……レムも、リュークも言っていた。
死んだ者は生き返らない。
死んだら、その後に残るのは、無。
天国も地獄も無いんだって。
それじゃあ、月は……?

嘘だ。
嘘だ嘘だ。みんな嘘をついているんだ。
主催者の化け物たちも、セーラー服の女の子も、Lも、セナ君も、レムも、リュークも、
みんなみんな嘘をついてるんだ。
月はまだ生きてる。きっとそうに決まってる。
でも……

何度も同じことが頭の中をぐるぐると回っている。
イライラする。何かを考えていてもイライラする。
だから、もう何も考えないで、歩く。ひたすら歩く。

そうだ、今から出会った人を、全部殺していけばいいんだ。
そうすれば月の敵も討てるし、最後の一人になれば月を生き返らせて貰えるかもしれない。
あ、いけない、間違った。月は生きてるんだった。

それより何より、こんなにイライラするんだから、誰かに八つ当たりでもしないとやってけない。
誰か殺してやりたい……



33 :作者の都合により名無しです:2006/11/19(日) 14:16:25 ID:6kSb7vHfO
生中継で支援

34 :カーニバル  ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 14:16:28 ID:/5/JqJN/0
大阪駅に戻ってL達を殺そうか?
いや、やっぱりダメ。あいつら3人だし、今はなんとなくLに会いたくない。
難しいこと言って「貴方は間違っている!」とか言うに決まってるんだ。
今はLと話したくない。Lのいないところに行こう。

名古屋の方はあんまり知らないし、京都には怖い奴が居たし……
何度か行ったことのある、神戸の方に行ってみよう。
そこで、強そうな人にあったら逃げよう。
殺せそうな人にあったら殺そう。

そうしよう。


あぁ、月に会いたいなぁ。
月、月、ライト、ライト、らいと、らいと、Light、Light、
ライトぉ……



35 :カーニバル  ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 14:17:30 ID:/5/JqJN/0
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 
月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと 
Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト
 らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 月 ライト らいと Light 

36 :カーニバル  ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 14:21:35 ID:/5/JqJN/0
【大阪府/日中】
【弥海砂@DEATHNOTE】
 [状態]:軽度の疲労、精神崩壊、衣服が血に塗れている
 [装備]:魔槍@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式×3(一食分消費)
 [思考]1:会った人を殺す。
    2:強い人に会ったら、逃げるか演技で取り入って、後で殺す。
    3:ドラゴンボールで月を生き返らせてもらう。
    4:自分が優勝し、主催者に月を生き返らせてもらう。
    5:友情マンを殺し、月の仇を取る。
    6:ピッコロを優勝させる。


37 :ハイブリッド・レインボウ 1 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:30:22 ID:/5/JqJN/0
俺達が駅の外に出たときには、雨はもう随分小降りになっていた。
これなら少しぐらい濡れたって気にならない。
寧ろ、腫れた顔にはちょうど良い塩梅だ。
殴られたところがひりひり痛む。口の中の傷口もやたらと沁みる。
――肉弾戦なんてガラじゃねえんだけどな、本当は。



あの後は、悲惨だった。
Lの連れの少年は、治療しようにも既に事切れていた。
パピヨンの方は案外しぶとかったものの、意識が回復しなかった。
Lのもう一人の連れの女の子は、何処を探しても見つからなかった。
だから仕方なく、パピヨンの応急処置をし、少年を近くの公園に埋葬した後で、
パピヨンを背負って駅にキン肉マンとウソップを迎えに行った。

2人は、列車に乗ってはいなかった。志々雄もいなかった。
「恐らくふたり彼らに、少なくともキン肉マンの身には何かがあったのでしょう」
Lは、冷静にそう言ってのけた。



38 :ハイブリッド・レインボウ 2 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:30:56 ID:/5/JqJN/0
「ところでポップさん、この後の予定が無いのでしたら、この電車に乗って少し移動しませんか? 行きたい場所があるんです」
Lには全くと言っていいほど動揺が見られない。俺と違って。
「ポップさん、我々は手負いの上に、接近戦に適した仲間を失いました。
 貴方の話からすると、貴方も彼――パピヨンも距離をとった戦法を得意とするようです。
 ですので、地の利のある場所に移動し、体勢を整えた上で次の行動に移るべきだと思います」
今しがた人が一人死んだっていうのに。
その上、さらにお互いの仲間に何かがあったってのに、コイツは無神経というか冷血というか……
「待てよ。筋肉マンたちが歩きでここに向かってるかも知れねえだろ?少しぐらい待ってやっても」
「それでしたら駅の掲示板に『暫くしたら戻る』と伝言を残して置きましたから大丈夫でしょう」
「……このタイミングでそんなに急いで移動したいのかよ?」
「ええ、まあ」
Lが俺の目を見る。真面目な目だ。意思の光が輝く。
「解ったよ」
どうやら、何か考えてやがる。
人間としては微妙な奴だが、Lの思考力には俺でも舌を巻いてしまう。それに、一応は悪い奴では無いようだ。
だだ、Lは自分の考えに絶対の自信を持っていて、周りの思案を超えたところで思考を奔らせている。
それに取り残された奴は、きっとLのことを良くは思わないだろう。
良くて嫉妬。悪ければ理解不能の変人扱いってところが関の山か。
Lなりに他の奴に歩み寄ってる所はあるんだろうけど、如何せん距離が遠すぎる。
要は、不器用な奴なんだ。
仕方ねえ。俺ぐらいは付き合ってやらねえとな。


気絶したままのパピヨンを背負い、列車に乗り込む。
するとそれを待っていたかのように列車の扉が閉まり、列車はゆっくりと動き出した。
Lは先に乗り込んでいて、座席の上でまたあの三角座りをしている。
俺は横の席にパピヨンを寝かせて、治療の続きを始めることにした。



39 :ハイブリッド・レインボウ 3 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:31:28 ID:/5/JqJN/0
しかし、どうも回復呪文の効きが悪い。
回復呪文は、対象の生命力を増幅、後押して、傷と体力の回復を飛躍的に早める魔法だ。
それは、人間をはじめとして全ての生き物――魔法生物や超魔生物にも効果が及ぶ。
それこそ、対象が死んでさえいなければ、十分な効果が得られるはずなのだ。
だが、Lの肩を治療したときにも感じたことだったが、この世界ではその効果が著しく減弱している。
そして、ことパピヨンに於いては、特に効果が薄くなるようだった。
……これも、パピヨンの『体質』のせいなのだろうか。
ホムンクルス。パピヨンは、『既存の生命体を超越した存在』とか言っていた。
つまり、生命体という範疇からはみ出した存在だ。そのイレギュラーな分だけ、回復呪文の効果が出ないのだろうか。
先ほどから何度もベホマを唱えている。だが、腹の穴がふさがるどころか、パピヨンの顔色も一向に良くならない。
俺の頬を嫌な汗が流れる。
無理なのか?
また仲間が死ぬのか?

自然と、今ここにいない仲間のことを考えてしまう。
消息を絶ったキン肉マンとウソップはどうなったのだろう。やはり2人とも志々雄の手にかかって……
ダイはまだ生きてるみたいだけれど、果たして無事なのだろうか。
そして、マァム……

ここまでの俺の判断は正しかったのか?
俺に出来たことがまだあったんじゃないのか?
俺のミスであいつらは死んでしまったんじゃないのか……?
それなのに俺はのうのうと生き残ってしまっている……

俺のせいないのか……?
俺があいつらを殺してしまったんじゃないのか?
俺は、もしかしたらとんでもない過ちを犯してしまったんじゃあ……




40 :ハイブリッド・レインボウ 4 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:32:23 ID:/5/JqJN/0
「ポップさん、ちょっとよろしいですか」
「えっ?」
いつの間にか、Lが俺の前に立っていた。
「……そうですね、ポップさんが好みそうな方法にしましょうか。そのまま、少し顔を前に出して貰えますか?」
「?……こうか?」
Lの真意が読めないが、とりあえず言われるとおりに顔を前に突き出す。
「あと数cm、ちょっぴり私の近くに」
「なんなんだよ……?」
「もう少し左に出て来て貰えるとベストですが……まあいいでしょう。今いち気に入りませんがギリギリです」
Lがそう言うや否や。

ボカッ

Lのパンチが俺の右頬に炸裂した。
「ッ痛てぇっ!?いきなり何しやがんだよ!!」
人の顔面をいきなり殴るなんてワケが解らない。やっぱりコイツは天才とは名ばかりの狂人だったのだろうか。
「ポップさん……今、何を考えてました?」
Lは、じっとりと俺を睨み付けている。
「酷い顔でしたよ。どうせ『仲間が死んだのは俺のせいだ』とか考えてたんでしょう。
 『何故俺だけ生き残っているんだ』とか、
 『俺が代わりに死ぬべきだったんだ』とか」



41 :ハイブリッド・レインボウ 5 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:36:29 ID:/5/JqJN/0
図星だった。
俺の心を見透かすように、Lの視線は俺の目を射抜いている。
「だから、今のは貴方が欲しがっていた『戒め』です。
 この痛みを胸に刻んで、もう二度と仲間を失わないと心に誓いましょう。そして――」

ボカッ
続けざまに、左頬も殴られた。
「これは、貴方に対する『叱咤』です。
 生き残った貴方がそんなふうにウジウジと悔していてどうするのですか。
そういう非生産的な後悔など全くのナンセンスです。
貴方は自分の信念に従って行動してきたのでしょう?
なのに、当の貴方が今更迷いだしたのでは、彼らが浮かばれませんよ。あと――」
 
ボカッ
今度は脳天を殴られた。
「そしてこれは『激励』です。
 ポップさんの悲しみも痛いほど解りますが、今は心を鬼にして前に進まなければなりません。
 ですので、今の痛みを前に進む推進力に変えて、一歩ずつ前に進んでいきましょう。あ、それと――」



42 :ハイブリッド・レインボウ 6 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:37:13 ID:/5/JqJN/0
「ふざけんな!」
ボカッ 「ぐえっ」
今度は逆に、俺の拳がLの顔面を捉える。
「人が黙って大人しくしてりゃあ人の頭をポカポカ殴りやがって、俺の頭は太鼓じゃねぇっつうの!」
「いい音はしましたが」
「うるせぇっ!俺だって辛いの我慢してんのに……ちょっとは察しろよ!」
「ですから、ポップさんのことを思えばこそ、心を痛めつつも……」
「てめぇがストレス発散してるだけじゃねぇのかよ!」
「心外ですね。私はポップさんの悲しみを少しでも分かち合おうと」
「なら痛みも分かち合え!」
そのままLの顔めがけて殴りかかった。
しかし、Lはするりとそれを躱し、
ゴンッ!
反対に俺の顔を蹴り上げた。
「ああ、言うのを忘れていましたが私も格闘技を少し齧っていましてね。
 自分で言うのもなんですが、それなりに強いですよ?」
「言ってろ!勇者パーティーの一員を嘗めんなよこんにゃろうっ!!」
そして、俺はLに飛び掛った。

後は本当に酷いものだった。
大の大人、それも知性派を自負する者どうしでみっともない殴り合い。
「てめぇ、喫茶店で俺に言い負かされたの根に持ってんじゃねぇのか?」
「失敬ですね。そもそも私は議論に負けた覚えなどありません」
「悔しそうに拗ねてたじゃねぇかよ!」
「本当に失礼な方だ。これはキッチリとお灸を据えてあげないといけませんね」
「言いたいことはそれだけか!?」
後は口汚く罵り合うばかり。
子供の喧嘩か、こりゃあ?
殴って、殴られて、蹴って、蹴られて。



43 :ハイブリッド・レインボウ 7 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:38:14 ID:/5/JqJN/0
「全く、何をじゃれ合っているんだ、お前らは? これでは落ち着いて昼寝も出来ん」

いつの間にか目を覚ましたパピヨンが、呆れ顔でこっちを見ていた。
でもそんなのはどうでもいい。とりあえず、あと一発コイツを殴らないと気が済まない。

ボカッ


 * * * * * * * * * * *

俺達は、コーベ駅で列車を降り、セト大橋を渡ってアワジ島という島にやってきた。
パピヨンは、Lから貰った核金を腹の穴に嵌め込んでからは調子が良さそうだ。
核金の治癒効果の賜物なのか、意外にも平然と歩いているので少し安心した。
Lは、俺に殴られた痕が痛々しいが、それ以外はいつも通り、といったところか。
何処で拾ったのか、ロープをぐるぐると振り回しながら、先頭に立って歩いている。やっぱり変な奴だ。

俺はと言うと……Lに殴られた頬は痛むが、心は落ち着きを取り戻している。
Lと殴りあったおかげで、モヤモヤしていたものはどこかに飛んでいってしまったようだ。
もしかすると、これもLの目論見どおりなのかもしれない。
Lなりに俺のことを案じて、Lなりに気を使ってくれたのかも……
って、まさかな。考えすぎか。

当の本人は、後ろをついて行く俺達を余所目に、ひたすら南へと歩いてゆく。
このままこの先のシコクに行くつもりなんだろうか。
でも確か、アワジと橋が架かっているのは既に禁止地区になったカガワの筈だが……。



44 :ハイブリッド・レインボウ 8 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:38:46 ID:/5/JqJN/0
などと考えながら歩いていると、いつの間にかアワジの南端に到着してしまった。狭い海峡に橋が架かっている。
「さて、俺達をここまで連れてきた訳をそろそろ喋ってもらおうか」
パピヨンが切り出す。
「そう……ですね。お話しましょう。とは言っても、大した事では無いのですが」
相変わらずロープを振り回しながらLが答える。
「今、我々は手負いの上、遠距離戦闘のエキスパートは居ても接近戦に長けた者が居ません。
 ですので、敵が接近してくるのが良く見渡せ、且つ遮蔽物が少ない地形と言うのが戦闘の上では望ましいと言えるでしょう」
ひゅん、とロープがしなる。先には重りが付いており、このロープは思いの外危険だ。
「つまり、瀬戸大橋、もしくは鳴門大橋に留まり、傷が癒えるのを待った上で、次の行動に移るべきかと思いまして。
 そろそろ放送の時間ですし、その情報も分析しないといけませんから」
「それならば、態々淡路の奥まで来ずとも瀬戸大橋に居れば十分だろう。何故こんなところまで来る必要がある?」
「それは、この淡路島に他の参加者が居ないことを確かめる為です。それと――」
ぶんっ、とLがロープを投げる。重りにかかる遠心力で、ロープは対岸の方まで飛んでゆく。
「散歩というか、休憩の意味もありますね。ゲームが始まって丸一日と半、少し骨休めが必要でしょう」
鳴門大橋の対岸側にロープの先に付いた重りが地面に落ち、カーン、という乾いた音が辺りに響く。
円形の重りが、コロコロとカガワの方へと転がってゆく。
そして、その金属製の重りに―― 一匹の黒蝶が舞い降りた。

ドン!

パピヨンの武装錬金が、ロープを、重りごと爆砕した。砕けた破片が対岸に散らばる。
「巫山戯るのもいい加減にしろ。休憩?骨休め?そんなことに時間を浪費する暇が何処にあるというのだ。
 俺にはこの世界を脱出し、武藤カズキと決着を付けるという高尚な目的がある。
 そのためにすべきことが山積している今、一分一秒、セシウム原子が遷移する時間すら惜しい。
 その俺の貴重な時間を浪費させた罪、万死に値するぞ!」
そういうと同時に、パピヨンの右手が、フリスビーを投げる様に鋭くLの方に向かって翳される。
黒死の蝶が、爆ぜる。

ドォン!


45 :ハイブリッド・レインボウ 9 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:41:15 ID:/5/JqJN/0
「ヒィッ!」
Lの眼前で、小さな爆発が起こった。Lが尻餅をつく。
「此れまでに鑑みて、今回だけは大目に見てやろう。だが、二度目は無いぞ!」
ぴしゃりと言い放ったパピヨンは、そのままくるりと向きを変え、元来た道を戻り始めた。
「お、おい、待てよパピヨン!」
慌ててパピヨンを呼び止めるが、パピヨンはそのまま俺達を一瞥もせずに、歩き続ける。
仕方なく、俺もパピヨンの後を歩き出す。
Lも、地面の上で腹這になって踠いていたが、何とか立ち上がって俺達の後を付いてきた。


その後、俺達は瀬戸大橋手前の休憩所に着くまでの間、一言も言葉を交わさなかった。




だが、俺はしっかりと見ていた。
Lが投げたロープの先についていた、リング状の金属塊を。
パピヨンがLの眼前での爆発に先んじて投げ、空中で爆散した物体を。
そして、Lが立ち上がる前にさりげなく集めた、その欠片を。


実験はひとまず成功に終わった。これから解析作業に入るとしよう。

 * * * * * * * * * * *



46 :ハイブリッド・レインボウ 10 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:44:40 ID:/5/JqJN/0
瀬戸大橋手前の休憩所に向かう道中で、6回目の定時放送が聞こえてきた。今回、バーンは一言も喋らなかった。
彼らが読み上げた死者の中には、志々雄だけでなく、キン肉マンも、ウソップも含まれていた。
相打ちか、それとも新たな敵が乱入したのだろうか。
キン肉マン……あんたは満足できたのか?
ウソップ……すまねぇ。
俺の横のLは相変わらずの無表情だったが、俺にはそれが沈痛な表情なのだと分かった。
Lも仲間の死を悼んでいるのだろう。
――でも、俺達は立ち止まるわけには行かない。
死んだ仲間の分まで生きて、必ずあのいけ好かねぇ主催者どもに一泡吹かせてやる……!

目的の休憩所は、瀬戸大橋全景を見渡せる場所に立っていた。
これなら橋を渡る者が居ても、一目で分かるだろう。
眺めも中々良かったが、Lの話だと、元の世界ではこの何倍もスケールが大きいのだという。
このゲームを抜け出した後に機会があれば、オリジナルの景色も見てみたいものだ。


俺達は、休憩所の店内で橋が見渡せる一角に陣取った。
「フン、必要な情報は得た。俺は今から思案がてら少し休むが、命が惜しければ邪魔するなよ」
パピヨンは俺達と対照的に、死者の名には微塵も動じずにそう言うと、ごろりとベンチに横になった。
「それでは、私達は食事にしましょうか。腹が減っては戦は出来ぬ、と言いますからね」
Lは荷物の中から、食料と、そして筆記用具を取り出した。俺もそれに続く。

そして、会議は始まった。



47 :ハイブリッド・レインボウ 11 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:45:58 ID:/5/JqJN/0

           アベシ!>○  ヒデブ!>○     ○<ウワラバ! 
                 ☆       ☆     ☆
                +        +     +  
                ∧       ∧     ∧
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

(――なんてことにならなくて本当に良かったですねぇ)
Lが呑気そうにメモに落書きをする。
(いやいや、笑い事じゃねぇよ。実際あれは命がけだったぜ?お前らよくあんなマネを……)
(まぁ、ある程度の予測と経験則から、誘爆はしないだろうとは考えていましたが。
 それでも時間的な問題を考えれば、多少のリスクは負わないといけないでしょう)
(多少って……1個目の首輪を爆破したのはまだ良いとしても、2個目は俺達のすぐ傍だぞ!? アレが爆発してたら、今頃俺達は……)
(首輪が損壊しても爆発しないのは1個目の首輪を爆破した段階で分かっていたことだ。そのために爆発の大きさも加減したからな。
 なにより、アレぐらいしておかないと主催者の監視を十分に逃れられるとは思えん。どうもお前らの演技は臭くて敵わん)
(大根役者で悪かったな!)

先程までのギスギスした空気からは考えられないような和やかな筆談。
それもその筈、鳴門大橋での不和は、主催者に怪しまれないためのパフォーマンスに過ぎなかったのだから。
その実、俺達がしていたのは首輪の爆破条件究明のための実地実験だったのだ。
Lが鳴門大橋に俺達を連れて行ったのは、あそこが禁止エリアとの境界が明瞭な場所だったからだろう。
そして目的の場所に着いた後、俺達は特に言葉を交わすことも無くお互いの意思を理解し、実験を開始した。

まず、Lが首輪にロープを結びつけたものを禁止エリアに投げ込んだ。
俺はその首輪が主催者にばれるんじゃないかと道中冷や冷やしていたが、それは幸運にも杞憂で済んだ。
首輪は確かに、爆発することなく、禁止エリア内に落ちた。



48 :ハイブリッド・レインボウ 12 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:46:28 ID:/5/JqJN/0
そして次に、パピヨンが首輪を爆破した。
だが、この際首輪はバラバラにはなったものの、首輪自体にしかけられた爆弾は爆発しなかったようだ。
これで、パピヨンは十分な確信を得たのだろう。

最後に、パピヨンは通常エリア内、それも俺達の目の前で、首輪を爆破した。
俺達は無事だった。
そして、倒れたLは起き上がる際に、首輪の破片を回収したのだった。


(さて、今回の実験で色々と有益なことが分かりましたが、その前にまず、この首輪について、分かっていることを整理してみましょうか)
Lの鉛筆が踊る。そういえば何故俺はこの世界の文字を理解できるのだろうか。後で議題に挙げてみよう。

1.主催者の発言内容
・爆弾が仕掛けられている。
・首輪に大きな衝撃を与えると爆発する。
・禁止エリア内に留まると爆発する。
・24時間以内に誰も死ななければ爆発する。
・列車の中に居れば禁止エリア内でも爆発しない。
・首輪は精密機械で、雨に濡れれば故障するかもしれない。

(これらはしかし、全てが正しいとも限りません。
 これらの内、いくつかは嘘、というか誤りのようなのですが――それはまたおいおい述べていきましょう)



49 :ハイブリッド・レインボウ 13 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:47:13 ID:/5/JqJN/0
2.首輪の外観、機能(確定事項)
・つるつるしていて、継ぎ目が無い。ネジなども見られない。
・首輪内に一部比重の違う部分がある。そこに機械構造が入っている可能性がある。
・生者の首輪は何らかの機能が作動しており、死後はそれが停止するのが分かる。
・主催者が魔法で嵌めた。
・盗聴機能がある。
・最初に、スキンヘッドの男を爆死させた。

(これらは主に、生者での首輪の機能になります。
そして、今回の実験で分かったことを含め、死者の首輪について判っているのは以下の通りです)

