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【2次】漫画SS総合スレへようこそpart45【創作】

1 :作者の都合により名無しです:2006/12/12(火) 03:06:32 ID:NsYC9TkI0
元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇

SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ  
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1162629937/
まとめサイト
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm


2 :作者の都合により名無しです:2006/12/12(火) 03:07:16 ID:NsYC9TkI0
ほぼ連載開始順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

オムニバスSSの広場 (バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
AnotherAttraction BC (NB氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/aabc/1-1.htm
上・ドラえもん のび太の超機神大戦 下・ネオ・ヴェネツィアの日々(サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kisin/00/01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/05.htm
聖少女風流記 (ハイデッカ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/seisyoujyo/01.htm
上・やさぐれ獅子 下・強さがものをいう世界 (サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/yasagure/1/01.htm
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1162629937/115-119
上・鬼と人とのワルツ 下・よつばと虎眼流 (名無しさん)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/waltz/01.htm
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1162629937/240-250
Der Freischuts〜狩人達の宴〜 (ハシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/hasi/03-01.htm
シルバーソウルって英訳するとちょっと格好いい (一真氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/silver/01.htm


3 :作者の都合により名無しです:2006/12/12(火) 03:07:46 ID:NsYC9TkI0
戦闘神話 (銀杏丸氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/sento/1/01.htm
バーディと導きの神 (17〜氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/birdy/01.htm
フルメタル・ウルフズ! (名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/fullmetal/01.htm
永遠の扉 (スターダスト氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/eien/001/1.htm
WHEN THE MAN COMES AROUND (さい氏)
 http://ss-master.hp.infoseek.co.jp/kakorogu/43.htm (の218-225から)
『絶対、大丈夫』  (白書氏)
 http://ss-master.hp.infoseek.co.jp/kakorogu/43.htm (の418-424から)
虹のかなた (ミドリさん)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm
18禁スーパーロボット大戦H −ポケットの中の戦争− (名無し氏)
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1162629937/182-185
オーガの鳴く頃に (しぇき氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/nakukoro/01.htm


4 :1:2006/12/12(火) 03:09:42 ID:NsYC9TkI0
こんな感じでよかったですかね?

5 :作者の都合により名無しです:2006/12/12(火) 07:44:11 ID:jHeI0fsq0
1さんお疲れさまです。
結構、スレ立て厳しくなってますからねえ。

6 :作者の都合により名無しです:2006/12/12(火) 12:47:46 ID:SvuuPvmG0
1氏お疲れです。
またいっぱい来るといいな

7 :作者の都合により名無しです:2006/12/12(火) 13:19:46 ID:/Nxwa85G0
    ∧_∧     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   (; ´Д`)  <   www
   _, i -イ、    |
 (⌒`    ⌒ヽ   \________________  
  ヽ  ~~⌒γ⌒)  
   ヽー―'^ー-' 
    〉    |
   /     |
  {      }
  |      |
  {  ,イ ノ


8 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:21:18 ID:hD/cG7ll0
第九十五話「ラグナロク・後編」

「親友テレカ・・・これはドラえもんズと連絡を取り合う道具であり、そして友情をエネルギーに変えることができる道具
なんだよ」
ドラえもんがそう切り出した。
「今まで出会ってきたぼくらの仲間たち・・・彼らに親友テレカを通じて呼びかけて、友情の力を分けてもらうんだ」
「友情の力を分けてもらうって・・・どうやって?」
「簡単だよ。祈ってもらえばいい・・・ぼくたちのために、心から祈ってくれるなら・・・それが力になる。それを集めれば、
グランゾン・Fを倒すことができるかもしれない!少なくとも・・・もうそれしか可能性はないよ」
「・・・だけど、集めるって言ったって、そんな時間は!?」
うっ、とドラえもんが言葉に詰まる。だがその時だった。
「時間は・・・おれたちが稼げばいいだろ!」
ジャイアンの声だった。
「そうだな・・・グランゾン・Fも相当消耗している。捨て身でいけば、その、友情の力とかいうのを集めるくらいの間は、
奴を足止めできるかもしれん」
「しれん、じゃないですよ、ムウさん。絶対に足止めするんです!」
キラが強く言い放つ。
「ああ。足止めくらいしなければ、俺たちの存在意義が疑われてしまうじゃないか!」
「グゥレイトォ!いっちょやるしかないでしょ!」
「僕らだって、折角ここまで付き合ってきたんですからね」
「ふん・・・何なら、そのまま倒してやるさ!」
アスランが、ディアッカが、ニコルが、イザークが、決意を顕わにする。
「ここまで来て、怖気づくくらいなら―――」
<最初っから、こんなことに首突っ込んでねえよな、稟!>
「・・・頑張る!」
「おれも、ほんとは怖いけど・・・でも、逃げたりしないぞ!」
「そうだよ!みんな、もう一頑張りしよう!」
稟が、マサキが、プリムラが、フー子が、亜沙が、まっすぐに前を見つめた。