3.首輪の機能(死後)
・首から外しても爆発しない。
・禁止エリアに投げ込んでも爆発しない。
・破損しても爆発しない。
・破損しても他の首輪は誘爆しない。



50 :ハイブリッド・レインボウ 14 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:47:58 ID:/5/JqJN/0
(そして――ですね、首輪の構造等についてなのですが……パピヨンさん、ご意見を頂けますか?)
いつの間にかパピヨンは首輪の破片を手に取り、各部分をいじっている。
(そうだな……まず、これを現代に存在する技術で作り上げるのは不可能だ。これは明らかにオーバーテクノロジーの産物だな)
勿論、俺の世界の技術力も遥かに超越しているのは一目で分かる。
(しかし、それぞれの機構がどのような装置なのかは見当がつくな。これは何らかの信号を発信する装置。これは受信器だな。これはGPSか……?
 カメラに相当するような装置は無さそうだな)
よくわからない単語は、逐一Lが適切な解説を加えてくれた。
要は、Lの世界でも一般的な装置が大半だということだ。驚異的に小型で軽量なのだそうだが。
(この装置はよくわからんが……おそらく、装備者の生死を判別する装置なのだろう。
 そしてこれが……爆弾の火薬部分と、その起爆装置だ)
ひょいっ
パピヨンが無造作にそれを投げてよこした。
「でっ!」思わず声が漏れる。
(あ、危ねえじゃねえかよ!落っことして爆発でもしたら……)
(それは有り得んな。爆破による過度の衝撃と瞬間的な高熱にも反応しなかったのだから。
 これには恐らく、起爆に特殊な仮定が必要なのだ。核兵器と同様――と言えば解りやすいか)
もちろん解りやすくもないのでLの解説を仰ぐ。パピヨンは気にせず続ける。
(そういった特殊な爆弾なら、このゲームのような苛酷な環境化でも誤爆の心配がない分扱いやすいと言えるだろう。
 しかし、長時間リモートで作動し続けるこの耐久性、誤作動を起こさない安定性など、
 どれをとっても驚異的といわざるを得んな。まぁ、世間一般における常識の範囲内での話だが)
(すると、首輪の機能はほぼ全て科学的な装置で構成されていると?
 先ほど貴方達が示唆していた、呪いや魔法の類は関与していないのですか?)
(それはそこの自称大魔法使いに聞いてくれ)
2人の視線が俺に集まる。



51 :ハイブリッド・レインボウ 15 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:53:26 ID:/5/JqJN/0
そこで、改めて首輪の断面を凝視する。
銅でも鉄でも鋼でもない、しかし硬くて軽い金属でできたボディの内部に、複雑な装置が組み込まれている。
その仕組みまでは解らないが――
(正直、俺は魔法を使う側の専門で、魔法のかかったアイテムに関しては専門外なんだが……でも、とりあえず解ることを言ってみるよ。
 まず、今、この壊れた首輪からは、何ら魔力を感じない。
 首輪の素材や仕組みの一部に魔法を介在させたってのも考えにくいだろう。それ用の依代が見当たらない)
(持ち主の死や破損時の衝撃で呪いが解けた可能性は?)
(う〜ん、それは無いとは言い切れないが……
 確かに、持ち主の死や破壊されることをきっかけに効果を発するアイテムってのは有るんだよ。命の石や、メガンテの腕輪とかだ。
 でも、そういう魔力の籠ったアイテムってのは、壊れた後も魔力の『残り香』みたいなのが残るんだよ。
 例えば魔力の籠った杖の輝石を砕けば、その破片を利用して結界を張れる、ってな具合にな。
 だが、この首輪からは、そういった『残り香』が感じられねぇ。
 だから、この首輪には呪いがかかって無かったんじゃないかと俺は思うんだ。
 しかし一方で、呪いがとけりゃあ普通の武具、ってパターンも無いわけじゃねぇし……断言はできねぇなぁ)
(ですが、最初の大広間でバーンは一瞬で私達全員に首輪を嵌めましたよ?
 魔法で嵌められた首輪に魔法が関与していないのも不自然な気がしますが……)
(そういわれりゃぁそうなんだが……)
(魔法と言えば、このゲーム内では参加者の力が極端に抑えられているようなのだが、それが首輪の効力、という可能性は無いか?)
(そういう能力減衰なんかは、正に呪いの効果、って感じがするなぁ。しかし、この世界の空気自体が原因な気もするし……
 こればっかりは、実際に首輪を外してみないことには解らないな)
(なんだ、ほとんど何も解らないんじゃないか)
(面目ねぇ)
項垂れる俺を余所目に、Lとパピヨンが話を続ける。
(案外、取り付けるときに魔法を用いただけで、首輪には魔法の類は一切かかっていないのかも知れませんね)
(……どちらにせよ、魔法という概念の無い俺達には解り兼ねることだ。貴様が解らないのなら、俺達に解る筈も無い)
結局俺は首輪解析に役立つ知識はそれほど提供できなかったが、
珍しくパピヨンが俺を認めてくれたようで、すこし鼻がむずがゆかった。



52 :ハイブリッド・レインボウ 16 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:54:15 ID:/5/JqJN/0
(さて……首輪に関しては、それなりに情報が揃ってきたな。だが、まだ決定的な情報が不足している。
 それを得るためには――実際に、首輪を爆発させるしかあるまい。
 これには今までとは比較にならないリスクを伴うことになる。だが、首輪を解除するためには、この実験は避けては通れまい)
(一応、爆発に遭遇した者の話を聞くことでも代用は出来ますが、そのような人に出会える可能性は低いですね……
 生きた参加者を使った人体実験になってしまいますが、『生きた者の首に付いた首輪』が必要ですね。
 ……戦闘中にうまく敵を禁止区域に追い込めれば良いのですが)

(こんなことなら、あの糞チビを使って実験しておけば良かったな)
喫茶店で自身が殺した少年の事を言っているのか。態々癪に障るような言い方をして、底意地の悪い奴だ。
パピヨンが不穏な笑みを浮かべる。一方、Lは完全に無視を決め込んでいる。
一転、重い空気が流れる……

どうにも居た堪れない。次の議題を振ろう。
(なぁ、それより主催者達はどうやって俺達を監視してると思う?)
(首輪を用いた盗聴、位置把握は確実だな。他に視覚的な監視が有るか無いかが重要だが)
(それに関してですが、私から少しお話があります)
Lが身を乗り出す。
(私の意見を述べる前に、まず 藍染惣右介という男のことを話させてください。
 これは私の仲間から聞いた話なのですが、彼は強力な催眠術を使うことが出来たそうです。
 そして彼は、自分が視覚的に監視されている可能性を逆手に取り、主催者達に催眠術をかけとうと試みたそうです。)
(ほう、それは中々剛毅な男だな。だが、先ほどの放送で名前を呼ばれたと言うことは、しくじったのか)
(ええ。詳しい状況や催眠方法などは判らないのですが、狙った効果を得られなかったのは確かなようです)
(バーン達に催眠術が効かなかったってことか?)
(いえ、何でもその催眠術は絶対的で、それを見た生物に等しく効果が及ぶらしいのです。例え相手が人間でも、虫螻でも、大魔王でも)
(ということは、だ。視覚的監視が行われていなかった、とお前は言いたいのか?)
ええ、そうなのですが、と肯定しながらも、Lはここでは断定せずに話を続けた。
Lにしては珍しく煮え切らないな、と頭の隅で思っていた。


53 :ハイブリッド・レインボウ 17 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:54:47 ID:/5/JqJN/0
(もう一件判断材料があります。実は私も、主催者に働きかけていたんです。
 詳しい話は秘密ですが、彼らが直接出向いて対処しなければならないような内容の行動をとったのです)
(なんだその行動とは?秘密にする意味も解らん)
(秘密と言ったら秘密なのです。さらに続けますが、その内容は途中で頓挫してしまっていたのですが、つい先ほど条件が整いました。
 つまり、近いうちに主催者の手の者がこちらに出向く可能性が出てきた、と言うことになります)
(いきなり厄介な話をするな……しかし一体どうやって敵を誘い出そうとしたんだ?)
(詳細は秘密ですが、簡単に言えば、ブラフをかけたんです。『主催者の命を脅かす手段があるぞ』、と)
(えらく都合のいいブラフだな。大方ブラフだと見破られているんじゃないのか?)
(いえ、理論的には見破り様が無いブラフでした。
 ですが、その時共に居たムーンフェイスと筆談で意思疎通を図ったため、視覚的な監視があれば主催者達にもバレバレでしょうね)

そこでピンときた。
Lは恐らくデスノートに関して何らかのブラフをかけたのだ。
だから主催者の命に関わるし、パピヨンには秘密にしなければならない。
もともとがLの居た世界のアイテムなのだから、Lがその扱いに長けていたのも頷ける。
Lは話を続ける。
(なお、要件を整理すると次の様になります)

1.音声のみの監視ならば自分(L)の元に出向かなければならない。
2.視覚的な監視が十分行われていれば、ブラフは見抜かれる。



54 :ハイブリッド・レインボウ 18 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:55:45 ID:/5/JqJN/0
(つまり、これ以降主催者側のアプローチがあれば監視は音声のみ、無ければ視覚的な監視が行われている。
 ……しかし、藍染の例があることから、かなりの高確率で主催者側が我々にアプローチをかけてくる、と言うことになります)
Lは監視が盗聴のみだと言いたいのだろうか。だが、なにか引っかかる。本当にそうなのか?
(もし監視が盗聴だけであれば、ここまでの盗聴対策でほとんどの情報を隠蔽できていることになり、
 脱出や首輪の解除を実行する上でかなりの進歩になり得ますね)
(ここまで監視カメラ等の類は一切発見できなかった。上空から監視していたとしてもこの雨雲と家屋の下では監視の仕様が無い。
 もし思考を読み取るような特殊な装置を用いていたなら、俺の思考分を記録し貯めておくだけでも図書館が一軒立ってしまう。
 お前らもそれなりに考えていることを合わせれば、到底管理しきれる情報量では無くなるだろう。
 これらを踏まえれば、監視が盗聴だけと言うのもうなずけるが……)
(俺の居た世界じゃ、占い師が水晶玉に遠隔地の映像を映し出したりしてたけど、バーンもそれぐらいは出来るかもしれねえぜ?)
(しかしそれでは先ほどの藍染の催眠術が効かなかったことの説明が付かん。
 それに今までの首輪の解析もバレているなら、奴らも何らかの対応をするだろうが、一向にその気配が無い)
(やはり盗聴オンリーで確定でしょうかねぇ……)


違う。何かが間違っている。何か決定的な違和感を感じる。
この感覚は恐らく2人も感じているのだろう。先ほどから語尾から迷いが読み取れる。
大事なことを見落としているんだ。もっと根本的な、大事なことを……


(なぁ、ちょっといいか?)
(なんだ?話についていけなくなって脱落宣言か?)
(いや……ちょっと聞きたいんだけどよ、
 お前らが『祭り』に行ったとして、面白そうな催し物が何個もあったら、どうする?)



55 :ハイブリッド・レインボウ 19 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:56:17 ID:/5/JqJN/0
「はぁ!?」
パピヨンが間抜けな声を漏らす。Lも不思議そうに俺を見つめている。
(なんだ、極限状態で狂ったか?何なら俺が一思いに楽にしてやろうか?)
(いや、俺は正気だし、巫山戯てるワケでもない。大事なことなんだ。お前らならどうする?)
これで伝わるのだろうか?
いや、伝えないといけない。俺の考えは間違っていない筈だ。

(一番面白そうな出し物から順に見ていきますね。うっかり見逃したら勿体無いですから)
Lは素直に答えてくれた。それを見てパピヨンも渋々応える。
(同時に見られる範囲の物は一緒に見てしまえばいいだろう。出し物の規模にも寄るが)
(もし、その中の催し物の中に、特別面白い物があったら?)
(その一つだけに絞って他は捨てだな。二兎追うものは一兎も得ず、だ)

(じゃあ、その出し物が130個同時に行われていたら?)

(――!!)
2人の目つきが変わった。


56 :ハイブリッド・レインボウ 20 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:57:52 ID:/5/JqJN/0
(主催者達の話を聞いてて思ったんだが、どうも奴らは俺達が戦い合い、殺し合うのを愉しんでいるみたいだ。
 でも、そのお目当ての場面を、音声だけで我慢できるか? 普通自分の目でも見たいと思うだろ?
 しかもどうやら奴らにはその手段もある。じゃあ、見ないで聞くだけ、ってのは明らかにおかしい話だ。
 しかし、いくら奴らでも、参加者全員を視覚的には監視していないかもしれない。
 いや、お目当ての殺し合いを見るのを優先して、くだらない馴れ合いなんか、わざわざ見ようとはしないだろう)
(つまり、藍染やLの行動は視覚的には監視されていなかったが、他の参加者は視覚的に監視されている筈だと?)
(そうだ。恐らくあいつらは、普段は音声で俺達の行動を盗み聞きしているが、
 いざ面白そうな戦闘が起これば、その映像を見て楽しんでるんだろうよ)
(ふむ、あの藍染という男は相当な自信家のようでしたから、自分が「見るに値しない」と見捨てられていた等とは思いもしなかったでしょうね)
(だが、いくら主催者共が人外の化け物だからといって、130人もの会話を全て把握しきれるのか?
 ……いや待て、何もあの3人だけで監視せずとも、手下共に監視させておけば良い。
 では、視覚的な監視も手下に任せれば……だがそうすると藍染やLの場合と矛盾する……
 視覚的な監視には同時に出来る数に限界があるのか?それとも解像度に難があるのか……)
パピヨンは独りぶつぶつと呟きながら考え込んでしまったが、
最終的に反論が来なかったことから考えて、概ね俺の考えに同調してくれているのだろう。




57 :ハイブリッド・レインボウ 21 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:58:57 ID:/5/JqJN/0
そして、どうやら2人とも俺の考えに乗った様だ。こいつらの了解を得られたとなると心強い。
だが、問題はこれで全て解決、というわけでもない。
(しかし、ということは人数が減ったこれ以降、監視の『目』がこれまで以上に厳しくなるのは必然ですね)
(ああ、それにさっきLが言った刺客のこともある。パピヨンの言った通り、これ以降は愚図愚図している暇はねぇな)
(全くその通りだ。一刻も早く首輪の爆破条件と、主催者の居場所を明確にせねばならん。
 その為には……今まで以上に積極的に、こちらから他の参加者に接触して行かねばならんだろうな)
(しかし、現在生存している30余人は、ここまで死線を越えてきた強者、曲者揃いの筈です。
 他者への接触は賛成ですが、最大限、慎重に行動する必要があります。迂闊な行動が即、全滅に繋がりかねませんから)
(ああ、だがリスクを気にし過ぎてちゃあ何もできねぇ。今は多少の荒事をしてでも、主催者共に近づく糸口を広げねえと)
(フン、俺に刃向う者など踏み潰してやれば良いだけのこと。足元の蟻など気にせず前に進んで行けばいいのだ。
 主催者の刺客が来るのなら、それも纏めて灰燼に帰してやろう!)
(何だかパピヨンが頼もしく見えるな……何か変なもの食ったんだろうか、俺)
(無駄口叩いている暇があったら会敵に備えておけ。この先はゆっくり休める保障は無いぞ? 精々気を引き締めておけ)
(……そうですね。これからが正念場、と言ったところです)

首輪を外し、主催者を倒し、この世界を脱出する。
最初は雲を掴むような話だったが、それが次第に骨を持ち、肉を帯びてきている。
だが実際には首輪も外れていないし、主催者も何処に居るのかははっきりしない。
でも、こいつらと居ると、それすら些細な問題に思えてくるから不思議なものだ。
橋に目をやり、これから出会う者、戦う敵のことを考える。
一方で、その時はなんとなく、主催者の刺客など来ないのではないか、と俺は思っていた。


――そして、雨が、止んだ。
雲の隙間から陽光が射し、虹が架かる――



58 :ハイブリッド・レインボウ 22 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 22:59:59 ID:/5/JqJN/0
【兵庫県・淡路大島・瀬戸大橋付近の休憩所/二日目・午後】
【チーム:三賢者】
[共通思考]1:首輪を実際に起爆させる、若しくは起爆させた経験を持つ人物から情報を得る。
     2:主催者の居城を確定できる情報を得る。
     3:襲撃者に対する警戒、準備。
     4:首輪の本格解除。

【L@DEATHNOTE】
[状態]喧嘩傷、右肩銃創(回復済み)
[道具]:荷物一式×2(ナッパ、セナ)(片方には食料無し、食料一食分消費)
   :デスノートの切れ端@DEATHNOTE、GIスペルカード『同行(アカンパニー)』@HUNTER×HUNTER
   :雪走り@ONEPIECE、斬魄刀@BLEACH、ショットガン(残弾不明、恐らく無か極少数)、野営用具一式、
:首輪の知識@パピヨン+ポップ 、世界の知識@L+ポップ
[思考]1:パピヨン、ポップらと同行し、主催者を打倒する。
   2:沖縄の存在の確認。
   3:ゲームを出来るだけ早く中断。
   4:死んだ仲間のことは忘れない



59 :ハイブリッド・レインボウ 23 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 23:00:25 ID:/5/JqJN/0
【ポップ@ダイの大冒険】
[状態]:喧嘩傷(MP中程度消費)
[装備]:魔封環@幽遊白書 、アバンのしるし@ダイの大冒険
   :ウソップ作の仕込み杖(投げナイフを使用) 、死者への往復葉書@ハンター×ハンター(ウソップから譲って貰った)
   :ボロいスカーフ(ウソップの形見)、ゴールドフェザー 3本 シルバーフェザー 2本@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式×3(食料・水、4食分消費)、首輪@跡部、首輪@玉藻、爆破された首輪の破片@一輝
   : 首輪の知識@パピヨン+ポップ、世界の知識@L+ポップ
[思考]1:L、パピヨンと同行。主催者を打倒。
   2:ダイ・ウソップの仲間(ルフィ)との合流
   3:夜になったら死者への往復葉書を使ってマァムに手紙を書く。
   4:フレイザードを早めに倒す
   5:死んだ仲間のことは忘れない。
   
【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:腹に大穴、体力消耗中、核金で常時ヒーリング
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金 (火薬少量消費)核鉄XLIV(44)@武装練金(腹の大穴内)
    :ボロいスカーフ(首輪から監視されていた場合への対策)
 [道具]:荷物一式×4(食糧3食分消費)、ベアクロー(片方)@キン肉マン、
    :首輪@ヒソカ、首輪@一輝、首輪の知識@パピヨン+ポップ、世界の知識@L+ポップ
 [思考]:1:蘇生は不可能。だが武藤カズキとの再戦は必ず果たす。そのための情報を集める。 
     2:L、ポップと同行し、首輪や主催者についての謎を究明する。
     3:ツリ目の少年の情報を得る。ツリ目の少年は見つけ次第殺す。
     4:ドラゴンボールは信用しない。
     5:他の参加者と必要以上に馴れ合う気はない。
    


60 :ハイブリッド・レインボウ 24 ◆xJowo/pURw :2006/11/19(日) 23:00:55 ID:/5/JqJN/0
*首輪@中川は、鳴門大橋香川県側で爆破されました。

<既知事項>
*首輪
・つるつるしていて、継ぎ目が無い。ネジなども見られない。特殊な金属で出来ている。
・首輪内に機械構造が入っている。
・生死判別機能、盗聴機能、GPS、起爆装置有り。
・破損しただけでは爆発しない。火薬は誘爆しない特殊なものを使用。
・禁止エリアに投げ込んでも爆発しない。
・破損しても他の首輪は誘爆しない。
・呪いがかかっているかどうかは未知数。

*監視
・盗聴だけでなく、視覚的な監視も行われている可能性が高い。その場合監視対象は少数で、その対象の決定も恣意的。
・筆談が読解されている可能性は非常に低い。
・上空からの監視の可能性は(あまり高くないが)有り。

*主催者の居城
・沖縄の可能性が現時点で最も高い。



61 :ハイブリッド・レインボウ 修正 ◆xJowo/pURw :2006/11/20(月) 16:59:46 ID:9mp09bXY0
修正
5レス目 10〜12行目冒頭に余白挿入。
6レス目
俺達は、コーベ駅で列車を降り、セト大橋を渡ってアワジ島という島にやってきた。   :セト→ アカシ
でも確か、アワジと橋が架かっているのは既に禁止地区になったカガワの筈だが……。  :カガワ→トクシマ
8レス目 円形の重りが、コロコロとカガワの方へと転がってゆく。          :カガワ→トクシマ
24レス目 香川県→徳島県

他、瀬戸大橋を全て明石大橋に修正。
具体的には、
8レス目:10、12、行目
9レス目:11、行目
10レス目:1、11、行目
22レス目:状態表


62 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:10:42 ID:TUctyO2R0
 どっちが子供だよ、と言ってやりたい。
 大人の義務ってなんだよ、と言ってやりたい。
 子供に心配かけて、それで大人って言えるのかよ、と言ってやりたい。
 大人って、勝手だ。

「――待ってくれ麗子さん!」

 呼び止めた。
 みんな勝手なんだよ。
 ダイも両津さんもまもりさんも麗子さんも。
 絆はどうしたんだよ。
 別行動はとらないんじゃなかったのかよ。

「止めても無駄よ星矢ちゃん。早くまもりちゃんを追わないと」
「止めないよ。ただ、一人で勝手に突っ走るのはやめてくれ」


 〜〜〜〜〜



63 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:11:56 ID:TUctyO2R0
 放送前、麗子に追いついた星矢は、落ち着いた声で逸る彼女を呼び止める。
 その言葉は、「行くな」ではなく、「一人で行くな」という意味だった。

「止まっている暇なんてない。まもりちゃん、すごく辛そうな顔をしていた……早く追わないと、きっと大変なことになる」
「だからって、一人で行ってどうなるんだよ」

 星矢は駆け出そうとした麗子の肩を掴み、静かなる力でその場に押しとどめようとする。
 しかし麗子の意志は強く、今にもその場を飛び出さんくらいの危うさが感じられた。

「離してっ、星矢ちゃん」
「駄目だ。麗子さんは一人じゃ行かせない」

 ここで離したら、きっとまた、危険がやってくる。
 藍染惣右介に人質を取られ、成す術もないまま大事な人たちを危険に晒してしまった不甲斐ない自分。
 それが、許せなくて。

「確かに、麗子さんは俺なんかより全然大人だ。でも、大人だとか子供だとか、そんなの関係ない。
 麗子さんもまもりさんも、同じくらい弱い。俺に言わせりゃ、どっちも、守らなくちゃならない大事な人なんだよ」

 だから、一人じゃ行かせられない。
 聖闘士としての務め、ではない。
 仲間思いの一人間として、失いたくない。
 守るのは、そのためだ。

64 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:12:39 ID:TUctyO2R0
 サァ――と風が駆け抜けた。
 降り続けていた豪雨の雨脚が弱まり、時刻は昼へと近づく。
 放送は、間もなく。

「俺たち、仲間だろ?」

 そう、星矢が問いただした。

「そうよ。当たり前じゃない」

 麗子が、そう答えた。

「なら、行く道は一緒のはずじゃないか」

 星矢が、そう言い切った。

「焦る必要なんてない。仲間を信じて、一緒に進もう」

 星矢が、優しく微笑んだ。

「……ええ」

 力強く、麗子が頷いた。

「…………」

 誰かが、静かに傍観していた。


 〜〜〜〜〜



65 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:14:48 ID:TUctyO2R0
 兵庫県の市街地。ちょうど、星矢と藍染が戦いを繰り広げた草原の北に位置する街だ。
 そこで星矢と麗子は合流を果たし、そして一人、部外者を呼び込んだ。
 仲間ではない、仲間とも思えない黒影の小柄の姿。
 その少年の名が『飛影』だと知る者は、少ない。

「……星矢、ちゃん」
「ごめん、麗子さん……さっきの言葉、いきなり撤回するかもしれない」

 現れた影は、薄く開かれた眼を星矢ただ一人に向けていた。
 隣に居た麗子には興味を示さず、星矢の内に秘められた絶大な力を感じて、接触を図ったのだ。

「失せろ女。お前に用はない」

 短く冷たく、視線を合わせようともせず、飛影は麗子に言った。
 彼を支配する闘争本能に、弱者の住まう居場所は存在しない。
 飛び交う小蠅には目もくれず、狙うは敵の将ただ一人。
 手柄や功績のためなどではなく、ただ己の欲を満たさんがために。

 冷えた視線は、それだけで子供を射殺せるほどの殺傷能力を秘めていた。
 ガクガクと身を震わせながらもそこに立っていられたのは、隣に頼りがいのある仲間がいてくれたからか。

「麗子さんは、まもりさんを追ってくれ。俺は、ここでこいつを食い止める」
「そんな……それじゃあ星矢ちゃんが――」
「まもりさん、放って置けないんだろう? それに、何度も言わせないでくれ。俺は」
「……強い、もんね。私なんかと違って、星矢ちゃんは力を持っている……うん」

 己に言い聞かせるよう呟き、麗子は、前を向いた。
 別れの言葉もなく、脚を突き動かす。まもりが去っていった、東へ。


 〜〜〜〜〜

66 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:15:33 ID:TUctyO2R0


 それでいい。
 こういう厄介だけど扱い方が単純な手合いは、俺が全部引き受ける。
 麗子さんは、麗子さんにできることをやってくれ。
 俺も、俺にできることをやるから。
 それが、一番仲間のためになるから。

「追わないのか? 麗子さんのこと」

 俺に対して敵意むき出しチビに、問いかけた。

「あんな雑魚はどうでもいい。俺が用があるのは、俺と対等に戦える奴だけだ」
「戦闘狂……いや、単なる喧嘩好きか」

 ったく、この忙しい時に、面倒な奴と出くわしたもんだ。
 でも、ま、いいストレスの吐き出し口にはなるかもな。

「生憎だけどよ、俺、今あんまり機嫌がよくねーんだよ。だから、手加減できないぜ」
「望むところだ」

 こっちは小宇宙を全開にしてるってのに、尚もやる気マンマンかよ。
 藍染みたいな悪党ならともかく、相手がバトルマニアなだけってんなら……ま、なんとかなるか。
 答えは簡単。
 俺がこいつに勝てば、丸く収まる話だ。


 〜〜〜〜〜



67 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:17:32 ID:TUctyO2R0
 開戦の合図はなかった。
 仕掛けたのタイミングはどちらも等しく、公平。
 互いに詰め寄り、文句もなく放ち合ったのは、拳だった。

 星矢の右拳と、飛影の左拳が穿ち合う。
 両者共に肉弾戦を得意とするらしく、そこに姑息な駆け引きや罠は仕込まれていなかった。
 飛影は、緊迫しそうな力と力のぶつかり合いに士気を高めつつあった。
 アビゲイル戦の時はリンスレットという邪魔、排撃貝による小細工など苛立ちを感じる要素が多々あったが、今回は違う。
 拳と拳、力と力。互いの戦闘力を親身にぶつけ合う、至ってシンプルな喧嘩になりそうだ。

「――お前、別に優勝とか狙ってないだろ!? お前の小宇宙からは、藍染のヤローみたいな禍々しさが感じられない!」

 高速移動と拳による猛攻を繰り返しながら、星矢が言い放った。
 飛影は星矢の呼びかけに一切の反応を示す気配はなかったが、その沈黙には肯定の意があるように思えた。

「自分のことしか考えてない悪党なら、問答無用で俺たちを襲ったはずだ! そうしなかったのは、悪党じゃなくて単なる喧嘩好きだから――」

 喋りかけている最中に打ち放たれた飛影の膝蹴りを両腕をクロスさせて防ぎ、回避行動に合わせて更に言葉を紡ぐ。

「小宇宙を感じれば分かるんだよッ! お前みたいな奴、嫌いじゃないぜ!!」

 光と影。
 市街地を高速で駆け抜けながら、パンチとキック主体によるシンプルな攻防が繰り広げられる。

「よく喋る野郎だ」

 飛影は星矢に抱いた感想を短く呟き、一旦距離を取ってから攻撃の手を変えた。

68 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:18:52 ID:TUctyO2R0
 取り出したのは、先刻ミサから強奪した真空の斧。
 小柄の飛影が扱うには些か似合わぬ武器だったが、彼の力量を考えれば別段不自然な手ではなかった。

 飛影はビルの壁を蹴り、空へと飛びあがる。
 同じように星矢も向かいに位置するビルの壁を蹴上がり、飛影を迎え撃つ。
 神速のスピードで振り下ろされる飛影の斧による一撃。
 星矢は、その攻撃を横から素手で弾き、開いた隙間から回し蹴りを放つ。
 空中で交差した二人は同時のタイミングで地面に降り立ち、瞬間、反対の方向に着地した標的を狙う。

「――ッ!?」

 振り向き、飛び出したのは飛影一人。
 星矢はというと、着地した地点でドシッと腰を構え、向かってくる飛影を迎撃の体勢で待ち構えていた。

「ペガサス――」

 反射的に攻撃の手を緩め、回避にスイッチしようとした飛影だったが、突進力が強すぎたのか、すぐには行動に移れない。
 結果、飛影は星矢の射線上に飛び込んでいく形になり、

「――彗星けぇぇぇんッ!!!」

 一直線に伸びた、ビームのような星矢の正拳を――寸前で避けることになった。

 単にパンチが怒涛の勢いで迫ってきただけ、とは言い難い、星矢のペガサス彗星拳。
 回避が成功したのは、本当に幸運の賜物だった。
 瞬時に発動した真空の斧による突風……このほんの微かな風が、飛影を僅かに横へずらしたのだ。
 が、代償として真空の斧の刀身はモロに彗星拳の直撃を受け、飛影の手には折れた斧の柄だけが残った。

69 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:20:17 ID:TUctyO2R0
「邪王……」

 それでも、転んだらただでは起きない。
 飛影は、横飛びに振り出された身体を空中で制御し、握られた斧の柄に魔界の炎を宿した。

「……炎殺剣!!」

 先端に燃え上がった炎の刀身は槍のような形状を作り、勢いづいて星矢に放られる。
 その速度は彗星拳までとはいかずとも、十分な殺傷能力を秘めた、銃弾以上の脅威だった。

 星矢は慌てず、飛び込んできた炎の槍に対処する。
 この攻撃は、彗星拳を放った直後に仕掛けられたカウンターの一撃。回避は難しい。
 ならば対処は、必然的に防御に絞り込まれる。

「ペガサス流星拳ッ!!」

 だが星矢は、あえて攻撃を選択。
 たった壱秒の間に百を越える無数の拳打が打ち込まれ、防壁となって迫る炎殺剣を弾き返した。
 その間も、飛影は追撃の手を止めることはしないのだろう。
 それを見越しての、攻撃による防御。
 敵が攻撃の手を緩めるまで、こちらは絶対に反撃を止めない。
 小細工は必要ない。星矢の目的はただ、飛影を戦闘不能に追い込み、一刻も早く麗子と合流することなのだから。

70 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:23:02 ID:TUctyO2R0
 光の輝きが発生せんほどのラッシュは、影を残さぬほどのスピードで動き回る飛影の姿を胆振だす。
 小さな影は、既に星矢の背後に移動していた――

「狙い通りのポジションだぜッ! 喰らえェェ――!!」

 振り向き、渾身の拳打を叩き込んだ。
 ブンッ、と空気を切る音と、掻き消える飛影の姿を視覚と聴覚が捉え、次第に脳が違和感を覚えた――

「残像だ」

 ――時にはもう遅い。
 星矢の背後に迫っていたと思われた飛影の姿は幻のように消え去り、代わりに空から、小さな声を漏らす。

「邪王炎殺煉獄焦ッ!!」

 星矢の頭部目掛け、真上から炎を宿した拳の雨が降り注ぐ。
 さすがの星矢もこれを反撃で返すことは容易ではなく、不恰好な防御の体制を構えるだけに終わった。

 飛影の攻撃が、初めてクリティカルヒットを見せる。

「ぐはぉっ!?」

 痛みによる嗚咽を漏らしたのもまた、星矢が初だった。
 上空からの攻撃により地に叩きつけられ、減り込む直前で横に蹴り飛ばされた。
 拳による殴打、地面に叩きつけられたことによる痛打、そしてビルの外壁まで蹴り飛ばされ、それを破壊するほどの衝撃。
 三種の連続的なダメージが星矢を襲い、勝負の優劣を大きく揺るがした。

71 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:23:34 ID:TUctyO2R0
「がはっ、がっはっ!?」

 痛烈な衝撃に耐えながらも瞬時に身体を起こし、再び構えを取る星矢。
 周囲の光景は小高いビルの立ち並ぶ外界から、おそらくはホテルか何かなのだろう、広くも薄暗い絨毯敷きのロビーに移り、室内戦へ移行する。

「な、なんて奴だ……光速のスピードを持つ聖闘士相手に、速度でまったく引けを取っていない……!」

 藍染の『瞬歩』も目を見張るものがあったが、飛影は『瞬歩』以上のスピードを、常時発揮しているようにも思える。
 星矢の動きを光と例えるならば、飛影の動きはまるで影。
 光と影が表裏一体だとするならば、そのスピードも互角だというのだろうか。

「あ、藍染の時といい……ハーデスの野郎、まさか俺たち聖闘士にだけ、制限を重くしてるなんてことはない、だろうな……?」

 完全な息切れを起こしながらも、星矢は小宇宙を張り巡らせて飛影を索敵する。
 感じる。敵はまだ、外にいた。

「――タフな野郎だ。だが、それもこれまでか」

 堂々にも、破壊された自動ドアの入り口から姿を見せ、飛影は星矢に向き合った。
 その顔は、未だ涼しげ。体力の尽き掛けてきた星矢に比べ、余裕が感じられる。

 藍染惣右介との決闘、その時のダメージと疲労が、今になって星矢を苦しめている。
 鬼道の応酬は皮膚や血管などへの外傷として、重力の増加は内臓器官へ地味ながら強力な疲労を及ぼした。

 あの時だって、本来なら負け戦だった。
 藍染の圧倒的な重力と、黒棺なる技によって受けた致命傷により、星矢は死なば諸共の覚悟を決意したのだ。

 だが、仲間に救われた。

 ダイのライデインによるサポートが、仲間からのメッセージが、窮地に立たされていた星矢を再度奮い立たせてくれた。
 その後のマヌーサによる幻影も、仲間達の囁きがあったから振り払うことが出来た。

72 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:25:49 ID:TUctyO2R0
 支えられて、守られて。

(ああ……なんだ)

 守られて、支えられて。

(麗子さんには『守る』なんて偉そうなこと言ったけど……)

 どっちも。

(逆じゃんか……おれ)

 されっ放しだった。

(仲間がいなきゃ……俺は満足に戦うことも出来ないのか?)

 それでいいのか、聖闘士星矢。


「……いいわきゃない、よな」


 小さな呟きは、飛影に届くことはなかった。


「死ね」


 見た目、なんとか立っているだけの星矢に、飛影が最後になるであろう攻撃を仕掛ける。

73 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:31:38 ID:TUctyO2R0
「 邪 王 炎 殺 煉 獄 焦 ――」


「 ペ ガ サ ス 流 星 拳 ! 」


 黒の炎拳による高速のラッシュ――繰り出された飛影の攻撃を遮らんばかりに、星矢が光速の動きを見せた。
 飛影の全身を多い隠すほどの発光、その正体は、星矢の拳。
 拳と拳の打ち合い、などという次元では表せない、絶対的な力の差が、そこに生まれていた。

 飛影の煉獄焦をちっぽけな発熱電球と例えるなら、星矢の流星拳の規模は、それを容易く飲み込む太陽。
 それが正面から打ち合えば、どちらが勝るかは最早明確である。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――!!!」

 拳を打ちながら、星矢は力いっぱい叫び続けた。
 気合だ。気合で相手を凌駕するんだ。
 小宇宙を爆発させれば、不可能なことなんて何もない。
 聖闘士は誰にも負けない、アテナに選ばれし最強の戦士なんだ。
 負けて、負けてたまるか――!


 麗子ためでも、仲間のためでもなく。
 一人の聖闘士、否、男として。
 負けたくなかった。勝利が欲しかった。

 その思いが齎した力が、このペガサス流星拳だ。


 〜〜〜〜〜



74 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:38:31 ID:TUctyO2R0
 正面からの打ち合いに競り負け、飛影は敗北を予感し始めていた。

(またか――また俺は、負ける、のか)

『また』――この二文字が、呪いの様に圧し掛かる。
 思えば、この世界で飛影が勝ち得たものは何一つなく、ちっぽけな勝利の栄光が一つだけ。
 アビゲイル戦などは、到底勝ち星には入れられない。
 氷女や邪魔者の女などは、論外だ。
 ピッコロに至っては、完全なる敗北を喫した。
 真に戦いで勝利したのは、剣桃太郎との一戦ただ一つのみ。
 しかしその戦いとて――満足のいく結果とは言えなかった。

(そういえばあの男――妙なことを口にしていたな)


 〜〜〜〜〜


 ゲーム開始から僅か数時間、飛影の初戦の相手である剣桃太郎は、最後までしぶとく食い下がってきた。

『ふう……俺の負けか。と、言いたいところだが。諦めないのが男塾精神でね、精々足掻かせてもらうぜ』

 何が男塾精神だ。黒龍波を喰らい、強大な妖気を身につけた飛影相手に、死に損ないがどう抵抗できるというのか。
 それからの戦闘はあまりにも無意味。赤子の手を捻るより簡単だった。
 纏った黒龍波の妖気は飛影の戦闘能力を何倍にも跳ね上げ、単なる拳打でも桃太郎を死に追いやった。

75 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:39:28 ID:TUctyO2R0
『……こ、こまで、か。俺も、ヤキが回った、かな』
『死に掛けのくせに、よく喋るな』
『まあ、ね。男塾ってところは……それはそれは喧しいところ、でな。俺も、一号生の筆頭を務めていたが、こんな形で奴等と別れるハメに、なるとは』
『女々しいな』
『そう、か? フフフ……いや、なに。お前を見ていたら、なんだか思い出しちまって、な』
『俺が、その男塾とかいうところの連中に似ているとでも?』
『ま、ツラは全然合わねーと、思うが……そっくりでは、あるな』
『どこがだ?』
『興味あるか? ……そうだな。喧嘩っ早くて、血に飢えていて……だが、それでいて、腐ったヤローは絶対に許さねー。ま、そんなとこ、ろだな』
『なんだそれは』
『フフ、フ……ま、理解しようと、しても、できるもん、じゃねぇだろう、な……ゲフッ』

 剣桃太郎の最後の戯言は、今でも詳細を記憶していない。
 意味がないと、そう思っていたから。
 弱者のつまらない虚勢だと、そう思っていた。


 〜〜〜〜〜


(――俺は、幽助にも勝つことができなかった。決着をつけることも叶わず……勝ち逃げされた)

(――アビゲイルとも、ピッコロとも、まだ)

(――勝たなければいけない相手が、まだいる)

(――なのに俺は、また負けるのか?)


 氷泪石、優勝、ピッコロ、生き残る、桑原の仲間、その他の雑魚、アビゲイル――

 今は、全て忘れよう。

76 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:40:34 ID:TUctyO2R0
 勝ちが欲しい。

 貪欲に。

 勝ちたい。

 星矢に。

 今は。

 ただそれだけを考えて。

 倒れるな。

 生きろ。

 死ぬな。

 放て。

 仕掛けろ。

 ――黒龍波を。


 〜〜〜〜〜 



77 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:41:35 ID:TUctyO2R0
「邪王炎殺黒龍波アアァァァァァァァッ!!!」

 ペガサス流星拳が作り出した閃光の世界――数百発の拳の先に、黒く巨大な、闇が浮かび上がった。

「な――ッ!?」

 驚愕する星矢を飲み込むように、黒炎で形作られた巨龍が顕現する。
 ロビー全体を埋め尽くさんほどの炎の龍は、周囲のオブジェを跡形もなく燃やしつくし、天に昇る勢いでその建物を破壊した。
 黒龍が天駆けるその間、星矢は黒龍の牙に捕らえられたまま、一緒に宙を舞う。
 灼熱よりも熱い黒龍の喉元で、星矢は苦痛に耐えながら反撃の機会を窺おうとするが、

「はああああああああああああああああああああああああ―――ッ!!!」

 勢いがいっこうに衰えない黒龍波の衝撃は、星矢に身動きを不可能にさせた。
 星矢を飲み込んだまま、黒龍は天へ、地へ、障害となる建物は片っ端から爆砕し、激進する。
 崩れるコンクリートと抉れる大地が不協和音を生み出し、戦いの舞台となった街を無残な廃墟へと変えていく。

 黒き龍が、街を破壊する。

 兵庫の街が、厄災に飲み込まれる。


 ――ご機嫌いかがですかな、皆さん。今回の放送は私、フリーザが担当します。
 放送も今回で六回目。さすがに悲しむことにも慣れてきましたかね?――


 放送が流れ出したのは、ちょうど黒龍波が姿を消したタイミングだった。


 〜〜〜〜〜



78 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:43:11 ID:TUctyO2R0
 黒龍波が消滅した後の光景といえば、それは正に、地獄絵図にも等しい惨状だった。
 その被害地の、ちょうど中心。
 黒龍波を正面から受け止め、街を破壊する衝撃と魔界の炎が生み出す豪熱に苦しめられながらも、星矢はまだ、生きていた。

「は、は……よく、頑張ってくれたな……」

 力ない横倒しの姿。仰向けになりながら、自信が装着しているペガサスの聖衣に語りかける。
 微かな焦げを帯び、若干輝きを弱めつつあるペガサスの聖衣。
 もしこれを身につけていなかったら、星矢は黒龍波の衝撃に耐え切れず、間違いなく絶命していただろう。

「――感謝するぜ。お前のおかげで、俺はまた少し、強くなった」

 身体を起こしきれない星矢を見下ろすように、崩れたコンクリートの残骸から、炎の黒衣を身に纏った飛影が顔を出した。
 これまでとは比べ物にならない規模の黒龍波で星矢を追い詰め、最終的にはその炎を全て自分で喰らい、妖気を増幅させる。
 これこそが、邪王炎殺黒龍波の完成形。今の飛影の戦闘力は、以前の比ではない。

「お前も……相当強いな。流星拳を喰らいながら、あんなもん撃ってくるなんて……たまげたぜ」
「……俺はもう、誰にも負けん。ただ、それだけだ」

 力なく失笑する星矢に、飛影は無表情で近づいていく。
 一歩、二歩、着実に、止めを刺すために。


 ――ラティ、志々雄真実、ボンチュー、マミー――以上の10名だ――


(放送……ハーデスの奴が、喋ってるのか? こいつ……本当に影薄いよな……大して喋んねーし……何考えてるか、全然……)

79 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:56:46 ID:TUctyO2R0
 薄れゆく意識の中で、放送を確認する。
 宿敵、ハーデスは相変わらず表に出てくるような存在ではなかった。
 他の二人の主催者とは、何かが違う。本当に存在しているのか分からなくなってくるような――不気味な存在感の無さを感じる。

(ハーデス……お前は、いったい……)

 力尽きる寸前、飛影が眼前まで迫る寸前、星矢は、聖闘士としての使命を忘れ去ろうとしていた。

 もう、限界だ。俺の力は、なんてちっぽけだったんだ。
 もう、限界だ。ハーデスたちはきっと、ダイがなんとかしてくれる。
 もう、限界だ。俺は所詮、青銅聖闘士。
 もう、限界だ。藍染を倒したところでもう、ガタがきてたんだ。
 もう、限界だ。一輝、サガ、デスマスク、すまん。
 もう、限界だ。アテナよ、無念です……。


「…………なんだ、もう抵抗する気はないのか?」

「…………」

 飛影が問いかける。
 星矢からの答えは、ない。

 死を受け入れようとしている、倒れた少年が一人。
 少年に死を与えようとしている、立った少年が一人。

 なんてことはない。
 この世界で幾度と無く繰り返されてきた、殺し合いの1ページ。
 それがまた、刻まれるだけだ。

80 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:57:38 ID:TUctyO2R0
「なら、次はあの女を殺しに行くとするか」

 ポソリ、と飛影が呟く。

「………………あ?」

 うわ言のように、星矢が聞き返す。

「東へ向かっていった女……お前が『麗子』と呼んでいた奴だ。お前を殺したら、次はあの女を殺しに行くとしよう」

 その、他愛もない、冗談みたいな、一言が。

「……なんだって?」

 フツフツと、その場に流れる小宇宙を再び燃え上がらせ、

「おい……勘違いするなよ? 俺は、ちょっとばかし前に藍染っていうそれなりに強いヤローと戦ったばっかなんだ」

 狙い通り、飛影の狙い通りに、

「それで少しばかり体力を消耗してだな……全快の俺だったら、お前みたいなチビ秒殺なんだよ……」

 諦めかけていた星矢の闘志を、震い立たせた。

81 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:58:32 ID:TUctyO2R0
「やるのか? チビ」
「チビはお前だぁぁぁ! 聖闘士の力を嘗めるなよ――ッ!!」

 気合一声、二つの脚で見事立ち上がって見せた星矢は、再度飛影に向き直った。
 もう、仲間を失わないため。
 一輝、サガ、デスマスク――
 石崎、富樫、太公望、キルア――
 誰かが死んで、誰かが悲しむ。
 こんな腐ったループは、絶対に止めなければいけない。


 ――俺が死んだら麗子さんやまもりさんが危険になるし、それに、

 ――俺が死んだら、みんなが悲しむだろ?


 だから、ここでは死ねないのだ。

「死ねェ――――ッッッ!!」

 黒龍波の妖気による衣を纏い、飛影が突進を仕掛ける。
 星矢はその場にどっしりと構え、必殺のペガサス流星拳で迎撃しようとした。
 しかし、極限を越えた疲労は黙らせられないのか、無骨な動きを見せつつ振り被る腕は、重い。
 飛影はその刹那、自身の勝利を確信的なものにした。
 目の前に立つこの男に、最早満足な攻撃は無理なのだと。
 悟って、「つまらん」と思いつつも、拳を振るう。
 なんにせよ、これで『勝ち』だ。
 今度こそ、文句なしに、『勝った』。

82 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 22:59:35 ID:TUctyO2R0
「――」

 ――風を切る音は、実に気持ちのいいハーモニーを奏でてくれた。
 振り被った拳が対象を捉えられなかったのは、なんの間違いか。
 飛影の拳による攻撃は、当たらなかった。
 避けられたのだ。

 その一瞬――制限を凌駕し、光速のスピードを取り戻した星矢によって。

「残像だよバカ!」

 飛影が見せた残像、そして藍染が駆使していた『瞬歩』。
 その動きから学んだ、星矢オリジナルの光速瞬間移動術が、飛影の攻撃を完璧に回避した。

 星矢は、
 気づいたら、

(――背後に――――ッ!?)

 回りこんで、
 飛影の身体を掴み、
 空へ、

(昇っていく――ッ!!?)