9 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:21:49 ID:hD/cG7ll0
「あーあ、熱血してるねえ、みんな。ま、俺様も奴にやられた借りがあるからよ・・・ちょっと本気出すとするか!」
USDマンがポキポキと指を鳴らした。
「ぼくたちも行くぞ、アヌビス!」
<―――承知!>
ペコに対し短く、しかし確かに応えるアヌビス。
―――仲間たちの声に、のび太も決意を固めた。
「・・・やろう、ドラえもん!」
「そうだね・・・みんな!辛いだろうけど、頼む!」
「「「「「「おう!」」」」」」
異口同音に発された、短くも力強い言葉。それと共に、皆がグランゾン・Fに向けて最後の特攻に打って出た!
「―――親友テレカ!みんなに・・・ぼくたちの友達に、ぼくたちの声を伝えてくれ!」
そしてドラえもんが、親友テレカを掲げた―――!

10 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:22:20 ID:hD/cG7ll0
「うおりゃあああああーーーーっ!」
ジャイアンが怒鳴り声を上げながら、必死にグランゾン・Fにしがみ付く。
「ちいっ・・・抵抗しても無駄だと、まだ分かりませんか!」
あっさりと振りほどかれるが、それでもなお死に物狂いでドムトルーパーの腕を振り回し、顔面に一撃を加えた。
僅かによろけたところを、残る二機のドムトルーパーが追い討ちをかける。
「・・・あなたが、アザミを死なせた・・・!あそこまでする必要があったの!?」
攻撃しながらも、しずかが言い募る。
「フッ・・・非道と罵るなら勝手になさい!私にはどうでもいいことですから―――ね!」
グランゾン・Fの掌が光り、ジャイアンとしずかの機体が吹き飛ばされる。
「このおっ!ジャイアンはどうでもいいけど、しずかちゃんに何するんだ!」
スネ夫が激昂し、ビームライフルを乱射した。
「ふん―――これまで何もロクにできなかったあなたまで、そこまで躍起になりますか!」
「そうだよ!ぼくなんて、いてもいなくても、同じようなもんだったけど―――それでもここにいるんだ!きっちり
最後まで、戦ってやる!」
「愚かな・・・!」
グランゾン・Fの剣が閃く。スネ夫のドムトルーパーは両腕を落とされ、ついに沈黙する。
「シュウ=シラカワ!」
「あなたは―――あまりにもやりすぎた!」
ムウが操るGフリーダムとキラが駆るSフリーダムが、高速で宇宙を駆け抜けてグランゾン・Fに迫る。
「フリーダム・・・自由!本当に素晴らしい名前ですね。そんな機体を潰さねばならないのは残念ですがね・・・」
その剛腕を振り上げ、二機を打ち砕かんとしたその時、割って入った者たちがいた。
ディアッカとニコル、そしてイザークの機体だ。それはGフリーダムとSフリーダムを庇い、砕かれたボディの破片を
撒き散らす。
「ぐっ・・・!」
「くそっ・・・今のでもうこっちはロクに動けなくなっちまった!」
「もう盾になってやることもできん・・・後はお前らに任せた!」
彼らの叫びを受け、キラが激昂する。
「みんな・・・!くそおっ!よくも!」
Sフリーダムの全武装を解き放つ。ムウもそれに続き、Gフリーダムの砲門を展開する。