 そして、
 落ちていく。

 「 ペ ガ サ ス ロ ー リ ン グ ク ラ ッ シ ュ !!! 」


 〜〜〜〜〜

83 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:00:28 ID:TUctyO2R0


 ――それではまた六時間後。今度は、夜にお会いしましょう。


 放送が終わりを告げ、フリーザの言霊は空へ消えていく。
 その頃、兵庫県での激戦には終焉が訪れ、闘争者が二人、並ぶように横たわっていた。

「クソッ! あとちょっとってところで、しくじっちまった!」

 ピクリとしか動かせない身体をジタバタさせながら、星矢は悔しそうに叫んだ。
 飛影の突進に対し、最後の力を振り絞って仕掛けたペガサスローリングクラッシュのカウンター。
 限界を超えていたにも関わらず、あの技を出せたのは、正に奇跡の賜物といえよう。
 ……いや、ひょっとしたら、『また』仲間が力を貸してくれたのかもしれない。

「……何故、俺を殺さなかった」

 こちらも全てを出しつくし、黒龍波の妖気もほとんど消え失せてしまった飛影が、呟く。

「ああ? 言っただろ、しくじったって。俺が万全の状態だったら、お前今頃死んでたぞ」

 激突の寸前、ペガサスローリングクラッシュの体勢が崩れてしまったのは、その衝撃に星矢自身が耐え切れなかったからだ。
 藍染戦のダメージと疲労、そして煉獄焦や黒龍波を正面から受けた代償は、しっかりと体に残っていたのだ。
 決して、飛影に情けをかけたわけではない。

「あー、完璧に決まったと思ったんだけどなー。ここぞって時にミスしちまった。これじゃあ一輝達に笑われちまう」

 そう、決して。
 星矢は飛影という好敵手相手に、無礼のないよう全力を出し切ったのだ。
 その結果が、二人を生かしている。

84 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:02:03 ID:TUctyO2R0
「なぁ、お前。そういやさ、まだ名前聞いてなかったよな?」
「……飛影」

 横たわる二人、身体を起こそうともせず、戦意を消したまま語り合う。

「飛影、か。俺の名前は、星矢ってんだ。よろしく頼むぜ」
「フン。さっきまで殺し合いをしていたというのに、何がよろしくだ」
「ハッ、それもそうだな。でも、ま、もう終わったことじゃんか」

(何が終わったと言うんだ。俺はまだやれるぞ)
 黒龍波の反動による眠気と闘いながら、飛影は心の中で星矢に対し不服を漏らしていた。

「飛影……相談なんだけどよ、お前、俺たちの仲間にならないか?」
「…………なに?」
「お前がさっき撃った技、黒龍波だったか。あの炎から発せられた小宇宙はスゲー禍々しかったけどよ……でも、藍染みたいに腐っちゃいない。
 あいつの小宇宙をドブ川と例えるとだな、お前の小宇宙は洗えば綺麗になる下水道みたいなもんで……あれ? あんまりいい表現じゃないなこれ?」

(何を言っているんだコイツは。だいたいコスモだとかアイゼンだとか、いったい何のことを言ってるんだ)
 変な奴、と感じていた。
 同時に、幽助に似ている、とも。

「要するにだな、俺たちは脱出して、ハーデス達主催者を一網打尽にしてやろうって考えてるんだ。そのために、お前に力を貸して欲しいんだよ」
「バカか貴様は。俺はお前を殺そうとしていたんだぞ。今だって、余力が残っていれば瞬殺してやるところだ」
「その時は、俺も全力で抵抗させてもらうさ。……でもよ、お前の小宇宙は、俺みたいな奴に無差別にぶつけるもんじゃない。
 ハーデスみたいな強大な力にぶつけてこそ、真の力を発揮すると思うんだ。その方が、お前も楽しめるだろ?」

「…………フン」

 否定はしなかった。
 主催者達の力の強大さには気づいていたし、いけ好かないとも感じていた。
 奴等の手の平の上で踊るのは、真っ平ごめんだ。だが、強い奴と戦うという欲望は無視できない。

85 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:03:31 ID:TUctyO2R0
「ハーデスは強い。バーンって奴もなかなかみたいだが、こっちにはダイもいるしな。勝算はある。
 きっと損はさせないぜ。だから、俺たちと一緒に――」

 星矢の和やかな口調を遮るかのように、飛影はむくっと立ち上がった。
 そのまま星矢の顔を見ようともせず、向かう先は明後日の方向。立ち去ろうというのか。

「おいっ、どこ行くんだよ飛影」
「貴様とつるむ気はない。俺は俺で、勝手にやらせてもらう」

 今にも睡魔で倒れそうな身体をフラフラと操作しながら、飛影は強がりじみた言葉を吐く。
 あくまでも一匹狼を貫く。たった一人で、歩くつもりなのだ。

(ったく、素直じゃない奴だな……)

 苦笑しながらも、星矢には分かっていた。
 飛影はきっと、こちら側に来てくれる。
 直に小宇宙をぶつけ合って、感じたのだ。
 こいつは、ハーデスの下でいいようにされて黙っているような器じゃない、と。
 必ず反旗を翻す。その時には、何食わぬ顔で隣に現れてくれる。

 そう、確信して。

 星矢が、去り逝く飛影の背中を五メートル先に見た時、

 二人の間に、セーラー服の女性が一人、飛来した。

(え――?)「臓物を、ブチ撒けろッッッ!!!」


 〜〜〜〜〜



86 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:04:33 ID:TUctyO2R0
『衝突』による移動の時間は、本当にあっという間だった。
 香川のダム施設内でダイ君と戦っていた私の身は、どことも知れぬ廃墟の街に転送。
 目の前には、『衝突』の対象になったのであろう、黒髪を逆立たせた小柄な少年が立っていた。

 そのボロボロに傷ついた身体を見て、ピンときた。
 さらにスカウターで確認してみると、やはり。
 この少年の戦闘力、恐ろしく低い。
 おそらくは戦闘直後だったのだろう。
 又とないチャンスと感じた私は、瞬時にバルキリースカートを振り上げた。
 外見的な特徴から推測しても、この少年がピッコロである確率はゼロ。
 つまり、殺害してもなんら問題はない。

「臓物を、ブチ撒けろッッッ!!!」

 四つの刃が、虚をつかれた少年を襲う。
 その切っ先が届こうとした刹那、スカウターの反応が、上昇した。

(ッ! 消えた――!?)

 戦闘力の瞬間的な上昇と共に、少年は影の如き速度でバルキリースカートの一撃を回避した。
 が、その戦闘力もすぐに元に戻る。
 やはり、満身創痍の身体か。
 ならば逃す手はない。
 私はここぞとばかりの追撃を仕掛けようとするが、バルキリースカートを引き戻した後、背後にもう一つ反応があることに気づいた。
 振り向くと、そこには鎧をつけた別の少年が。
 この少年は知っている。
 放送前、私が岡山県で遭遇したグループ……その中の、星矢という少年だ。
 彼自身も相当な重傷を負っているところから見て、どうやら、黒髪の少年はこの星矢とやり合ったようだ。
 そして星矢は黒髪の少年と違い、仰向けで地に倒れている。
 その上、私という顔見知りの突然の出現に、完全に混乱しているようだ。

87 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:06:26 ID:TUctyO2R0
 状況を整理しているのだろうな。
 可哀想に。
 だが、悪く思わないでくれ。
 キミはあまりにも、
 そう、あまりにも、
 格好の、標的(マト)だ。

「げふっ」

 私は動揺を見せる星矢の腹部……ちょうど臍のある位置目掛け、バルキリースカートの刃を突き立てた。
 一刃、二刃、三刃、四刃。
 連続して突き立てた後は、二本ずつ左右に動かしていく。

「はらわたをぶちまけろ」

 綺麗に割腹された星矢の腹は、ピンク色の臓物をブチ撒け、赤い鮮血を吹き散らす。
 すまんな。
 いきなりのことで、何がなんだか分からなかったことだろう。
 だが、何も考えなくていいんだ。
 キミは、もう間もなく死ぬ。
 両津やダイに起こった悲劇も、キミが知る余地はない。
 せめてもの情け、今、楽にしてあげよう。

「邪王――」

 おっと、もう一人の死に損ないを忘れるところだったな。
 振り向いた先には、その辺の残骸から拾い上げたのであろう、先端が尖った鉄パイプを手に構える黒髪の少年がいた。

「炎殺剣!」

88 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:07:37 ID:TUctyO2R0
 これは驚いた。
 少年の手から放たれた鉄パイプの先端は突如として炎を帯び、信じられないスピードでこちらに迫ってくる。
 窮鼠猫を噛む、か――冷静に対処すれば防げぬ攻撃ではない、が、完全に虚をつかれたな。
 バルキリースカートで弾き落とそうとした鉄パイプは予想外の加速を見せ、私の顔面を狙ってきた。
 どうにか避けることには成功したが、頬を掠めてしまった。
 ダメージはないが、ボンッ、という小さな破裂音が。
 くそっ、スカウターがやられたか?
 まあ、今はそれよりも目の前の獲物だ。
 どうやら今のが精一杯の抵抗の様子。
 これ以上の攻撃はないだろう――ならば、今度こそ仕留める。

 ガッ

 黒髪の少年に襲い掛かろうとした私を止めたのは、臓物をブチ撒けたはずの星矢だった。
 人間の生命力とは、本当にしぶといものだな。
 死人同然のくせして、相当な力で私の足首を掴んでいる。

「逃げ、ろ……ひえ、い…………」

 ほう、あの少年は飛影というのか。
 しかし妙だな。てっきり、星矢と飛影の二人は敵対しているかと思ったのだが。
 まぁ、あまり考える必要もないか。
 どうせ、二人ともここで死ぬ。
 私は、私の足首を掴んで離さぬ星矢の腕に再度刃を突き立てた。
 一刃、二刃、三刃、四刃。ガシャンガシャンと可動音が鳴る。
 五刃、六刃、七刃、八刃。ガシャンガシャンと可動音が鳴る。
 八度ほど刃を動かしたところで、星矢の腕は手首から切断された。
 これで、私の足を縛るものは何もない。

89 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:11:00 ID:TUctyO2R0
 さて、飛影とやらを追うか。
 私が改めて振り返ったそこには、飛影は既にいなかった。
 幾らか先を見渡してみると、瓦礫の山を駆け上る猫か鴉のような影が一つ、死に掛けとは思えないスピードで蠢いている。
 もうあんなところまで逃げられたか。
 スカウターで索敵を試みるが、起動しない。
 くっ、やはり壊れたか。
 私は、仕方なくスカウターをその場に放棄し、飛影を追おうとした。
 彼のスピードはかなりのもののようだが、攻めるなら疲弊しきった今をおいて他にない。
 と、足を動かしたところで思わぬ盲点に気づいた。
 星矢の仲間、秋本麗子に姉崎まもりの存在だ。
 星矢は、大阪に向かっていった彼女等を追って行ったはずだ。
 だとすれば、時間からしてここは兵庫か京都の辺りか。
 幸か不幸か、距離的にはそれほど移動していないようだ。
 そして、近くに二人がいない、加えて先ほどの放送でも名前を呼ばれていないあたり、まだ大阪へ向けて移動しているものと考えられる。
 このまま東へ歩を進めれば、あの二人を視野に捕らえることが出来るんじゃないか?
 あの二人の戦闘力は低かった。
 殺すことは容易だ。
 行方が掴めず、見失う可能性のある飛影を狙うより、彼女等を追う方が確実か。

 私は進路を東に取り、大阪を目指した。
 私が、今度こそ確実に殺したであろう少年には、目もくれず。
 いいぞ。
 これでいい。
 私の決心は揺ぎ無い。
 それを、今度こそ証明することが出来た。

 さて、また殺しに行くか――


 〜〜〜〜〜


90 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:12:25 ID:TUctyO2R0

 絶望  (あれ、なんだこれ?)
 臓物  (ちょ……中身、全部出ちまってるんだけど)
 憤慨  (ふざけんなよ、なんでこんなとこで)
 途方  (夢……じゃ、ないよな)
 悔恨  (マジかよ……いや、いやいやいや)
 願望  (きっと悪い冗談なんだよな、これ)
 使命  (だって、聖闘士だぜ俺? 俺が死んだら、誰が)
 虚無  (……………………)
 否定  (嫌だ…………)
 抵抗  (死ねない。仲間のためにも、生きてハーデスを倒さなくちゃ)
 苦痛  (でも……痛い)
 記憶  (ああ……)
 錯綜  (麗子さん……両津さん……ダイ……)
 希望  (そうだ……ペガサス……せめて、お前、だけでも……)
 譲渡  (あいつの……ダイの、下へ……あいつなら……)
 女神  (…………ア、テ、ナ…………)
 祝福  (ひか、りが)
 確定  (  ) 
 死亡  ()
 ――


91 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:14:17 ID:TUctyO2R0
 なんで彼女があんなことをしたのか、分からなかった。
 なんで自分の臓物が表に出てるのか、分からなかった。
 死ぬってことだけは、分かった。

 ………………………………………………………………うん。死ぬ。

 これが、逃れられないこのゲームの『ルール』なんだな。


 〜〜〜〜〜


 若き聖闘士の亡骸の傍で、元の形態を取り戻していた聖衣が一つ、悲しそうに佇んでいた。
 天馬星座の聖衣は、生涯最高の主の最後を前に、何を思ったのか。
 誰にも分からぬまま、翼が現れる。
 蜃気楼のような、見間違いの産物かもしれない。
 聖衣が宿した純白の翼は、正しく天馬のそれで。
 新たな主の下へ、旅立っていくようで。

 儚く、

 短く、

 虹のように、

 星のように、

 空へ、

 消えていった。

92 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:15:58 ID:TUctyO2R0


 〜〜〜〜〜


 ついに訪れた最大級の睡魔に、飛影は屈服しつつあった。

「くそ……」

 自らが廃墟にした街、その静かな片隅で、今は穏やかに眠るとしよう。
 あの女への逆襲も、星矢との決着も、それからだ。

(星矢……まさか、俺を逃がしておきながら死んではいないだろうな……)

 崩れたコンクリートの山を仮宿とし、その隙間から僅かに見える空を覗く。
 綺麗、というよりは煌びやかな、光が一閃、曇った空を駆け抜けていった。
 それが、星矢と同じペガサスの輝きに見えて。

(……そういやいつの間にか、雨は、止んだんだ、な)

 瞼が落ちて、今度は夢の中で。
 廻り合えた強敵と、再戦したい、と願うのだった。

93 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:17:09 ID:TUctyO2R0
【兵庫県/二日目/日中】
【秋元・カトリーヌ・麗子@こち亀】
[状態]:中度の疲労
[装備]:滅茶苦茶に歪んだサブマシンガン(鈍器代わり)
[道具]:支給品一式、食料二日分プラス二食分
   (爆発でどれが誰のか分からなくなったので、絆を深めるために平等に再分配した)
[思考]1:まもりを追い、なんとしても守り通す。
   2:琵琶湖にいると推測したリョーマも保護したい。
   3:沖縄へと向かう。
   4:主催者を倒す。



【兵庫県・廃墟化した市街地/二日目/日中】

【津村斗貴子@武装練金】
 [状態]:軽度疲労、左肋骨二本破砕(サクラの治療+核鉄効果により完治) 右拳が深く削れている
     顔面に新たな傷、核鉄により常時ヒーリング  絶対に迷わない覚悟
 [装備]:核鉄C@武装練金、リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし
 [道具]:荷物一式(食料と水を四人分、一食分消費)、子供用の下着
 [思考]1:大阪方面へ向かい、麗子、まもり、飛影を見つけ次第、抹殺。
    2:クリリンを信じ、信念を貫く。跡を継ぎ、参加者を減らす。
    3:ドラゴンボールを使った計画を実行。主催者が対策を打っていた場合、その対策を攻略する。
    4:ドラゴンボールの情報はもう漏らさない。
    5:ダイを倒す策を練る。

94 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/20(月) 23:18:05 ID:TUctyO2R0
【飛影@幽遊白書】
 [状態]全身に無数の裂傷、全身各所に打撲、重傷、重度の疲労、黒龍波使用による眠気
 [装備]なし
 [道具]荷物一式
 [思考]1:寝る。
    2:セーラー服の女(斗貴子)を殺す。
    3:星矢と決着をつける。
    4:強いやつを倒す。
    5:桑原(の仲間)を探す。
    6:氷泪石を探す(まず見付かるまいし、無くても構わない)。
    7:ピッコロ、アビゲイルを探す。
    8:弱い奴等とつるむ気はないが、ハーデス等に喧嘩を売るのも悪くはないと考えている。

※故障したスカウター@ドラゴンボール、星矢の支給品一式、食料二日分プラス二食分はその場に放置。
※ペガサスの聖衣@聖闘士星矢は、ダイの下へ。


【星矢@聖闘士星矢 死亡確認】
【残り29人】

95 :作者の都合により名無しです:2006/11/23(木) 15:34:48 ID:1T+e1zDj0
集英社に宣伝してもいいかな?

96 :作者の都合により名無しです:2006/11/23(木) 22:17:52 ID:yHOwPuCX0
>95

「すればー?」(くれよんしんちゃん調に)

 ……案外、ジャンプ編集部の人が密かにここ読んでいて、
「超こち亀」とかにちょっぴり影響及ぼしてたりする鴨。

97 :彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 ◆B042tUwMgE :2006/11/24(金) 23:22:14 ID:B8pCLLgT0
>>87の八行目を修正

私は動揺を見せる星矢の腹部……ちょうど臍のある位置目掛け、バルキリースカートの刃を突き立てた。

私は動揺を見せる星矢の腹部……鎧で覆われていない箇所を精密に狙い、バルキリースカートの刃を突き立てた。


>>88の二十三行目を修正

八度ほど刃を動かしたところで、星矢の腕は手首から切断された。

八度ほど刃を動かしたところで、星矢の腕は肘の辺りから切断された。

98 :ヤムチャVSピカチュウ:2006/11/26(日) 00:20:06 ID:NPWa2AOk0

俺は荒野のハイエナ、ロンリーウルフのヤムチャ様だ。
今度はまたワケのわからない殺し合いに巻き込まれてしまったが…
フッ、俺の狼牙風風拳で立ちふさがるものは全てなぎ倒してやるぜ。

と、目の前に一匹の黄色いネズミが現れた。
「よし、最初の獲物はキサマだーっ!!」
俺は鋭い蹴りをネズミに対して繰り出した。
しかし、ネズミはまさにでんこうせっかの速さでそれをかわす。
「なに!見かけよりやるようだな。だが…
 お 楽 し み は こ れ か ら だ ぜ ! !」

【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失・左耳喪失・左脇腹に創傷(全て治療済み)
    超神水克服(力が限界まで引き出される)・五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(伊達のもの)、一日分の食料
[思考]:1.全員をころす。
    2.悟空が見つからなくても、零時までには名古屋城に向かう。
    3.斗貴子達と合流後、四国で両津達と合流。協力を仰ぐ。
    4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
    5.クリリンの計画に協力。人数を減らす。
    6.友情マンを警戒(人相は斗貴子から伝えられている)。

【ピカチュウ】
 [状態]:通常
 [道具]:荷物一式
 [ポケモン]:自分
 [思考]:1:ピカチュー
     2:ピカピカ

99 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/26(日) 22:39:03 ID:twb2QfqT0
真っ暗な世界、一筋の光すらも差さぬ世界、黒く塗りつぶされた世界。
言葉で表すならば陳腐だが視力に頼る人間にとって恐怖に囲まれた世界――――失明した者ならなおさらだ。
殺人鬼と化した津村斗貴子の鷹爪は少年の光を容赦なく奪い去った。光の代償は自分のために作られた剣一振り、あまりに過酷なトレード。

ギィィ

背後で扉を開く音が聞こえた。
思わずダイは身構える。さっきは無我夢中で応戦したが今は難しい。暗闇の恐怖を知ってしまっている。
(誰だ・・・公主さんを殺した奴か?・・・・それともさっきの女性が戻ってきたのか・・・・!?)
剣を握る手に力がこもる。血と共に流れる汗、恐怖に押しつぶれそうな少年がそこにいた。

ミシ ミシ ミシ

濡れた足音が緊張感をより高める。
緊張、発汗、硬直、恐怖、悪寒etc・・・・

「・・・・ダイ」

呻くようなダミ声がダイの緊張を一瞬で溶かした。現れたのは両津だったのだ。
張り詰めた糸が切れ、ダイはつい膝を折った。


100 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/26(日) 22:39:58 ID:twb2QfqT0
香川県のダム施設内宿直室、血臭立ち込める部屋で二人の生者と一人の死者がいた。
死者――――竜吉公主にはカーテンを剥がしてかけてある。
本当は墓を作ってやりたかったが状況が状況だけにこれくらいしかできなかった。
「これで出血は止まると思う。でも右手の接合はもっと高位の回復魔法でないと・・・・」
ホイミの連続使用で傷は塞がったものの、痛感が消える訳ではない。断続的な痛みがこたえる。
「一応右手は持っておいて。ホップならもっと強力な回復魔法を使えるからそれまでは」
「何のワシは射撃が得意なんだ、このくらい軽いハンデにもならんさ。それよりもダイ、お前の目の方が心配だ。そのホップにいっしょに直してもらおう」
初めて出会った時、津村斗貴子はゲームのっているようには見えなかった。
それがどうだ、僅かな間に彼女は殺戮者へと変貌した。猫を被っていたということか。
あの時の会話に何かヒントがあるのだろうか? それとも別の何かがあったのか?
分からない、何もかもが謎のままだ。いや、今は放っておこう。それよりダイの目だ。
「彼女が最後に使ったのは多分、ルーラに似た魔法の一種だと思う。場所を指定してはいなかったから・・・・」
「使用者自身もどこに飛ぶか分からない可能性がある、か」
「うん、だから意外と近くに潜んで・・・・あ、そうだ忘れてた! シコクにはみんなを殺した奴がいるはずじゃ・・・・!」
「その心配は無用になったぞ」
両津はポケットから濡れてクシャクシャになった手帳を取り出し読み上げた。多少読みにくいが犯行声明分のようだ。
「大量殺戮に関わっていたのは“志々雄真実”という奴だ。鵺野先生を殺したのは違う奴らしいが・・・・そいつも東北地方に向かう最中死んだ。さっきの放送で名前が呼ばれたよ」
「そうか・・・・誰かがみんなの仇をとってくれんだね・・・・」
ダイはどこか残念なような、ホッとしたようなため息を漏らした。
正午を過ぎて死者たちの血と涙を具現化したような雨は止み始めた。


101 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/26(日) 22:40:48 ID:twb2QfqT0
互いの手当てを終えた両津、ダイは宿直室で意外なモノを発見した。
ダイの師匠、勇者アバンが記した著作、『アバンの書』。
処刑器具にしか思えない『首さすまた』。
二つとも本来の世界では早々持つことかできないアイテムだったが、二人にとっては荷が重すぎた。
アバンの書は専門知識の無い両津では読解できず、ダイは失明している。
右手を切断されている状態では両手前提の首さすまたは論外だ。
結局ホップとの合流待ちということでアバンの書と首さすまたはダイ、本来の武器を得たのでクライストは両津のサブの武器として渡した。
宿直室を出ようとした両津はダイを振り返った。竜吉公主の亡骸へ向かいうなだれているように見える。
「行こうダイ、辛いだろうが何時までもここにいても仕方が無い」
「はい・・・・では公主さん、オレ必ずバーンたちを倒します。それまでは・・・・ッッ!?」
突然正体不明の波動が伝わり空気が変わった。両津も感じたのかハーディスを抜き扉の近くに待機する。
ダイも両津の呼びかけに応じて彼の背後に回った。
10秒、20秒、30秒・・・・たっぷり5分はその状態が続いた。
外からは風の音以外は聞こえてこない。耐えかねた両津がハーディスらかクライストに持ち替え、刃を即席の手鏡にして除いてみる。
「・・・・なんじゃこりゃぁ!?」
「どうしたの両さん!? 一体何が・・・・」
「・・・・ダイ、お前超常現象ってやつを信じるか?」
「待つのではなく自らが起こす奇跡、という意味では信じるけど、何で唐突に?」
「それが起きたんだよ。何でアレがこんな所にあるんだ!?」
ダム管理施設前宿直室でそれは起きた。見覚えのあるそれは今亡き仲間ターちゃんに支給されたもの。
現在は本来の持ち主である星矢が所有する聖衣の収納箱、天馬が装飾されたパンドラボックスが鎮座していたのだった。


102 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/26(日) 22:41:40 ID:twb2QfqT0
装飾された天馬の瞳が光ったように見えた。
音も無く分解された賽のように開閉していくパンドラボックス。予想通り中身はペガサスの聖衣、だがその輝きは色あせている。
天馬を模した金属の置物、それを分解し自らの身体に装着していく星矢を二人は見ている。
「・・・つまり星矢の聖衣があるってこと?」
「ウム、信じられんだろうが・・・・っっ!?」
不意に聖衣が分裂し宿直室に向かって飛んできた。
とっさに両津が扉を閉めようとしたが間に合わず勢いに吹き飛ばされる。
「両さん!?」
両津を気づかうと同時に自らの異変を感じる。脚に何かが触れるのを感じた。触れるというか包まれる感覚だ。
その感覚は脚から腰へどんどん上がってきて最後に頭部が包まれる。
「そんな、聖衣がダイに装着されただと?」
状況を指摘されてあわてて触れてみると装甲が自分の身体を覆っている。途端に重量感が襲いかかってきた。
かつてレオナに連れて行ってもらった武器屋で板金鎧を試着したのに近いか、ズッシリとした重みを感じる。
(星矢はいつも・・・・こんな重量を背負っていたのか?)
思わずよろめき片膝をつくと右手に何か柔らかく濡れたモノが触れる。竜吉公主の亡骸だ。
その刹那――――ダイを取り巻く世界は豹変した。


103 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/26(日) 22:45:11 ID:twb2QfqT0
そこは今までとはうって変わって光り輝く世界だった。視力を失ったはずなのに光を感じる。しかも暖かい。
先まで暗闇の世界にいたせいか眩し過ぎて目が慣れるまでに少々時間を要した。
『ダイよ・・・・』
「誰だ、オレを呼ぶのは?」
ボンヤリと光の中に人影が見える。
『・・・ダイよ、そなたに伝えるべき儀がある』
光の中から現れたのは星矢とよく似た男人物だった。
「あなたは一体・・・・いやそれよりここは? 目を抉られたはずなのにあなたの姿がハッキリと見える。それにあの聖衣といい星矢はどうなったんだ!?」
『まずはそなたの問いに答えよう。ここはそなたの心の世界。夢の中といっていい』
それで全て理解できた。どういう手段を使ってか、この男は夢幻を通じてダイにメッセージを送っているのだと。
『ペガサスの聖闘士の遺志、そこに倒れし仙女の血が我とそなたを繋いだ。聖衣は強き者の血によって再生される故に』
「星矢と公主さんのおかげ・・・・? それではあなたは聖闘士の関係者?」
『然り。そして第2の問い、あのペガサスの聖闘士は・・・・地上を去った』
「それじゃ星矢は・・・・!?」
男は答えない、沈黙こそが返答であるとダイも理解した。星矢は殺されたのだと。
『悲しんでいる暇は無いぞ。こうしている間にもこの世界では殺戮が行われているのだ。伝えるべき儀を申し渡す、神妙にせよ!』
神妙にせよ、の言葉にダイはついあらたまる。
『竜騎士の流れを組む勇者ダイ、そなたにペガサスの聖衣を託す! これは星矢の遺志でもある!』
「〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
絶句するダイをよそに男は続ける。
『小宇宙、霊圧、闘気、妖力・・・・呼び方は数あれど基本は同じだ。闘志を燃やせ、それが聖衣を扱う筋道だ』
ダイの両肩を男の両手がつかむ。ゴツくて、それでいて優しい感触。
『大魔王バーンを倒すのだ、そしてアイツを、冥王ハーデスを・・・・』
そこからの言葉は聞き取れなかった。男もうつむいていて、泣いているようでもあった。
『話はそれだけだ、明日の勇者ダイ。翔けよ、選ばれた申し子のように』
ダイを放し男は現れたのと同じく光の中へと消えていく。ダイは追うがいくら走っても追いつかない。
「待ってください! せめてあなたの名前だけでも・・・・!」
『我はテンマ、かつてペガサスの聖闘士としてハーデスと拳を交えた者・・・・』


104 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/26(日) 22:45:47 ID:twb2QfqT0
「・・・ダイ。おいダイ、しっかりせんか!」
向こうの世界に行ったきりのダイの肩を両津が揺する。
「あ? あれ、両さん。ここは、テンマさんはどこへ?」
「何を云っとる、聖衣を着てからしばらくボーっとしとったぞ。夢でも見たか?」
「うん、夢っていうか、信じられないかもしれないけど・・・・」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「成るほど、にわかには信じられないが・・・・それなら辻褄が合うな」
ダイの話には両津は半信半疑だが合理的説であることは理解した。
星矢が志半ばで倒れたこと、最後の力で聖衣を届け託したこと、竜吉公主の血が聖衣を強化したこと。
決して大きくはない右手をダイは強く握られた。バーン、フリーザ、ハーデスへの闘志を込めて。
「行こう両さん、早くホップと合流して・・・・えッッ!・」
「これは・・・・奇跡ってヤツか?」
ダイは見た。両津の姿がぼやけてハッキリとは見えないが驚いている様子であることを。
両津は見た。破壊されたはずのダイの眼球が(濁りぎみだが)健在であることを。
気を取り直し最後に二人はもう一度竜吉公主に黙祷を捧げ宿直室を後にした。
外にあるパンドラボックスもダイがポイポイカプセルに収納する。
「パンドラボックス、か・・・・」
両津が誰に向かってでも無くふとつぶやいた。

神話の時代、神々は独占していた火を盗み人間にあたえたプロメテウスを拘禁するも人間たちは自分達の恩人の危機に立ち上がり彼を救出した。
怒った神々は災いの壺を人造人間パンドラに持たせ、人間界に送り込み壺を開けさせるようにしむける。
壺が開けられると世界中に悪意と疫病と災害が広がり人々は途方にくれた。その時である。壺に残ったモノの声を聞いたのは。
『ここから出してください。私は“希望”です』


105 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/26(日) 22:47:47 ID:twb2QfqT0
【香川県/ダム施設内・宿直室/二日目/午後】
【両津勘吉@こち亀】
[状態]:右手掌離断、胸部から腹部にかけて裂傷(傷は塞がっているが痛みは持続)、出血多量、体力消耗中、額に軽い傷
[装備]:装飾銃ハーディス、クライスト@BLACK CAT
[道具]:右手@両津、盤古幡@封神演技、支給品一式、食料二日分プラス二食分
   (爆発でどれが誰のか分からなくなったので、絆を深めるために平等に再分配した)
[思考] 1:大鳴門橋手前の民家で他の仲間と合流。サクラとも合流したい。
    2:仲間を増やす。
    3:沖縄へと向かう。
    4:主催者を倒す。


【ダイ@ダイの大冒険】
[状態]:視力弱化(全体がぼやけて見える)、全身に裂傷、体力消耗中程度、MP大量消費
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険 、首さすまた@地獄先生ぬ〜べ〜、ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
[道具]:アバンの書@ダイの大冒険、支給品一式、食料二日分プラス二食分
   (爆発でどれが誰のか分からなくなったので、絆を深めるために平等に再分配した)
[思考] 1:他の仲間と合流する。
    2:ポップを探す。
    3:沖縄へと向かう。
    4:主催者を倒す。

*ダイの視力は細かい文字を読めるほど回復していません


106 :明日の:2006/11/29(水) 19:22:07 ID:J+1KTFnm0
>>99-105を破棄の上、以下に修正。

真っ暗な世界、一筋の光すらも差さぬ世界、黒く塗りつぶされた世界。
言葉で表すならば陳腐だが視力に頼る人間にとって恐怖に囲まれた世界――――失明した者ならなおさらだ。
殺人鬼と化した津村斗貴子の鷹爪は少年の光を容赦なく奪い去った。
光の代償は自分のために作られた剣一振り、あまりに過酷なトレード。

ギィィ

背後で扉を開く音が聞こえた。
思わずダイは身構える。さっきは無我夢中で応戦したが今は難しい。暗闇の恐怖を知ってしまっている。
(誰だ・・・公主さんを殺した奴か?・・・・それともさっきの女性が戻ってきたのか・・・・!?)
剣を握る手に力がこもる。血と共に流れる汗、恐怖に押しつぶれそうな少年がそこにいた。

ミシ ミシ ミシ

濡れた足音が緊張感をより高める。
緊張、発汗、硬直、恐怖、悪寒etc……

「……ダイ」

呻くようなダミ声がダイの緊張を一瞬で溶かした。現れたのは両津だったのだ。
張り詰めた糸が切れ、ダイはつい膝を折った。


107 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/29(水) 19:23:20 ID:J+1KTFnm0
香川県のダム施設内宿直室、血臭立ち込める部屋で二人の生者と一人の死者がいた。
死者――――竜吉公主にはカーテンを剥がしてかけてある。
本当は墓を作ってやりたかったが状況が状況だけにこれくらいしかできなかった。
「ウム、アグゥゥ! グッ、火炙りの刑は何度も体験したがやっぱり慣れるモンじゃないな」
メラでダイの剣を熱し傷口を焼いて塞ぐ。乱暴な応急処置だが雨後だし感染が怖い。さらに断続的な痛みはどうしようもなかった。
「一応右手は持っておいて。ポップならもっと強力な回復魔法を使えるからそれまでは」
「なんのこれしき……それよりお前の目の方が心配だ。」
明らかにもっと重症なのにダイを気遣う両津。本当は倒れそうだが根性でもたせた。
(年長者が後進に心配させるわけにはいかんからな……ガマンだ、ガマン……クソッ斗貴子めッッ!)
初めて出会った時、津村斗貴子はゲームのっているようには見えなかった。
それがどうだ、僅かな間に彼女は殺戮者へと変貌した。猫を被っていたということか。
あの時の会話に何かヒントがあるのだろうか? それとも別の何かがあったのか?
分からない、何もかもが謎のままだ。いや、今は放っておこう。それよりダイの目だ。
「彼女が最後に使ったのは多分、ルーラに似た魔法の一種だと思う。場所を指定してはいなかったから……」
「使用者自身もどこに飛ぶか分からない可能性がある、か。注意せねばな」
正午を過ぎて死者たちの血と涙を具現化したような雨は止み始めた。


108 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/29(水) 19:25:03 ID:J+1KTFnm0
互いの手当てを終えた両津、ダイは宿直室で意外なモノを発見した。
ダイの師匠、勇者アバンが記した著作、『アバンの書』。
処刑器具にしか思えない『首さすまた』。
二つとも本来の世界では早々持つことかできないアイテムだったが、二人にとっては荷が重すぎた。
アバンの書は専門知識の無い両津では文章は読めても読解はできず、ダイは失明している。
右手を切断されている状態では両手前提の首さすまたは論外だ。
結局ホップとの合流待ちということでアバンの書と首さすまたはダイ、本来の武器を得たのでクライストは両津のサブの武器として渡した。
宿直室を出ようとした両津はダイを振り返った。竜吉公主の亡骸へ向かいうなだれているように見える。
「行こうダイ、辛いだろうが何時までもここにいても仕方が無い」
「はい……では公主さん、オレ必ずバーンたちを倒します。それまでは・・・・ッッ!?」
突然正体不明の波動が伝わり空気が変わった。両津も感じたのか痛み押し殺してハーディスを抜き扉の近くに待機する。
ダイも両津の呼びかけに応じて彼の背後に回った。
10秒、20秒、30秒……たっぷり5分はその状態が続いた。
外からは風の音以外は聞こえてこない。耐えかねた両津がハーディスらかクライストに持ち替え、刃を即席の手鏡にして除いてみる。
「……な!?」
「両さん、一体何が……」
「……お前超常現象ってやつを信じるか?」
「待つのではなく自らが起こす奇跡、という意味では信じるけど、何で唐突に?」
「それが起きてるんだ。幻覚、じゃないよな……」
ダム管理施設前宿直室でそれは起きた。見覚えのあるそれは今亡き仲間ターちゃんに支給されたもの。
現在は本来の持ち主である星矢が所有する聖衣の収納箱、天馬が装飾されたパンドラボックスが鎮座していたのだった。


109 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/29(水) 19:25:39 ID:J+1KTFnm0
装飾された天馬の瞳が光ったように見えた。
音も無く分解された賽のように開かれていくパンドラボックス。予想通り中身はペガサスの聖衣、だがその輝きは色あせていた。
天馬を模した金属の置物、それを分解し自らの身体に装着していく星矢を二人は見ている。
二人は先程の会話を反芻する。

“超常現象ってやつを信じるか?”
“自らが起こす奇跡、という意味では信じるけど”――――

「……つまり星矢の聖衣があるってこと? まさか星矢は」……
「信じたくは無いだろうがおそらく……」
ここにペガサスの聖衣がある理由、少々強引だが星矢もしくは聖衣の遺志がここまで運んだのだろうか? もしそうならば……。
「オレを……聖衣のところまで連れて行ってください」
両津は理解した。聖衣を運んだのが星矢の遺志ならばこれを装着する者はダイしかいない。
手を引いてダイを聖衣の側まで誘導する。盲目のダイは手探りで、慎重に分解し装着していった。
具足、ベルト、手甲、肩当て。最後に兜を被りペガサスの聖衣を全て装着した途端、重量感が襲いかかってきた。
かつてレオナに連れて行ってもらった武器屋で板金鎧を試着したのに近いか、ズッシリとした重みを感じる。
(星矢はいつも……こんな重量を負っていたのか?)
思わずよろめき片膝をつくが気力で立ち上がる。
「星矢は小宇宙を燃やすっていってたけど……それが闘志と同じものならば!!」
両目の光と引き換えに取り戻したダイの剣を握りしめ闘志を燃やす。
憤怒、悲哀、絶望etc・・・・否、そんなものは全て気合でブッ飛ばす!!
肯定するは愛、勇気、希望、友情、正義、そして誰も奪えない心の翼、すなわち夢!
剣が吠えた――――空気すらも震わせて。
小年が輝いた――――小さな身体を感じさせずに。
そして聖衣は――――神話の時代の眩しさを取り戻した。装着者の右手に竜の紋章を一瞬、浮かび上がらせて。


110 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/29(水) 19:26:20 ID:J+1KTFnm0
力を使いすぎたのだろうかダイは再びよろめいたが何とか踏みとどまる。
もう聖衣から重量は感じられない、むしろ身体の一部のように感じる……のも一瞬だった。
輝きを取り戻した聖衣はダイの身体を次々に離れて開かれたパンドラボックスへと向かいペガサスの模型に変形する。
そして開かれた時と同じく、音も無く元の正四角形に閉じられた。
「星矢の遺志はともかく、やはり聖衣はオレを完全に認めてはいないのか……」
そういえば星矢は言っていた。
小宇宙を手に入れても小宇宙を高めなくては纏えない、小宇宙を高めても行動が正しくなくては装着を拒否する。
心正しきアテナの聖闘士以外は装着できないのだと。
「ダイ、あまり気にするな。星矢がお前を認め託したんだ、きっと纏えるさ」
「もちろん諦めないさ。オレは必ず聖衣を使いこなして見せる! 俺を信じ託してくれた星矢のためにも」
気を取り直し最後に二人はもう一度竜吉公主に黙祷を捧げる。
両津はガラにも無く片膝をついてみせた。それは傷みに耐えかねて膝を折ったのを誤魔化すためだがもう限界だ。
薄れぎみの意識で見たは外のパンドラボックス。相変わらず沈黙しこちらを見つめているようだ。
「……パンドラボックス、か」
両津が傷を押さえながら誰に向かってでも無くふとつぶやいた。

神話の時代、神々は独占していた火を盗み人間にあたえたプロメテウスを拘禁するも、人間たちは自分達の恩人の危機に立ち上がり彼を救出した。
怒った神々は災いの壺を人造人間パンドラに持たせ、人間界に送り込み壺を開けさせるようにしむける。
壺が開けられると世界中に悪意と疫病と災害が広がり人々は途方にくれた。その時である。壺に残ったモノの声を聞いたのは。
『ここから出してください。私は“希望”です』


111 :明日の勇者 ◆14iGaWqIZs :2006/11/29(水) 19:31:56 ID:J+1KTFnm0
【香川県/ダム施設内・宿直室/二日目/午後】

【両津勘吉@こち亀】
[状態]:右手掌離断、胸部から腹部にかけて裂傷(傷は塞がっているが痛みは持続)、出血多量、体力消耗大、額に軽い傷、気絶寸前
[装備]:装飾銃ハーディス、クライスト@BLACK CAT
[道具]:右手@両津、盤古幡@封神演技、支給品一式、食料二日分プラス二食分
   (爆発でどれが誰のか分からなくなったので、絆を深めるために平等に再分配した)
[思考] 1:大鳴門橋手前の民家で他のメンバーと合流。サクラとも合流したい。
   2:仲間を増やす。
   3:沖縄へと向かう。
   4:主催者を倒す。


【ダイ@ダイの大冒険】
[状態]:失明、全身に裂傷、体力消耗中程度、MP大量消費
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険 、首さすまた@地獄先生ぬ〜べ〜
[道具]:アバンの書@ダイの大冒険、ペガサスの聖衣@聖闘士星矢、支給品一式、食料二日分プラス二食分
   (爆発でどれが誰のか分からなくなったので、絆を深めるために平等に再分配した)

[思考] 1:ポップを探す。
   2:目の治療をする。
   3:沖縄へと向かう。
   4:主催者を倒す。


112 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:42:51 ID:nUJAVSHb0

「――――――――――――――――――――…………………っ……」

 息を呑んで、脚を動かして、耳を傾けて。
 私――姉崎まもりは、走り続けていた。

『――ご機嫌いかがですかな、皆さん』

 放送が始まっても、走り続けて。

『あなた方は実によく働いておられる。このゲームを企画した側としても、実に嬉しく思いますよ』

 主催者の下らない戯言には興味ない。
 私が知りたいのは、ただ一つ。
 あの子の、生死だけ。
 私は、死亡者が読み上げられるのを待った。
 大阪へ向け、全力で疾走しながら。

『藍染惣右介』

 一人目――私が殺したあの人だ。

『ウソップ』

 二人目――知らない名前だった。

『小早川瀬那』

 三人目――――――――――――――――――――――――

113 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:43:47 ID:nUJAVSHb0
「……………………………………………………………」

 その瞬間、私の世界が止まった。

『大空翼、キン肉スグル、ウォーズマン、ブローノ・ブチャラティ、志々雄真実、ボンチュー、マミー』

 その他の死亡者の名が読み上げられる。でも、聞こえない。

「…………………………………………………………………………………………………………………………え」

 聞き間違いや幻聴ではない。
 確かに、読み上げられた。
 小早川、瀬那。

「こばやかわせな」

 金魚みたいに口をパクパクさせているのが分かる。
 止めようと思っても、止まらない。

「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」

 私の口は、壊れてしまった。
 同時に、思考も崩壊し始める。
 走った。
 今聞いた名を、振り払いたくて。

「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」
「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」
「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」

114 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:44:26 ID:nUJAVSHb0
 音が反響して聞こえる。
 ここはいったいどこなんだろう?
 周囲の景色が目に入らない。
 なのに、脚は止まらなくて。
 脳では、あの子の名前が鳴り続けて。
 気持ち、悪い。

「――――――――――」

 ひょっとしたら、喉が潰れてしまったのかもしれない。
 そうなるくらい、あの子の名前を呼び続けたのかもしれない。
 言葉が出せなくて、何も喋れなくなって。
 でも不思議。
 脚は、大阪へ向かって一直線に進んでる。
 変だよね? あの子は、もう死んじゃったのに――


 ゴッ


 イタっ。
 何かが、頭にぶつかった感触がした。
 その衝撃に躓いて、私は盛大にすっ転ぶ。
 唇に土の味が行き渡って、初めてそこがどこか認識する。
 森だ。地面は雨に濡れたせいか、グチョグチョに滑っていた。
 気持ち悪い。服や髪に泥が付いちゃった。
 泥だらけになった身なりを気にしていると、ふいに頭部から発せられる激痛信号を察知した。
 米神のあたりに手を触れてみる。
 ドロリ、と、ヌメヌメした感触が。
 あ、血だ。
 それもいっぱい。

115 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:45:56 ID:nUJAVSHb0
 こんなに出血して、大丈夫かと不安になる。
 でも、たしか米神とか額って、大袈裟に血が流れるものなのよね。
 なら、見た目ほど酷くはないかも。
 ん……でも、痛い。
 何でこんな怪我をしているんだろう、私。
 疑問に思って、足元に落ちていた血まみれの石を発見する。
 私は立ち上がりながら、その石を摘み上げて監察。
 ドロっとして、生暖かい。これ、私の血だ。
 ああ、そっか。これが、私の米神に当たったんだ。
 石は硬いから。どうりで、血も流れるはずだ。

 …………

 これ、ぶつけたの…………だぁれ?