11 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:22:51 ID:hD/cG7ll0
そして、迸る光の螺旋。それは漆黒を照らし、グランゾン・Fを襲う。
「ワンパターンな攻撃ばかり・・・折角の機体が泣いていますよ!」
前方にバリアを展開し、それを全て防ぐ。そして二機のフリーダムを迎撃しようとした時、ボディのど真ん中をぶち抜く
ような一撃が襲った。
「うおおおおお!こうなったら体当たりしかないじゃないか!」
全ての武装が壊れ、両腕と両足を?がれた∞ジャスティスに残された最後のエネルギーで、アスランは捨て身の特攻
に出た。何の策も工夫もない、ただの体当たり―――だがそれが逆にシュウの意表を突いた。
完全に戦力外と看做していた、大破した∞ジャスティスからの攻撃など考えてもいなかったのだ。
「こんな自殺のような攻撃・・・あなたはまさか、本物のバカだと言うのですか!?」
まともに受けたグランゾン・Fが吹っ飛び、態勢を整えた瞬間に片腕が斬り飛ばされた。そこにいたのは―――
<シュウ!今こそ決着を付けてやるぜ!>
サイバスター―――幾度となくシュウの前に現れた、忌まわしくも縁深き機神。
「マサキ・・・あなたのしつこさには本当に頭が下がりますよ。私には勝てないと、かつて私に殺された時に学ばなかった
のですか?」
<確かにあの時は負けた―――だけど、今は違う!今の俺には―――>
「―――仲間がいるからな!」
<あ、稟!人のセリフ取ってんじゃねえ!>
「―――ならば!仲間ごと消えなさい!」
腕を再生し、ワームスマッシャーを零距離から放つ。避けようもない攻撃に、サイバスターもまた動きを止めた。
「―――らああああああっっ!!」
休む間もなく襲ってくる新手。それはロボットではなく、生身の人間。少なくとも、見た目は。
だがその本質は紛れもなく怪物―――USDマン。
彼はグランゾン・Fの脚部を引っ掴み、ジャイアントスウィングの要領でブンブンと回し、投げ飛ばす。吹っ飛んでいく
グランゾン・Fに追いつき、今度は蹴り飛ばす。
「ちいっ・・・!」
そして、そこに待ち受けていたのは金色の犬神―――アヌビス。大きな腕を振りかぶり、そして、振り下ろした。
単純にして、威力抜群の一撃だった。そしてそのまま殴り続ける。
「あなたを倒せるまで―――殴るのをやめないっ!」