 女の子が、立っていた。
 綺麗な顔立ちの、お人形さんみたいな女の子。
 顔だけ見ればアイドルに思えなくもない……でも。
 彼女の着ている服には、夥しい量の血液が付着していて。
 木陰から顔を覗かせるその姿は、アイドルというよりも幽霊みたいで不気味だった。

「……あなたが、石、ぶつけたの?」

 変だ。
 喉が渇いているのか、うまく喋ることが出来ない。

「ねぇ、なんで? なんで、こんなことをするの?」

 私はただ、大阪へ向かおうとしていただけ。
 あの子を守るため、精一杯走っていただけ。
 今回ばかりは、誰を殺そうとか、そういう考えは全部忘れていたのに。

116 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:49:27 ID:nUJAVSHb0
「どうして……邪魔するの?」

 女の子は、答えてくれない。
 私の顔を、監察日記をつけるような熱心さで凝視したまま、いっこうに目を放さない。
 私の顔に、何か変なものでも付いてるのかな。
 分からない。分からなくていい。
 知りたいのは、一つ。
 あなたは、私の邪魔をするのかどうか――


  ♪


 月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月

『やったよ月! ミサの投げた石、あの女の頭に命中したよ!』
『ああ、よくやったぞミサ。彼女も相当なダメージを受けているようだ』

 ライトライトライトライトライトライトライトライトライトライトライトライト

『でも……あの女、ひょっとしたらすごく強かったり……しないかな?』
『何も不安がることはないさ。僕の推理では、彼女はただの人間。ミサでも問題なく殺せる』

 らいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいと

『本当!? ミサでもやれるかな?』
『もちろんさ。さぁ、頑張って殺しておいで――僕のために』

 LightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLight

『うん! ミサ頑張るから……だから、月。ちゃんと傍で……見てて、くれるよね?』

117 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:50:35 ID:nUJAVSHb0


  ♪


 女の子が迫ってくる。
 その細い腕に、先端の尖った棒を携えて。
 私に向かって、ゆっくりと。

 一歩、
 二歩、
 三歩、

 危機感を感じていないわけではなかった。
 ただ、頭がふらついて、どうにも足取りが重い。

 一歩、
 二歩、
 三歩、

 石をぶつけられた衝撃が、私の動きを鈍らせているようだった。
 本当ならこのまま気絶したい気分……でも、彼女が迫ってくる。

 一歩、
 二歩、
 三歩、

 逃げなきゃ――そう思ったときにはもう、遅かった。

118 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:51:57 ID:nUJAVSHb0

 ぽすっ

 優しく、彼女の身体が私に圧し掛かる。
 軽い。全身を預けられているというのに、酷く軽い。
 きっと食事もあまり取っていないんだろうな。

 すぶり

 私がどうでもいい心配している最中も、彼女の狂気は納まらなかった――そのことに、気づけなくて。
 小さな水音と、腐ったような悪臭がして。そこから、腹部に痛みを感じた。

 ぽたぽた

 一瞬、ああ、また雨が降ってきたんだな。と錯覚した。
 でも、空は曇っているだけで、何も落としてはいない。
 雫の垂れるような音の正体は、私のお腹から滴る血だったんだ。

 ぐりぐり

 私のお腹の中で、彼女の握った槍が回転を始める。
 ドライバーでネジを回すみたいに、中の色んなものをかき混ぜてしまう。
 それを自覚すると、もうあとは痛みしか感じなかった。

 痛い。やめて。痛いから。やめて。お願い。本当に。お願い。お願い。死んじゃう。

 死んじゃうよぉ。死んじゃったら、死んじゃったら、死んじゃったら、死んじゃったら。

 もう、あの子が守れなく――

119 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:53:14 ID:nUJAVSHb0
「…………こばやかわせな」

 私は、枯れた喉から彼の名を搾り出した。

「小早川、瀬那」

 あの子の、私が守ってあげなくちゃいけない、弱いあの子の名前を。

「セナ!」

 掛け替えのない、存在を、守るため!


「あっ!?」

 私は精一杯の力で彼女の身を引き剥がし、そのまま体当たりで吹き飛ばした。
 べちょっ、という汚らしい音を鳴らし、彼女の身体は泥の中へと倒れこむ。
 とりあえず窮地を脱した私は、腹部に突き刺さった槍を力任せに引っこ抜く。
 私の血がべっとり付いた槍……見ているだけで気持ち悪い。
 私はそのまま槍を握り締め、倒れたままの彼女に向かって投擲した。

「ッ痛い!」

 へろへろな軌道で放られた槍は彼女の綺麗な生足を掠り、一筋の血線を残して地に転がる。
 串刺しにするつもりで投げたものの、頭部と腹部から来る痛みのせいか、少し狙いを外してしまったようだ。
 それでも効果は覿面。彼女は痛みに悶え、泥だらけの地面を転げ回る。
 滑稽だった。そうだ。私の邪魔なんてするから、こういう目に遭うんだ。
 私を殺そうとするなんて、そんな――

120 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:53:56 ID:nUJAVSHb0
「……小早川、セナ君は……死んだよ」

 呟く。

「え?」
「放送、聞いてなかったの? 私、少し前まで彼と一緒だったの。セナくんは、パピヨンっていう蝶々仮面の変態に殺された」

 え?

「あなた、ひょっとして姉崎まもりさんじゃない? セナくんの友達だっていう」

 私は、彼女が何を言っているのか理解できなかった。
 だけど脳は、必死に命令を下す。
 ――武器を手に取れ。
 ――あいつを殺せ。
 そんな風に。

 私が持っている唯一の武器である鉄パイプ。それを躊躇いもなく取り出したのは、本能が呼びかけていたからなんだと思う。

「逢いたかったんでしょ? でもざんねん。あいつはね、ミサが武器をあげたにも関わらず、Lを殺すことができなかった。
 本当にざんねん。すっごい無駄死に。グズの上に、クソの役にも立たない。生きてる価値もない、どうしようもないダメ人間」

 ああ、そっか。
 私がずっと彼女に抱いていた嫌悪感の正体は、これだったんだ。

 そのことに気づいた私は咄嗟に駆け出し、鉄パイプを強く握り締め、振り上げる。
 私の行動に口を黙らせた彼女を目下に、腕に思い切り力を込め、振り下ろした。


 ガスンッ


121 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:55:46 ID:nUJAVSHb0
 彼女はセナを知っている。
 セナが死んだことも知っている。
 知っておきながら、その死を嘲笑う。
 なぁんだ。

 セナを虐めていたのは、彼女だったんだ。


 ガスンッ

 ガスンッ

 振り下ろす、振り上げる、振り下ろす。

 ガスンッ

 ガスンッ

 何度も何度も、音が鳴り響く。

 ガスンッ

 ガスンッ

「痛い……痛い……」

 ガスンッ

 ガスンッ

 彼女の言葉は、聞こえない。もう、聞かない。

122 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:56:27 ID:nUJAVSHb0
 ガスンッ

 ガスンッ

「痛い……ね、べぇ……ご、でぇ……本当に、いだい、ぐげっ、」

 ガスンッ

 ガスンッ

「や、べて……ミサ、アイド、どぅだから……痛いの、や、だか、ら……」

 ガスンッ

 ガスンッ

 さっきから口を動かして、何か言っている。
 知るもんか。セナはもっと痛い思いをしたんだ。

 ガスンッ!

 ガスンッ!

 よりいっそう力を込めたら、彼女は口を動かすのをやめた。
 死んだ? ううん、まだ生きてる。単に抵抗するのをやめただけだ。

 ガスンッッ!!

 ガスンッッ!!

123 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:57:39 ID:nUJAVSHb0
「あべぇっ」

 ――喉の奥底から、搾り出したような嗚咽が聞こえた。
 ……死んだ? 死んだの、かな?
 まだ分からない。もっと叩かなきゃ。
 私は、休まず鉄パイプを振り上げる。


「――――まもりちゃん!」


 もう何度目か分からない殴打の最中、私の身体は何者かに体当たりされて、吹き飛ばされた。
 泥だらけの地面の上、仰向けに倒れてしまった私はすかさず身を起こし、謎の襲撃者に対処しようと試みるが、

「もうやめて、まもりちゃん!」

 ――上半身だけ起こしたところで、私の身体は、麗子さんの手によって羽交い絞めにされてしまった。
 お互いに抱き合ったような状態で、二人の距離は完全にゼロ。
 幸いにも手から鉄パイプは離れていなかったが、この密接した状態では殴るに殴れない。
 鬱陶しいのに、引き剥がせない。
 私は、セナを虐めたあの娘を粉々にしなきゃいけないのに。

「もういい! もういいのよまもりちゃん! あなたはもうこれ以上、罪を重ねる必要はないの!」

 何が、もういいって言うの?
 セナが死んだから?
 ……認めない。私は、絶対に認めない。

「うるさい……私は……セナのために……あの女を殺……」
「バカ!」

124 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 19:59:25 ID:nUJAVSHb0
 全部言い切る前に、私の言葉は麗子さんの一喝によって掻き消された。

「あなたもう、十分頑張った! もうこれいじょう頑張る必要はないの! もう休んで、普通の女の子に戻っていいの!」

 頑張った――――私が?
 そんな、だって私は、まだセナを守れてない。

「あなたが守りたかったセナちゃんは、もう死んでしまったのよ!」

「――!」

 聞きたくなかった。
 でも、耳が受け入れてしまった。
 その言葉を。覆しようのない、その事実を。

「悲しい気持ちは分かる! 悔しいって思いも分かる! でも……でももうどうしようもないの! まもりちゃんが足掻く必要は、もうどこにもないの!!」

 ――痛いよ、麗子さん。
 そんな正面から正論をぶつけられたら、私、どうしていいか分からなくなっちゃうよ。

「う……」

 私が守りたかった。
 死なせたくなかった。
 小早川瀬那。
 生きてて、欲しかった。なのに。

「……っぐ」

 どうして。

「ぐっ……うぇ」

125 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:01:15 ID:nUJAVSHb0

 ……どうして……セナが……死んで……

「……どうして……セナが……死んで……」


 あの子は、何も悪いことしてないのに……

「あの子は、何も悪いことしてないのに……」


 ……なんで、なんで殺されなきゃ……

「……なんで、なんで殺されなきゃ……」


 う、っぐぇ……うう……っ……〜〜

「う、っぐぇ……うう……っ……〜〜」


「まもりちゃん……」

 麗子さんの両腕が、私の血塗れの身体を優しく包み込む。
 聖母さまみたいな印象を感じた。
 どんな罪も洗い流してくれるような、そんな気さえしてしまう。

126 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:01:58 ID:nUJAVSHb0

「ぅ――――――――――――ぁ――――――――」

「悲しさを、閉じ込めないで。あなたはもう、泣いていいから」


「ぅわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 安心した私は、思い切り泣きじゃくった。
 セナという掛け替えのない存在を失ってしまった悲しみに、ただただ打ちのめされて。
 狂気も全部、悲しみで埋め尽くして。
 泣いて泣いて泣いて、泣き続けた。

 押し寄せてくる涙は、決壊したダムのように止め処なく。
 麗子さんはただ黙って、私を優しく包みこんでくれた。
 視界はとうに水没してしまい、麗子さんがどんな表情をしているのかさえ分からない。

 ザッ

 もう一度、セナに会いたかった。
 人殺しになった私を見て、軽蔑されてもいい。
 それでも、もう一度セナに会いたかった。

 ザザッ

 私がついてるから、大丈夫。
 私が守ってあげるから、大丈夫。
 最後はヒル魔くんも生き返って、もう一度クリスマスボウルを目指せるからって。

127 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:02:47 ID:nUJAVSHb0

 ザザザッ

 言ってあげたかった。
 安心させてあげたかった。
 今さら後悔しても仕方がないけど。

 ドスッ

 私は、セナに会い…………!?


「………………あ、れ?」


 ヌルリとした感触が、手の平いっぱいに広がる。
 同時に、腹部の辺りにも痛みを感じた。
 そのせいか、涙でぐじょぐじょになっていた視界は一瞬で晴れ、目の前の光景を映し出す。

 傍には、私を抱いたまま苦悶の表情を浮かべる麗子さん。
 その奥には、どこかで見たセーラー服の女性が立っていて――

「ぁ」

 ――津村、斗貴子。

 どうして、彼女がここに?

 ううん。それよりも。

 どうして、麗子さんの背中にあんなものが――

128 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:03:32 ID:nUJAVSHb0


  ♪


 救いたかった。
 殺し合いなんていう馬鹿げた呪縛から、あの子達を解き放ちたかった。
 キルアちゃんも、リョーマちゃんも、星矢ちゃんも、まもりちゃんも。
 こんな世界にいるべき人間じゃないから。
 それが大人としての義務であり、警察官としての仕事だから。
 こんなの、私の自己満足かもしれないけど。
 でもやっぱり、何の力もない子供達が殺し合うっていうのは、間違ってると思う。

 胸が痛い。
 視線を落とすと、私の胸部を金属の刃が貫いているのが分かった。
 その刃は深く貫通し、まもりちゃんの腹部にまで届いている。
 いけない。まもりちゃんが不安そうな顔をしている。
 笑わなきゃ。痛いけど、頑張って笑って、この子を安心させてあげなくちゃ。

「……大丈夫よ。まもりちゃん」

 怯えないで。私は、平気だから。 

「星矢ちゃんが、言ってたでしょ? ハーデスを倒せば、きっとみんな生き返る。セナちゃんとも、きっとまた会える」

 そうよ。そうすれば、圭ちゃんや部長さんにも、また会える。
 もちろんその時は、両ちゃんも一緒に。
 また、亀有公園前派出所に戻れる。

129 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:04:12 ID:nUJAVSHb0

 今頑張れば、きっと日常を取り戻せるから。


 だから、ねぇ、


 笑いましょ?――――――



 ザンッ


 ボトッ


 コロ……

 コロ……

 コロ…………


  ♪



130 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:05:24 ID:nUJAVSHb0
 初めから、こうすればよかったんだ。
 そもそも、『臓物をブチ撒ける』なんていうのは、憎きホムンクルスに苦痛を与えるための殺し方だ。
 相手がなんの罪もない、ただの人間であるというならば――苦しめず、楽に逝かせてあげるのが、せめてもの情けだ。
 こんな風に、『首から上』を斬り落とせば。
 胴体と脳を完全に遮断してしまえば、痛みを感じることも死を実感することもなく、楽に死ねる。
 もっと早く、このやり方に気づいていればよかった。
 最初からこうしていれば、両津や星矢も苦しまなかっただろうに。

 今、一時だけ、『すまない』と言っておこう――

「麗子さん……首が……首が、ないよ…………?」

 私には、まだ任務が残っている。
 秋本麗子だけではない。彼女も殺さなくては。

 バルキリースカートを振り上げる。
 狙いは、首だ。
 大丈夫、一瞬で楽になる。

 だから、どうか、安心して――


  ♪


 ぴちゃ

 ぴちゃ

131 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:07:11 ID:nUJAVSHb0

「麗子さん……首が……首が、ないよ…………?」

 私に身を預け、力なく項垂れる麗子さん。
 その頸部には、血の断面図が浮かび上がっていた。

 ぴちゃ

 ぴちゃ

 触れてみると、新鮮な水音が鳴って、手が真っ赤に染まった。

 ぴちゃ

 ぴちゃ

 何度触っても、それは変わらない。
 いつまで経っても、頭の質感に辿り着けなくて。

 ごぷ

 ごぷ

 触りすぎたせいだろうか、断面図からは、湯水が湧き出るように血が溢れてきた。
 本来なら脳に送られるべき血液が、全部体外に放出されてしまう。

 ――そんな――
 ――どうして、麗子さんが?――
 ――どうして、どうして――
 ――麗子さんが、殺された――
 ――あの女に、津村斗貴子に――

132 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:08:17 ID:nUJAVSHb0

「――――――」

 何も言わず、麗子さんの身体は、糸の切れたマリオネットみたいに崩れていく。
 私は、その身を支えることができなくて。
 麗子さんの死体は、ぐしょっ、と地面に投げだされた。
 泥と、まだ暖かい血が頬に飛び散る。
 実感した。
 麗子さんは、死んだ。
 どうしようもないくらい悲惨で容赦なく潰され徹底的に壊された上で死んだ。
 それを実感したら、とてつもなく悲しくなって。

 でも、それ以上に。

 激怒した。

「ぁ――――――――――」

 悲しみを閉じ込めて、立ち上がる。
 鉄パイプを握りなおし、ありったけの力をこめる。

 許せない。
 許せない許せない許せない許せない。
 許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。

 駆け出した。
 何もかも、ぶっ壊したくて。

「な――!?」

 麗子さんを殺したあの女を、粉々にしたかった。

133 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:09:06 ID:nUJAVSHb0
「うおアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 声なんて、とうに枯れたと思ってた。
 でもそれは、錯覚だったんだって気づく。
 私はまだ、叫べる。怒ることが出来る。
 津村斗貴子に向かって、死ねと叫べる。

「死んでくれ」

 そう言ったのは、誰だったか。
 え?
 今の、私じゃない。

「――がふっ!」

 決死の思いで突攻を試みた私の身体は、津村斗貴子の太腿に装着された四本の鎌によって、宙に投げ出された。
 体重の軽い私は、空中で六回転半ほど回って、木に激突。その時の衝撃で、私の上に何枚か木の葉が舞い落ちる。
 不思議と、痛みは感じなかった。
 それほど大したダメージじゃないのか、打ち所が良かったのか。
 とにかく、私はまだ生きてる。
 今の内に、あの女を殺しに行かなきゃ。

「ぁ、れ」

 おかしいな、身体が、動かない。
 それに、手足がみんな、ありえない方向を向いている。
 あれ、左肘のところ、骨が飛び出してる。
 おかしい。こんなの、絶対におかしい。
 だって、全然痛くないのに。
 なのになんで、思うように動いてくれないの?

134 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:10:03 ID:nUJAVSHb0
「苦しめたくなんか、ないんだ」

 ピクリとも動かなくなった私に、津村斗貴子はゆっくりと歩み寄る。

「頼むから、抵抗しないでくれ」

 嫌だ。抵抗する。お前を殺して、この悲しみを振り払うんだ。

「頼むから、大人しく死んでくれ」

 私の眼前まで来て、彼女は、無表情だけど――どこか、悲しそうな瞳で訴えていた。
 知るもんか。
 私は、こいつを殺す。
 麗子さんは、駄目っていうかも知れないけど。
 それじゃあ、私の気が治まらないから。
 だから、許してね。

「………………やー、はー…………………………」

 
 ザクッ


 ドサッ


 ブシャァァァァ…………………


  ♪



135 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:11:13 ID:nUJAVSHb0
「……武装錬金、解除」

 血に塗れたバルキリースカートを核鉄の形状に戻し、私は、終焉を迎えた現場を直視する。
 血の海と形容するには十分な――地獄絵図が、その場に広がっていた。
 私が自らの手で斬り落とした、二つの首と首なし死体。
 それに、おそらくは姉崎まもりに撲殺されたのであろう、血塗れの少女の死体が一つ。
 皮肉なことに、全員が私の顔見知りだった。

「本当に、無残だな……」

 何を言う。
 これは、私自身がやったことではないか。
 人を殺すと、私が決めたことじゃないか。
 今さら悲しんだり哀れんだりするのは、卑怯だ。

「……大丈夫。何を隠そう、私は人殺しの達人だ……」

 こんなことを言ったらカズキ、キミは怒るのだろうな。
 ……クソッ。
 私は自分の頬を引っ叩き、俯きかけていた気持ちに気合を入れる。
 ウジウジするのはもうやめだ。私にはまだ、やらなければならないことが残ってる。
 カズキ。キミに怒鳴られる覚悟など、私はとっくに出来ている。
 キミがなんと言おうと、私は進むぞ。
 ――――東へ。


  ♪



136 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:12:03 ID:nUJAVSHb0
 ………………………………………………………………勝った。

 勝ったんだ。
 もう、怖い人は行ってしまった。
 でも、まだ生きてる。
 生き延びた。

 あの女は、二度もミサの名演技に騙されたわけだ。

「ふ…………ふふ」

 立ち上がって、あたりの惨状を確認する。
 ミサを袋叩きにしてくれたあの女は、津村斗貴子の手によって首チョンパされていた。
 清々しい。なんていい気味なんだろう。
 物言わなくなった首に歩み寄り、私は満面の笑みを披露する。
 残念でした。あんなへろへろな攻撃じゃ、ミサは死にませーん。
 結局は、津村斗貴子が現れて去るまで、ずっと死んだフリをしていたミサの一人勝ちってワケ。
 悔しい? 死んじゃって悔しい?
 きっとあれだね。ミサに酷いことしたから、神様に罰を与えられたんだね。
 あ、ひょっとして月かな? 月が、天国からデスノートでこいつを裁いてくれたのかな。
 やっぱり、月はミサの王子様なんだ。月が付いていてくれれば、ミサはなんでもできる。
 羨ましいでしょ。セナ君みたいな無能なガキじゃ、こんなことしてくれないでしょ。
 戦うための力も、生き延びるための演技力も持っていないのに、ミサに歯向かうからこうなるんだ。
 ホント、いい気味。
 …………。
 ……ねぇ、何か言いなさいよ。

「…………」

137 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:12:52 ID:nUJAVSHb0
 そのどんよりと曇った瞳が、ミサを馬鹿にしているようで。
 なんだか、無性に腹が立った。
 ミサを馬鹿にする奴は、許さない。
 そんな奴には、キラの制裁が必要だ。
 私は拾った槍を逆手に握り締め、頭の上まで振り上げた。
 この女に、制裁を与えるために。
 ミサのカワイイ顔をボコボコにしてくれたこの女に、もっと惨めな死を与えるために。

「ふんっ!」

 首へ、振り下ろす。

 ザクッ

 ザクッ

「死ね! 死ね! 死ね!」

 ザクッ

 ザクッ

 尖った槍の先端が、首の表皮や髪の毛を削り取っていく。
 鮮血が飛び散り、ミサの服を赤色に染め上げる。

 ザクッ

 ザクッ

138 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:13:33 ID:nUJAVSHb0
 まだだ。
 顔の皮が全部削り取れて、脳ミソが飛び出て頭蓋骨が見えるまで許してやるもんか。
 ミサは、ひたすら熱心に槍を振り下ろし続けた。
 邪魔する奴はいない。
 月だけが、見守っていてくれる。
 ミサは、最強なんだ。


 しばらくして、ミサは手を休めた。
 あの女の頭部はもはや原型を失い、グロテスクなだけの汚物と化していた。
 ねぇ月、これ、ミサがやったんだよ。ミサが、月のためにやったの。
 褒めてくれる? くれるよね。やりィ。

「あは……あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははぁっ!」

 こんなに気持ちいいの、生まれて初めてだった。
 今まで、もうこんなの嫌だ――って思ってたけど。
 ここに来て初めて、殺し合いの世界っていうのも、
 悪くない。そう感じるようになった。

「あれ」

 急に、身体がフラついた。
 私の身体は、そのまま泥だらけの地面に倒れこむ。
 やだ、気持ち悪い。でも、眠い。
 疲れちゃったのかな。ごめんね月。ちょっと休ませて……。
 起きたらまた、月のために、たくさん殺すから――――


  ♪



139 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:15:06 ID:nUJAVSHb0


  ひょっとしたら、この世界に神さまはちゃんといるのかもしれない。

  それはもう完全無欠に立派で公平な人格者で、強い者にも弱い者にも、ただ公平に見守るだけ。

  宇宙人とか魔王とか冥界の王とかがくだらない盤上の遊戯に勤しんでいても、

  なんの力もない子供が己の力を誇示してばかりの醜い大人に惨殺されたとしても、

  少ない希望を頼りに必死に生き残る道を模索するグループがバラバラに分解されたとしても、

  決して手は出さずに、ただ黙って静観するだけなんだ。

  あぁ、なんてありがたい神さまなんだろう。

  死んじゃえ。



140 :血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. :2006/12/02(土) 20:16:15 ID:nUJAVSHb0
【大阪府/日中】
【津村斗貴子@武装練金】
 [状態]:軽度疲労、左肋骨二本破砕(サクラの治療+核鉄効果により完治) 右拳が深く削れている
     顔面に新たな傷、核鉄により常時ヒーリング  絶対に迷わない覚悟
 [装備]:核鉄C@武装練金、リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし
 [道具]:荷物一式(食料と水を四人分、一食分消費)、子供用の下着
 [思考]1:さらに東へ。
    2:クリリンを信じ、信念を貫く。跡を継ぎ、参加者を減らす。
    3:ドラゴンボールを使った計画を実行。主催者が対策を打っていた場合、その対策を攻略する。
    4:ドラゴンボールの情報はもう漏らさない。
    5:ダイを倒す策を練る。


【兵庫県南東部/森林/午後】
【弥海砂@DEATHNOTE】
 [状態]:気絶、重度の疲労、殴打による軽い脳震盪、全身各所に打撲、口内出血、右足に裂傷
     精神崩壊、重度の殺人衝動、衣服が血と泥に塗れている
 [装備]:魔槍@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式×3(一食分消費)
 [思考]1:会った人を殺す。
    2:強い人に会ったら、逃げるか演技で取り入って、後で殺す。
    3:ドラゴンボールで月を生き返らせてもらう。
    4:自分が優勝し、主催者に月を生き返らせてもらう。
    5:友情マンを殺し、月の仇を取る。
    6:ピッコロを優勝させる。


【秋元・カトリーヌ・麗子@こち亀 死亡確認】
【姉崎まもり@アイシールド21 死亡確認】
【残り27人】

141 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 22:51:17 ID:4SwmuMrWP
(誰か来る)
サクラは人の気配を感じ、薬草を摘む手を止めて息を潜めた。
幸い、相手はまだこちらには気付いていないようである。
(――どうしよう?)
一度戻ってアビゲイルに伝えるとすれば、その間に彼らは小屋へ近づくかもしれない。
まだ姿も見ぬ彼らは、もしかしたらマーダーかも知れない。
考えを巡らせ、サクラはデイバッグに今までに摘んだ少量の薬草を入れ、代わりにマルスの柄を握り、そっと彼らの方へ向った。



ここへ来て数度目にもなる見慣れた景色が目に入る。
背中に新八を負い、小屋まであと数kmという所までリョーマはたどり着いた。
そのとき、頭の中に響いたのは――
『――藍染惣右介、ウ……』
「……は!?」
思いがけない名前に小さな声を漏らす。
その声に答える者は居ない。
(あの人、死んだんだ)
立ち止まり、思考する。
とりあえず藍染に騙されたり危害を加えられる者は居なくなる。
けれど、あの常人離れしたスピードを持つ人を殺すほどの人となれば、よほど油断させる事ができる人か、よほど強い人か。
いずれにしろ、こちらも油断してはならない。
(とりあえず、早いとここの人をちゃんと休ませないと)
雨に打たれたままでは自分も新八も体力を奪われる。
小屋へ急ごうと前を見据えると、目の前にはいつの間にやら現われたピンクの髪の女性の姿があった。

142 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 22:52:15 ID:4SwmuMrWP

「動かないで」

雨音の中、その女性の声が響く。
リョーマは心の中でチッと舌打ちをした。
女性の手にはナイフ。
こちらは眠っている新八を背負っている為、両手が塞がっている。
(この態勢は、隙だらけだった……)
動くなと言われているので、下手に新八を起こすわけにもいかない。
女性の次の言葉を待つしかなかった。

「質問に答えて、あなたたちはこのゲームに乗っているの?」
「ないっス」
リョーマは女性を見据え、あっさりと即答する。
「……そう」
女性はリョーマの言葉を聞くと、ナイフを仕舞う。
どうやら向こうもゲームに乗ってはいないらしい。
(こっちを油断させる作戦かもしれないけどね)
藍染の件を思い出し、リョーマは警戒を緩めない。
「私は春野サクラ。あなたたちは?」
「……越前リョーマ。こっちは、志村新八サン」
警戒は緩めず、首を動かし新八を指す。
女性はこちらの言葉に納得したような、ほっとしたような表情を浮かべる。

143 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 22:53:48 ID:4SwmuMrWP


サクラが越前の言葉をあっさり信じたのには理由があった。
サクラには、越前の容貌に覚えがあった。
無論、実際に会ったのは今が初めてだ。
ただし……話は聞いていた――彼の先輩である、乾に。
乾と同じジャージを着ていた越前を見て、サクラは全てではないが、乾の30分以上に及ぶ自己紹介の思い出した。
次々に自分のことを話す乾の姿すら、思い出せるほどだった。
『俺が探しているのは、越前リョーマと竜崎桜乃、跡部景吾だ。越前は、俺と同じくテニス部所属の後輩だ。身長は…君と同じ位だったな――』
サクラと同じ位の身長。
『いつも白い帽子を被っていて、俺と同じジャージを着ている――』
白い帽子と、赤い色が飛び散っているが、それを除けば乾と同じデザインの服。
『三白眼で睨んで来るんだ――』
今、こちらを睨んでくる三白眼。
乾の話していた『越前リョーマ』の容貌と一致。
目の前の少年も『越前リョーマ』だと名乗っている。
(乾さんの知り合いなら、信じる)
それに加え、二人とも服装や顔色を見る限り、傷つき疲れ果てているようだ。
リョーマの手は塞がっているし、リョーマが背負う新八も動く様子を見せない。
万一、そんな彼らが攻撃してきても、先にやり返せる、という自信もあった。
「ねえ、サクラサン」
じっと2人を見つめるこちらに、不意にリョーマが声をかける。
「この人を休ませたいから、あそこに行きたいんだけど」
目線を小屋に向けるリョーマ。
「私もいっしょに行くわ、あそこには仲間がいるから、あなたたちだけで行くときっと疑われる」
サクラはリョーマの横へ行こうと近寄る。
しかし。
『仲間』
その言葉に、リョーマがピクンと反応した。
目に浮かぶ警戒の色が濃くなる。
雨音が続く以外、時間が止まったかのように静寂が流れる。

144 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 22:55:08 ID:4SwmuMrWP

「ん〜……津村さん……」
静寂を破ったのはリョーマが背負う新八の、寝ぼけて間延びした声だった。



セーラー服に、短いスカートを履いた女の人。
向こうを見ていて、表情はわからないけれど、髪はおかっぱ。
彼女の周りには、何枚もの鋭い刃物。
服にも、髪にも、刃物にも、付着している赤い色。
――こんな馬鹿な真似はしちゃだめだ!
そう叫ぼうとして、新八は声が出ないことに気付く。
女の人が振り向く。
顔には2筋の傷。
目からは、大粒の涙。
新八は彼女の名を呼ぶ。
捕まえようと手を伸ばす。
彼女は逃げるように空へと舞い、新八の手は空を切り――――


145 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 22:56:16 ID:4SwmuMrWP


空を切るはずだった新八の手は、何かを掴んだ。
ぼんやりとする意識で、自分の腕を辿りその先のものを見る。
誰かの肩。
さらに顔を上げてみれば、桃色の髪をした知らない女性。
「うわァァァァァァァァ!!今度は誰ェェェェェェェェェェ!!」
斗貴子の時の事が頭を過ぎる。
新八は驚きのあまりサクラの肩から弾かれるように手を離す。
バランスを崩してよろめき、彼を背負っているリョーマを巻き込んでその場に倒れる。
「んぎゃァァァァァァァァ!!」
新八は倒れた拍子に右腕を打ち、大声を上げ激しくもだえる。
「……あんた、何やってんの」
冷めた目でこちらを見るリョーマ。
新八は痛みのあまり叫び続け、周りの様子にお構い無しだ。
「ちょっと静かにして」
リョーマは新八の口を手で無理矢理塞ぎ、女性を見据えた。
しばらくはリョーマの手の間から声が漏れていたが、新八はただならぬ雰囲気とリョーマが傍に居る事の少しの安心で、落ち着きを取り戻しつつあった。

「斗貴子さんを、知ってるの……?」

146 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 22:58:41 ID:4SwmuMrWP
サクラは表情を硬くして、震える声で呟く。
リョーマはサクラの様子を窺うように睨み、立ち上がる。
「へえ……サクラサンもあのオネエサンの事知ってるんだ。サクラサンも、あの人みたいに『ドラゴンボール』の存在、信じてるんスか?」
「まさか!」
サクラは頭を振り、即答する。
シカマルも鵺野もクリリンも、乾も、……ナルトも。
「死んだ人が生き返るなんて、あり得ない」
肩が震える。
俯く。
下唇を噛む。
再度頭を振る。
「じゃあ、少なくともあの人の仲間じゃないんスね」
その声と同時に、サクラの右肩が叩かれた。
顔を上げれば、自分の右側にはリョーマがいる。
「小屋にサクラサンの仲間がいるんでしょ?早く」
新八を支え起こすリョーマの目から、警戒の色がほとんど消えていた。
新八は、まだ状況が飲み込めていないようで僅かに困惑した表情を浮かべながらも、サクラに笑みを見せた。
(信じてもらえた……のかしら?)
リョーマの態度の変化に、戸惑いつつサクラは考える。
彼らの言動を見る限り、斗貴子と何かあった……恐らく、襲われたのだろう。
最後にあった時の斗貴子の様子からしても、十分あり得る。
小屋に着いたら、詳しく話を聞いた方が良いかもしれない。
(でも、その前に治療が必要みたいね)
仙道に早く薬草を飲ませないといけない事も考え、サクラは二人と一緒に早足で小屋へ向かった。


147 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 23:00:56 ID:4SwmuMrWP
【滋賀県/琵琶湖周辺/日中】

【春野サクラ@ナルト】
 [状態]:ナルトの死によるショック中(大分立ち直りました)
 [装備]:マルス@ブラックキャット
 [道具]:荷物一式(二食分の食料を消費、半日分をヤムチャに譲る)
 [思考]:1.新八とリョーマを小屋に連れて行き治療。
     2.薬草を煎じて仙道に飲ませる。
     3.琵琶湖周辺で秋本麗子、星矢を捜索。
     4.四国で両津達と合流。
     5.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖
     6.ケンシロウ、洋一を心配。

【志村新八@銀魂】
 [状態]:重度の疲労。全身所々に擦過傷。特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折。上腕部に大きな切傷(止血済み)。
     顔面にダメージ。歯数本破損。朦朧。たんこぶ多数。貧血。現在の状況が読めていない
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式、 火口の荷物(半分の食料)
     毒牙の鎖@ダイの大冒険(一かすりしただけでも死に至る猛毒が回るアクセサリー型武器)
 [思考]:1.とりあえずサクラについて行く。
     2.もう一度斗貴子に会いたい。
     3.藍染の計画を阻止。
     4.まもりを守る。
     5.銀時、神楽、沖田、冴子の分も生きる(絶対に死なない)。
     6.主催者につっこむ(主催者の打倒)。



148 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/04(月) 23:02:58 ID:4SwmuMrWP
【越前リョーマ@テニスの王子様】
 [状態]:非親衛隊員。重度の疲労。脇腹に、軽度の切傷(止血済み)
 [装備]:線路で拾った石×1 
 [道具]:マキ○ン
 [思考]:1.サクラと一緒に小屋に行き、休息。
     2.新八が無茶をしないよう見張る。
     3.新八の傷を治してくれる人を捜す。
     4.藍染を殺した人を警戒。
     5.死なない。 
     6.生き残って罪を償う。

※新八は放送を聞いていない為、藍染の死亡を知りません。

149 :heaven ◆FTmqykMZ32 :2006/12/08(金) 12:03:58 ID:66V5NB+t0
雷電が承太郎の方へ近づいてくる。
「俺っすか・・・俺はその・・・・・・承太郎に会いにきたんすよ・・・チュッ 」
「え?え!?え!!?え!?!?
ちょっと電!!やめてよぅ!飛燕んがいるでしょぉ!!
は、はずかしいよぅ。これでもあたし、友情にあついんだからね!!やめてってばぁ」
「大丈夫・・・飛燕は今いないから・・・(抱きっ
承太郎の身体やわらかい・・・・・いい匂いがするっス・・・(恍惚
「や、やーめーてーよっ!!
電だけはだめだよっ!!ルキアん、ルキア〜〜ん!!
あっ、や、だめ・・・ 」
「フフ・・・ルキアんはこないっすよ・・・・チュゥゥ・・・」
「だ、だめだってばぁ!!
そんなことないもん・・・え!?勃ってるっ?
気のせいだよ!はなしてよ!うわさがホントになっちゃうよ!ルフィぃ!助けて!!
んあっ・・・や・・・」
「ルフィもこないっすよ・・・今ごろイブとお楽しみ中っす・・・

・・・・・・・

二人は天国へ突き抜けた。

【空条 承太郎@死亡確認】
【雷電 @死亡確認】
残り25人

150 :暴走列島〜信頼〜 ◆UewlsZdANA :2006/12/09(土) 00:33:07 ID:WHRgGEIcP
>>141 13行目訂正
リョーマは雨足が弱まるまで木陰で休み、その後新八を背負ってゆっくりながらも小屋まであと数kmという所までようやくたどり着いた。
よほど疲れたのだろう、背負われた新八はあれから数時間経つが目を覚まさない。
新八の寝息を聞きつつ、休んでいる間に頭の中に響いたあの放送の事を考える。

151 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 21:51:18 ID:hE539gOL0
>中断した箇所から冒険を再開する。

ピッ

再開するとこのデータは消去されます。よろしいですか


>はい
 いいえ

ピッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

152 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 21:52:13 ID:hE539gOL0
―正直なところ、さ。一刻の猶予も無いとか意気込んでみたは良いものの、
ならどうすりゃいいのかってのは全然思いつかなくてよ。

ダイを探したい。ウソップの遺志を継ぎたい。このゲームを止めたい……やりたいこと、やるべきことなら
いくらでもあるんだけど、具体的にどんなアクションをとりゃぁいいのかってなると、実際問題、情報が少なすぎるわけで。

いっそ、さっき言ってたみたいに、主催者側の刺客が来てくれれば、ギュウギュウに締め上げて、
洗いざらいゲロさせてやるんだが……なんて物騒な考えまで浮かんできやがる。

ま、Lは尋問の達人だそうだし、実際エゲツねぇ尋問しそうな雰囲気持ってるし、俺の出る幕は無さそうだけどさ。
達人って言葉で一瞬、パピヨンの野郎の顔が曇ったのには……何か、聞いちゃいけない理由があるんだろうな。

あぁ、そこの如何にも不健康そうなツラした奴がLだ。
半世紀ほど日の光を浴びたことの無いアンデッドみたいな顔色してやがるが、結構面白い奴だぜ。

隣に居る、視覚的過激派がパピヨン。圧倒的な存在感っていうか、むしろ瘴気だな、あれは。

このクソッタレなゲームで、Lやパピヨン見たいな奴に出会えたことは幸運かもな。
ダイに会えたら、自信を持って仲間だって紹介してやるんだが。Lも、パピヨンも。勿論、ウソップも。
……全部終わったら、マァムやウソップに手紙でも出してやるかな。

 ―ここは、大阪駅横の喫茶店。俺たちは、次の行動指針を決めるため、再度ここに戻ってきていた。
と、Lが徐に質問を投げてきやがった。勿論、口では雑談を続けながら。ったく、ここに来てから、一年分ぐらいの
文字を書いている気がするぜ。

(まず、一点お伺いしたいことがあるのですが、ポップさんの世界の魔法で、ワープやそれに類する能力を持つ呪文というものは
 あるのでしょうか)
(ある。ルーラやリリルーラってのが代表的だな。どっちも、術者を特定の場所へ転送する呪文だ)
(ならば、例えば、何かを透明にして、姿を隠すような呪文は?)
(あー、それならレムオルってのがあるな。対象の姿を消す呪文だ。俺は実際に見たことは無いけどな)

 肩を竦めると、一息。そこに、パピヨンの野郎が、追加で疑問を投げる。

153 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 21:54:42 ID:hE539gOL0
(では、主催者からの刺客が透明人間となって来る可能性は無いのか?……まぁ、自身が透明になっても
 服やらなにやらがそのままでは意味が無いか)
(いや、レムオルって呪文では、装備品も含めて透明になれるって話だ。呪文舐めんな。でも、
 正直、その呪文を使って主催者側の連中が隠れている可能性は無いと俺は思う。気配まで消せるワケじゃないし、
 実際、モンスターとかは透明化していても気付くっていうしな)

 また、少し間が流れ。Lは、何かを考え込むかのように俯くと、右手が踊るように文字を綴り始める。

(ポップさん、魔法について色々ご教示いただき、ありがとうございます。これまでの情報から、
 主催者の刺客が来襲してくる可能性は極めて低いという確信が持てました)

 その一言で、Lの考えが呑み込める。隣のパピヨンは、なんだかよく分からない顔をしてやがるが……そういえば、
アイツはデスノートのことを知らないんだったな。

(パピヨンさんには話していませんでしたが、支給品に、顔と名前を知っている相手の行動を操れるアイテムが入っていたんですよ。
 まぁ、私の支給品ではありませんでしたし、主催者には無効との但し書きも追加されていましたけどね)
(成程。そのアイテムを使えば、刺客から主催者の情報を得ることが出来る、だがそれは主催者側に望ましくないというコトか。
 大方、先程の主催者にかけた罠というものも、ソレを利用したのだろう?今まで俺に黙っていたというのは気に食わんが)

 デスノート。名前と顔がわかれば、そいつの死の直前の行動を操れるおっかねぇアイテムであり、Lの切り札。
つまり、例えば刺客としてサボエラ辺りが来たとして、俺が『ザボエラ:このゲームの概要を洗いざらい吐いて突如老衰で死ぬ』って書いたら、
色々言っちゃならないことをくっちゃべッた後に死ぬってことだろ?

 だから、誰が主催者側か、可能な限り俺たちに見せるわけにはいかない。なら、当面の課題は―

「つまり、主催者が持つ最大の強制力は、この首輪に他ならない。ならば、当面は、細心を尽くして首輪の調査を進めるべきでしょうね」

 まず、一つ。Lの出した結論は、主催者側からのアクションは限られているというコト。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

154 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 21:55:17 ID:hE539gOL0
―いや、二人とも理解が早くて助かる。

キン肉マン。緋村さん。セナ君。彼らは頼もしくあり、また、人間として魅力的な者達ばかりであったが、
だからこそ、一時の感情に流され、理に縛られない行動を取りがちだった。

 だから、死んだ。皆、死んだ。埃を掃うように呆気無く。事務的に流される放送で、義務的に知らされる喪失。
どれだけ楽だろう。彼のように、憚る事無く涙を流し、感情の赴くままに行動することが出来たのならば。
だが。思考の檻に、理性の枷に。論理の壁に、事象の鎖に。幾重もの楔で現実に打ち付けられた自分には、楽園へと羽ばたく翼は与えられていない。

 私たちに出来ることは、彼らの死を無駄にしないこと。恩義に報いること。
―正義は必ず勝つということを証明すること。キン肉マンに。緋村さんに。セナ君に。そして、ムーンフェイスに。

(さて、今までの情報を総合すると、主催者が沖縄に居る可能性はかなり高いな)
(おい、パピヨン。何でそんなことが言い切れるんだ?)

 と、私らしくも無い感傷に耽っていると、パピヨンとポップ君の会話を見逃しそうになり、
気を引き締める。ちなみに、ライトグリーンのツナギに黒いサンドイッチマンみたいな格好をしているのがポップ君。
口のおしゃぶりと相まって、あの前掛けが巨大な涎掛けにしか見えないのは、私の胸のうちに秘めておくこととしよう。

 あっちの、自称エレガントな変質者がパピヨン。一瞬、腐海からでてきた新種の蟲かと思わせるふざけた外見だが、
性質の悪いことに彼は本気だ。職務質問さえスルーパスできそうなその姿は、完全変態と呼ぶに相応しい。

「先程解体した、首輪の件ですよ」

 ポップ君の頭に疑問符が浮かんだのを見て、補足を加える。どうにも、技術レベルが違う世界の住人との会話は
噛み合わないところが多々出て困る。―まぁ、ポップ君の呑み込みの速さなら、あまり足かせにもならないだろうが。

155 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 21:56:21 ID:hE539gOL0

「飲み込みが悪いな。まぁ、魔法が幅を利かせているような世界の住人では無理もないか。
 つまり、だ。首輪の内部に仕込まれていた発信機やGPSは、確実に俺達の居た世界の技術、
 その延長線上で作成されていた。……延長線と言っても、サイズや強度の面で、だがな」
「そして、私たちの世界の技術では、異世界と通信するような手段は未だ確立されていません」
「ならば、爆破信号を発信する施設は、必ずこの舞台上に存在しなければならない……ここまでは分かるな?」

黒の粉が踊る。おしゃぶりを咥えた青年の前で、戯れる玩具のように。
伝える言葉は、その様は。まるで、この舞台への反逆の狼煙にも似て。

「それに加え、先程の貴様の言葉。『首輪が爆発しないのは困る』、『内部機構に魔力的なものは感じない』
 ならば、最も信頼できる場所に、爆破信号の発信装置の大元は安置されているはず。
 それは何処か……当然、ヤツ等のお膝元だろう。
 ―最初の広間での事態から鑑みるに、爆破装置は主催者とリンクしている様でもあるしな」
「待てよ。この首輪は、バーンの野郎がなんかの呪文で取り付けたものだぜ?なら、魔法の力が
 関与していないってのは早計じゃないか?」
「貴様が言ったのだろう?貴様の世界の呪文は、”術者”を転送する、と。
 恐らくだが、俺は最初から首輪は嵌められていたのではないか、と考えている。この世界に連れてこられた際に、な。
 何らかの手段で存在を隠していたため、あの異常な事態では、誰もそれを認識できなかっただけのこと。
 それが、呪文と呼ばれるものなのか、別の手段なのかは貴様の専門だろうがな」
「……!てことは、最初にバーンたちが出てきた事も、ナッパってオッサンが殺されたことも、全部……」

 信じられない……いや、信じたくない、認められないというように考え込むポップ君に、再度言葉を投げる。
これは、先程の魔法に関する質問をした際に、私が抱いていた疑問でもあったから。


156 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 21:57:23 ID:hE539gOL0

「仕込みでしょうね。実際、ナッパさんという方の名前はこの名簿には載っていない。あくまで想像ですが、彼の役割は、
 あの場で参加者が暴れだしたらそれを鎮圧、もしくは参加者と戦闘を行うことで、更にコトの異常性を際立たせるコト。
 首輪を現出させた後は、その破壊力のパフォーマンスを行うこと……これはナッパさんも知らなかったようですが。
 『これまでずっと、あんたの命令に従って来たじゃないか』という言葉は、ダブルミーニングだったのでしょう。
 電車の説明と共に、車中に彼の支給品が提供されたことも、計画の上だったとしか考えられませんね」
「畜生……!じゃぁ、俺たちはずっと踊らされてたってコトか!!」
「伊達に、神の名は名乗っていないということだな」
「何だ?あれがマジ物の神様だってのかよ!」
「少なくとも、ハーデスというのは、私たちが居た世界でも、冥府の神として知られていました。あくまで、神話上で、ですが」
「その通り。固有名、そして、それに紐付く実体を持った時点で、すでに神は神ではない。そもそも、全能ならば
 態々何かを行う必要も無いわけだ。行わずとも、全て御心のままに、というのが全能だからな」
「そうですね。四文字の神しかり、神というものは想像の彼方にあって初めて神足りえるわけです。一説には、
 最近と頓に話題に上がる”アラー”も、つまりはAl ILAH(The GOD)、日本語で言えば”神”そのままの意味ですし」
「つまり、何なんだよ?」
「つまり。主催者達も全能ではないということです。ならば、付け入る隙は必ずあります」
「NON!あるのではなく、付け入る隙は創り出すものだ!三人束にならないと何も出来ない無能な神など、全て燃やして焼き尽くしてやる!!」

 二つ目。パピヨンの出した結論は、主催者とて決して手出し不能な場所に居るわけでは無いということ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

157 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 21:59:57 ID:hE539gOL0

―フン、下らんな。この場で、このような話をしている場合では無いというのに。

 未だにおしゃぶりを手放せない口腔性愛者に、蛙井以上の引きこもり臭を発している男。
この二人を前に、現在の状況を再確認したが、結局のところ、首輪をなんとかすれば、主催者をなんとかできる以上の情報は
得られなかった。

 ならば、次は具体的な行動指針の確認。
まずは、世界最高の頭脳と呼ばれている、欝気味ニート(風味)の考えを聞いてみるとしようか。

「この周辺で人が集まりそうな場所といえば…大阪以外だと、滋賀でしょうか」
「滋賀はナシだ。例え協力者が居たところで、デメリットが余りに多い。二つの意味でな」
「要検討かと思いますが。メリットも馬鹿には出来ませんよ?情報は多いほうがいいですし、それに支給……」
「加味したところで、滋賀以外にも選択肢はあるだろう。最善とは思えんな。当初の予定通り―」

 そこに、大魔道士(自称)が口を挟む。

「おいおい、何の話をしてるんだよ?シガってとこにも大きな街かなんかあるのか?」

 一瞬の間があり、一つの事実に思い当たる。これ見よがしな落胆のポーズを作りながら、一言。
「……そうか、つくづく、この蝶・天才としたことが失念しがちだ。貴様は異世界から来たんだったな」

 Lは人差し指を口に当てると、要点を説明する。
「滋賀というのは、地図で言うとこの辺り……この舞台で一番大きな湖がある場所になります」

 その一言で、俺が言いたいことは伝わったのだろう。だが―

158 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 22:01:31 ID:hE539gOL0

「一説では、古来より、文明は水源の傍から発達してきたとも言われています。ならば……」
「いや、いい。言いたいことは分かった。だがな、パピヨン。オレはアンタとは反対の意見だ」
「ポップさん…」
「L、アンタの意見とも違う。オレは、何が待ち構えていても、シガってとこに行くべきだと思う」

―どうにも、この自称大魔道士とは気が合わない。まるで、何処かのバカを思い出させる目をしているから。

―俺の言う二つのデメリット。一つ目は襲撃者が待ち構えている確率が非常に高いということ。当然の話だ。
水源を求めて集まってくる獲物を狩るには絶好のロケーションなのだから。
もう一つは、協力者の問題。もし、協力者足りえる存在がビワコとやらの周辺にいても、有用な能力を持っている
可能性は低いということ。ゲームに乗ってない連中で、少しでも腕の立つ奴らは、当然、狩場への接触は可能な限り避けるのが道理。
万が一、友好的、且つ相当な使い手が気配を殺して水源に近寄っていたとしても、接近戦に不向きな今のパーティーで察知することは難しい。

もし、ゲームに乗っておらず、かつ相当な実力者がビワコ周辺に留まっているとしたら、それには必ず理由がある。
例えば、身動きの儘ならない仲間が居るため、水源から離れられないといった理由が。
当然、俺はそのような荷物を背負い込むつもりは毛頭ない。

―Lの言うメリット。情報…それは俺の言うデメリットを裏返したもの。つまり、どんな形であれ、複数の参加者がいるのであれば、
そこには複数の情報、そして複数の支給品があるということ。

ウソップの持っていた葉書しかり、あのおしゃぶりしかり、核鉄しかり。それが、何らかの有用なアイテムの可能性は十二分にある。
何せ、今まで生き残っていた参加者が持っているものなのだから。

159 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 22:02:51 ID:hE539gOL0

―だが、あの自称・大魔道士殿の出した結論は、双方を鑑みた結果の結論ではなく。ただ、一つ。心から。本心から出た偽善の言葉。

「ビワコってとこに、参加者が集まってくる可能性がある。ソイツ等は、ゲームに乗ったクソ野郎かもしれねぇし、
 助けを待っている連中かもしれねぇ。なら――オレは、どっちも放っておけねぇ」

 冷たい目で俺が睨めつけているを感じつつも、臆すことなく、怯むことなく。
大魔道士は、唯、前を見つめて。最善の手段ではなく、最善の行動を掲げて。

 あの偽善者を思い出させる、不愉快な眼差しで。

―ポツリ、と。知らず、嘆息と共に、一つの呟きが漏れる。

「ウソップが死んで、少しは変わるかと思えば……オマエも”偽善者”だな」
「なんとでも言ってろ。オレはずっとこのままで行く」

最後に、三つ目。ポップの出した結論は―――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

160 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 22:06:49 ID:hE539gOL0
 後に、変人ド○ールとして有名になるかもしれない建物の中、一心不乱にメモ帳を広げる二人と、黒い粉を
撒き散らしながらポージングを決める一人。

彼らもまた、このゲームからの脱出を試みている参加者である。

誰も彼もが死んでいく。世界は昏く、夜明けは見えず。

だが、英知の光に翳りなく―本当の青空は、すぐ先にと信じて。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

161 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 22:08:42 ID:hE539gOL0
【チーム:三賢者】
[共通思考]1:首輪を実際に起爆させる、若しくは起爆させた経験を持つ人物から情報を得る。
          →(パピヨンは東京での探索:ポップは滋賀での探索を提案/Lの決断待ち)
     2:主催者の居城を確定できる情報を得る。
          →(沖縄が有力候補:ポップのルーラ、『同行(アカンパニー)』で鹿児島までは移動可能)
     3:首輪の本格解除。
     4:襲撃者に対する警戒、準備。

【L@DEATHNOTE】
[状態]喧嘩傷、右肩銃創(回復済み)
[道具]:荷物一式×2(ナッパ、セナ)(片方には食料無し、食料一食分消費)
   :デスノートの切れ端@DEATHNOTE、GIスペルカード『同行(アカンパニー)』@HUNTER×HUNTER
   :雪走り@ONEPIECE、斬魄刀@BLEACH、ショットガン(残弾不明、恐らく無か極少数)、野営用具一式、
   :首輪の知識@パピヨン+ポップ 、世界の知識@L+ポップ
[思考]1:パピヨン、ポップらと同行し、主催者を打倒する。
   2:沖縄の存在の確認。
   3:ゲームを出来るだけ早く中断。
   4:死んだ仲間のことは忘れない

162 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 22:11:20 ID:hE539gOL0
【ポップ@ダイの大冒険】
[状態]:喧嘩傷(MP中程度消費)
[装備]:魔封環@幽遊白書 、アバンのしるし@ダイの大冒険
   :ウソップ作の仕込み杖(投げナイフを使用) 、死者への往復葉書@ハンター×ハンター(ウソップから譲って貰った)
   :ボロいスカーフ(ウソップの形見)、ゴールドフェザー 3本 シルバーフェザー 2本@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式×3(食料・水、4食分消費)、首輪@跡部、首輪@玉藻、爆破された首輪の破片@一輝
   : 首輪の知識@パピヨン+ポップ、世界の知識@L+ポップ
[思考]1:L、パピヨンと同行。主催者を打倒。
   2:ダイ・ウソップの仲間(ルフィ)との合流
   3:夜になったら死者への往復葉書を使ってマァムに手紙を書く。
   4:フレイザードを早めに倒す
   5:死んだ仲間のことは忘れない。
   6:全部が終わったら、マァムとウソップに手紙を出す
   
【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:腹に大穴、体力消耗中、核金で常時ヒーリング
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金 (火薬少量消費)核鉄XLIV(44)@武装練金(腹の大穴内)
    :ボロいスカーフ(首輪から監視されていた場合への対策)
 [道具]:荷物一式×4(食糧3食分消費)、ベアクロー(片方)@キン肉マン、
    :首輪@ヒソカ、首輪@一輝、首輪の知識@パピヨン+ポップ、世界の知識@L+ポップ
 [思考]:1:蘇生は不可能。だが武藤カズキとの再戦は必ず果たす。そのための情報を集める。 
     2:L、ポップと同行し、首輪や主催者についての謎を究明する。
     3:ツリ目の少年の情報を得る。ツリ目の少年は見つけ次第殺す。
     4:ドラゴンボールは信用しない。
     5:他の参加者と必要以上に馴れ合う気はない。
********************************
追加で→【大阪府・駅舎隣の喫茶店/二日目・夕方】

163 :青空の方法 ◆HKNE1iTG9I :2006/12/09(土) 22:13:09 ID:hE539gOL0
<既知事項>
*首輪
・つるつるしていて、継ぎ目が無い。ネジなども見られない。特殊な金属で出来ている。
・首輪内に機械構造が入っている。
・生死判別機能、盗聴機能、GPS、起爆装置有り。
・破損しただけでは爆発しない。火薬は誘爆しない特殊なものを使用。
・禁止エリアに投げ込んでも爆発しない。
・破損しても他の首輪は誘爆しない。
・呪いがかかっているかどうかは未知数。

*監視
・盗聴だけでなく、視覚的な監視も行われている可能性が高い。その場合監視対象は少数で、その対象の決定も恣意的。
・筆談が読解されている可能性は非常に低い。
・上空からの監視の可能性は(あまり高くないが)有り。

*主催者の居城
・沖縄の可能性が現時点で最も高い。
・居城に、爆破信号の発信装置がある可能性が高い

*主催者のアクション
・緊急事態に陥らない限り、可能性は低い

164 :death〜帝王〜:2006/12/10(日) 12:30:16 ID:+z7UoayN0
仙道は、ヤムチャの体から出現したブランド、ウルフハリケーンを凝視する。
(いっ、いっしょだぁ…俺のとぉぉ。こいつ、どこでこんなものうぉぉ…)

ヤムチャは、仙道に向きかえる。
「久しぶりだな、タカヤのこけらを二人で倒した時以来だっけな」
「それよりもだぁぁ、その物体っ…
 
 ……

 俺とやらないかっ!!!」

仙道の体から、何かが出現した。


165 :death〜帝王〜:2006/12/10(日) 12:41:40 ID:+z7UoayN0
『コンバット越前―ETIZEN―』
それが、仙道から出現したブランドの名だ。

バトルロワイアルでの優勝者のご褒美、おれは、越前リョーマを生き返らせてもらった。
誰でもよかったのだ、俺の能力を発現させるためには。
そして、魔界で霊魂生物としてリョーマは俺にに注入された。
そうだ、俺だけの俺自身のブランドだ。

「ゆけえっっ!!! ヤムチャの野郎をたたきのめせぃぃぃっ!!!」
コンバット越前は、今日もクールに襲い掛かる。


166 :death〜帝王〜:2006/12/15(金) 11:50:12 ID:SwHkfp6Q0
「待て!!!」
ヤムチャが制止した。

「こんなこと、やってる場合じゃないだろ。
 俺たちには、今タカヤを倒すという共通の目的があるんんだ。」
仙道は納得したのか『コンバット越前』を引っ込める。
「ところで、そいつは、何者なんだ?」
ヤムチャが、カインの死骸を指差しながら仙道に尋ねる。
「ふん、タカヤの部下だ、それも一番下位の下っ端のなぁ。
 こいつも、含めて奴らは『突き抜けし一族』と名乗っているようだ」



167 :death〜帝王〜:2006/12/15(金) 11:59:25 ID:SwHkfp6Q0
「恐ろしいのは、これからだぁ。
 この『突き抜けし一族』の上位の3人、つまりタカヤ直属の3幹部。
 こいつら一人の力は、俺たち二人が束になっても適わねぇぇ」
「な、なんだって」
さすがのヤムチャも冷や汗を流す。


―ここは九州中心部―

この地に3人の男がたたずんでいた。 


168 :作者の都合により名無しです:2006/12/23(土) 10:38:30 ID:scOpMngX0
保守

169 :目に映るは悲しみ、胸に秘めるは希望 ◆drwetRDQqY :2006/12/23(土) 14:45:19 ID:fqNdUXBc0
━━満身創痍の勇者たちは悲しみに暮れる暇もなく歩を進める。
   それが犠牲となった人々へしてあげられる唯一のことだと思うから━━

数時間前、兵庫へと渡ったダイと両津はかつて仲間であった者の死をみつめていた。
星矢、誰よりも誇り高く、そして優しい男であった。
聖衣がダイの下へとやってきた時に、覚悟はしていたはずだった。
こういう状況が起きているかもしれないと。

無残な仲間の死、腕はもげ、足は潰され、そしてハラワタがブチマケられているかつての同士の死は
両津の眼から悲しみの雫を伝わせることは十分だった。
この無残な仲間の死を見ることができなくてある意味ダイは幸せなのかもしれない。
しかし光を見ることのないその瞳からも確かに涙は伝っていた。

「くそ!どうしてワシみたいなオッサンが生き残ってこんな未来ある青年が・・・!」
そこではっと両津があることに気づいた。
「そうだ、麗子は?麗子はどうしたんだ」

頭が混乱していたのか、それまで誰も麗子の存在に気づかなかった。

「麗子は・・・」
「麗子さんは・・・」

「「まだ生きてる」」


170 :目に映るは悲しみ、胸に秘めるは希望 ◆drwetRDQqY :2006/12/23(土) 14:45:51 ID:fqNdUXBc0
二人はお互いに顔を見合わせ、そしてお互いの意思を理解しすぐに歩き出した。
麗子を探す。
それが二人の今の共通の意思であった。

数度、星矢を振り返りつつ、埋葬さえしてやらない自分たちに軽い自己嫌悪をおこしながらも前へ進む。
それが聖矢も望んでいることだろうと考えたから。

(聖矢さん、すいません・・・でも必ず麗子さんは守ります)

静かに決意をする。

「麗子は恐らくまだまもりを探していると思う。麗子はそういうやつだ。
現れたマーダーを聖矢が相手にしているうちに麗子は先へ進んだのかもしれないし、聖矢を殺したマーダーに狙われて逃げたのかもしれない。
いずれにしても麗子を探すことが優先だ。東へ向かうぞ」

傷ついた勇者一行は進む。
仲間が離れ、死んで行き、その身が半分に朽ち果てようとも。

171 :目に映るは悲しみ、胸に秘めるは希望 ◆drwetRDQqY :2006/12/23(土) 14:46:46 ID:fqNdUXBc0
「それにしてもヒドイ廃墟だな。どうやったらここまで建物が崩れるんだ?」

麗子がどこかで震えて隠れているかもしれない。
しかし、大きな声を出して探すこともできない。
このコンクリート群のどこかに麗子が隠れていたとしたら・・・。

歩はなかなか進まない。
もしかしたら今も全速力で先へ進んでいるかもしれない。

どちらが正しいか、不幸にも、彼らの選択は間違えであった。
今もなお彼らの距離は開くばかりであった。

そして探しものとは別の発見をすることになる。
飛影である。

「こいつは・・・おーい、ダイ。こっちに来てくれ。」

無垢な子供のようにスヤスヤと寝息を立てて寝ている少年。
こんな子供を誰が凶悪なマーダーだと思えるだろうか。
「どうやら熟睡はしてるがただ寝てるだけみたいだ・・・よっぽど疲れたんだろうな。
無理もないこんな状況で・・・。」
両津はこんな子供たちがこんな殺し合いをさせられていることに改めて腹が立った。
そしてどうかこの子供は守り抜きたいと思った。

いくらゆすっても起きない少年。

「両津さん、無理やり起こすのはやめましょう。どうやら極度の肉体的疲労で休んでいるようです。
おんぶして連れて行ってはどうでしょうか?」

これが幸と出るか凶と出るか。
勇者たちは大きな爆弾を背負って歩き出したのかもしれない。

172 :目に映るは悲しみ、胸に秘めるは希望 ◆drwetRDQqY :2006/12/23(土) 14:47:17 ID:fqNdUXBc0
【兵庫県・廃墟化した市街地/二日目/夕方】

【飛影@幽遊白書】
 [状態]全身に無数の裂傷、全身各所に打撲、中傷、中度の疲労、黒龍波使用による眠気
 [装備]なし
 [道具]荷物一式
 [思考]1:寝る。
    2:セーラー服の女(斗貴子)を殺す。
    3:星矢と決着をつける。
    4:強いやつを倒す。
    5:桑原(の仲間)を探す。
    6:氷泪石を探す(まず見付かるまいし、無くても構わない)。
    7:ピッコロ、アビゲイルを探す。
    8:弱い奴等とつるむ気はないが、ハーデス等に喧嘩を売るのも悪くはないと考えている。

173 :作者の都合により名無しです:2006/12/23(土) 15:09:39 ID:tLKK87pg0
>>169-172の空ageは、勉強男(NGという意味)です。

174 :目に映るは悲しみ、胸に秘めるは希望 ◆drwetRDQqY :2006/12/23(土) 15:09:51 ID:fqNdUXBc0
【両津勘吉@こち亀】
[状態]:右手掌離断、胸部から腹部にかけて裂傷(傷は塞がっているが痛みは持続)、出血多量、体力消耗大、額に軽い傷、気絶寸前
[装備]:装飾銃ハーディス、クライスト@BLACK CAT
[道具]:右手@両津、盤古幡@封神演技、支給品一式、食料二日分プラス二食分
   (爆発でどれが誰のか分からなくなったので、絆を深めるために平等に再分配した)
[思考]1:麗子を探す
   2:仲間を増やす。
   3:沖縄へと向かう。
   4:主催者を倒す。


【ダイ@ダイの大冒険】
[状態]:失明、全身に裂傷、体力消耗中程度、MP大量消費
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険 、首さすまた@地獄先生ぬ〜べ〜
[道具]:アバンの書@ダイの大冒険、ペガサスの聖衣@聖闘士星矢、支給品一式、食料二日分プラス二食分
   (爆発でどれが誰のか分からなくなったので、絆を深めるために平等に再分配した)
[思考]1:麗子を探す
   2:ポップを探す。
   3:目の治療をする。
   4:沖縄へと向かう。
   5:主催者を倒す。

175 :《修正版》 ◆drwetRDQqY :2006/12/24(日) 11:30:27 ID:WvK5ppfm0
━━満身創痍の勇者たちは悲しみに暮れる暇もなく歩を進める。
   それが犠牲となった人々へしてあげられる唯一のことだと思うから━━

多量の出血、そして疲労によりフラフラになりながらも持ち前の体力と根性で
ダイの手を引きながらようやく兵庫へと渡った両津はかつて仲間であった者の死をみつめていた。
星矢、誰よりも誇り高く、そして優しい男であった。
聖衣がダイの下へとやってきた時に、覚悟はしていたはずだった。
こういう状況が起きているかもしれないと。

無残な仲間の死、腕はもげ、足は潰され、そしてハラワタがブチマケられているかつての同士の死は
両津の眼から悲しみの雫を伝わせることは十分だった。
この無残な仲間の死を見ることができなくてある意味ダイは幸せなのかもしれない。
しかし光を見ることのないその瞳からも確かに涙は伝っていた。

「くそ!どうしてワシみたいなオッサンが生き残ってこんな未来ある青年が・・・!」
そこではっと両津があることに気づいた。
「そうだ、麗子は?麗子はどうしたんだ」
頭が混乱していたのか、それまで誰も麗子の存在に気づかなかった。

「麗子は・・・」
「麗子さんは・・・」

「「まだ生きてる」」


176 :《修正版》 ◆drwetRDQqY :2006/12/24(日) 11:31:30 ID:WvK5ppfm0
二人はお互いに顔を見合わせ、そしてお互いの意思を理解しすぐに歩き出した。
麗子を探す。
それが二人の今の共通の意思であった。

数度、星矢を振り返りつつ、埋葬さえしてやらない自分たちに軽い自己嫌悪をおこしながらも前へ進む。
それが星矢も望んでいることだろうと考えたから。

(星矢さん、すいません・・・でも必ず麗子さんは守ります)

静かに決意をする。

「麗子は恐らくまだまもりを探していると思う。麗子はそういうやつだ。
現れたマーダーを星矢が相手にしているうちに麗子は先へ進んだのかもしれないし、星矢を殺したマーダーに狙われて逃げたのかもしれない。
いずれにしても麗子を探すことが優先だ。東へ向かうぞ」

傷ついた勇者一行は進む。
仲間が離れ、死んで行き、その身が半分に朽ち果てようとも。

「それにしてもヒドイ廃墟だな。どうやったらここまで建物が崩れるんだ?」
両津はダイの手を引きながら廃墟の中を捜索しながら進む。
麗子がどこかで震えて隠れているかもしれない。
しかし、大きな声を出して探すこともできない。
このコンクリート群のどこかに麗子が隠れていたとしたら・・・。

そう思うと歩はなかなか進まない。
もしかしたら麗子は今も全速力で先へ進んでいるかもしれない。
どちらが正しいかなんてわからない。
しかし不幸にも、彼らの選択は間違えであった。
今もなお彼らの距離は開くばかりであった。

177 :《修正版》 ◆drwetRDQqY :2006/12/24(日) 11:32:24 ID:WvK5ppfm0
そして探しものとは別の発見をすることになる。
飛影である。

「こいつは・・・おーい、ダイ。こっちに来てくれ。」

無垢な子供のようにスヤスヤと寝息を立てて寝ている少年。
こんな子供を誰が凶悪なマーダーだと思えるだろうか。
両津は無造作に飛影をゆすってみる。

「どうやら熟睡はしてるがただ寝てるだけみたいだ・・・よっぽど疲れたんだろうな。
無理もないこんな状況で・・・。」

両津はこんな子供たちがこんな殺し合いをさせられていることに改めて腹が立った。
そしてどうかこの子供は守り抜きたいと思った。
いくらゆすっても起きない少年。

「両津さん、無理やり起こすのはやめましょう。どうやら極度の肉体的疲労で休んでいるようですし」
両津はゆするのをやめた。
「しかし、見つけてしまった以上こんな所に置いていくことはできん。いつマーダーがやってきてこいつを殺すかわかったもんじゃない」
両津も他のみなと同じようにバカであった。
優しいバカ。だからこそ、ただの人間である両津を慕ってくれるものも多いのだろう。
「・・・わかりました。僕が背負っていきましょう。
僕は失明こそしてますけど、両津さんほど疲弊してませんし、力だってこう見えて両津さんよりもあるんですから」
そういうと、ダイは飛影を担ごうとし始めた。
(ダイ・・・お前も疲れてないはずなんてないだろ。いくら勇者って言ったって失明してこんなに長い距離を歩いてきたんだ。
肉体的にも精神的にも限界が近いはずだ・・・)
しかし両津は何も言わなかった。
何か言ったとしてもダイが意見を変えることはしないだろうと思ったし、
他にいい意見があるかと言えば答えはNOであった。
そして何よりもこれ以上麗子の捜索を遅らせれば致命的になりかねないということであった。
この選択が幸と出るか凶と出るか。
勇者たちは大きな爆弾を背負って歩き出したのかもしれない。

178 :《修正版》 ◆drwetRDQqY :2006/12/24(日) 11:32:55 ID:WvK5ppfm0
【兵庫県・廃墟化した市街地/二日目/夕方】

【飛影@幽遊白書】
 [状態]全身に無数の裂傷、全身各所に打撲、中傷、中度の疲労、黒龍波使用による眠気
 [装備]なし
 [道具]荷物一式
 [思考]1:寝る。
    2:セーラー服の女(斗貴子)を殺す。
    3:星矢と決着をつける。
    4:強いやつを倒す。
    5:桑原(の仲間)を探す。
    6:氷泪石を探す(まず見付かるまいし、無くても構わない)。
    7:ピッコロ、アビゲイルを探す。
    8:弱い奴等とつるむ気はないが、ハーデス等に喧嘩を売るのも悪くはないと考えている。

204 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.02.02 2014/06/23 Mango Mangüé ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)