12 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:23:25 ID:hD/cG7ll0
何故だ―――シュウは心底疑問に思った。
もう勝利の可能性など零に等しいというのに―――何故ここまでできるのか?
ふと、ダイザンダーだけが攻撃に参加していないのに気付いた。何故?何か、策が?この状況を打破する、何かが?
―――ある、と思った方がいい!
「―――<ビッグバン・ウェーブ>!」
猛攻から逃れ、エネルギーを集中させ、一気に爆発させる。グランゾン・Fに群がっていた全てを衝撃波で弾き飛ばし、
そしてダイザンダーに向けて宇宙を駆ける!
「何をしているのか知りませんが―――終わりです!」
完全に無防備なダイザンダーに向け、グランワームソードを振り下ろした。
「ああっ・・・!」
「ダメ、か・・・!」
誰もがそう思い、真っ二つに斬り伏せられるダイザンダーの無残な姿を想像した―――しかし、そうはならなかった。
「うあっ・・・!?」
突然、グランゾン・Fが大きく後退した。まるで、何者かに押し戻されたかのように。
「みんな、ありがとう・・・なんとか間に合ったよ」
そして、誰もがそれを見た。果たして夢か幻か―――
彼らは確かに、そこにいた。
ドラえもんとよく似た六人がいた。可愛いリボンを付けた、よく助けにきてくれるドラえもんの妹がいた。
とても神様の王とは思えない、とても魔王とは思えない、親馬鹿で愉快な二人がいた。
穏やかな顔をした首長竜がいた。ピンク色のふわふわした動物を連れた少年がいた。犬の王国の住人たちがいた。
海底世界の勇敢な少年がいた。魔法が存在する世界で生きる少女がいた。小人の星の小さな大統領がいた。
竜に似た頭を持つ勇敢な騎士とその妹がいた。天竺を目指し旅をする二人がいた。たくましい原始人の少年がいた。
白きペガサスがいた。雄々しきグリフォンがいた。勇敢な龍がいた。
動物たちの星の住人がいた。黄金の城にすむ伝説の船乗りがいた。かつて存在した雲の王国の少女がいた。
小人の少年も、絶滅動物の生き残りも、立派に成長した木の子供もいた。
ブリキのホテルの少年とその友達がいた。創られた世界の人々がいた。銀河の超特急で出会った彼らがいた。
種蒔く者より祝福を受けた星のぬいぐるみがいた。大海を往く海賊たちがいた。宇宙を旅する少年騎士がいた。
のび太によく似た太陽の王がいた。鳥たちの世界の鳥人たちがいた。機械の少年と人間の王女がいた。
風の村の少年がいた。犬と猫の国で出会ったみんながいた。
今まで出会った、その全てがいた。
そして―――今ののび太たちは知らない、これから出会うべき、まだ見ぬ誰かがたくさんいた。

13 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:39:07 ID:A9nhaKc70
のび太の声は、確かに届いていた。彼らの元に。彼女の元に。皆の元に。
そして皆、祈った。果てしなき世界で戦う友のため、祈った。
数々の冒険の中で紡がれた、かけがえのない絆。
そしてこれから紡がれるはずの、未来の絆。
時空を、次元を、全てを越えて―――それは、力となった。
その全てを受けて、ダイザンダーが眩く輝く。機械の瞳に確かな意志を漲らせ、ファイティング・ポーズを取った。
「来い―――シュウ!今のダイザンダーは・・・無敵だ!」
「―――戯言をぉぉぉっ!」
シュウが叫び、再び剣を振り下ろす―――だが、ダイザンダーの動きはそれを遥かに凌駕していた。
あっさりと回避し、光を纏う拳で殴りつける!
「があぁっ!?」
「まだまだ!」
さらに殴り、蹴り、そしてデモンベインでぶった斬る!
圧倒的なパワー、スピード―――今のダイザンダーは、全てにおいてグランゾン・Fを超えている。
例えグランゾン・Fが万全の状態だったとしても、決して遅れは取らなかっただろう。
「ぐっ・・・確かに、強い・・・ですが・・・」
シュウは凄まじい攻撃に晒されながらも、口元を歪めた。その瞬間―――ダイザンダーの拳が音を立てて砕けた。
「えっ・・・?」
「ククク・・・性能だけが上がったところで、機体の材質まで変わりはしません。パワーアップしすぎたせいで、もはや
ダイザンダーのボディではその力に耐えられないのです。さて、ダイザンダーが自壊するまでに、私を倒せますかね?」
「―――だったら・・・!」
のび太は叫び、そしてデモンベインを掲げる。
「だったら・・・一発で再生もできないくらいに消し飛ばすだけだ!」
デモンベインが―――魔を断つ剣が、姿を変えた。
白銀に光り輝く大剣から、白銀に光り輝く拳銃へと。
それは持ち主であるのび太にとって、最も理想とする形。
集いし仲間たちのエネルギー全てをぶつけるのに、最も適した姿。
「デモンベイン―――<神銃形態>!」
それはまさしく―――魔を討つ神銃!

14 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:39:41 ID:A9nhaKc70
「やっぱりぼくが一応主役なんだし、それなら最後の最後は剣よりも・・・銃で決めないとね!」
砕けた拳でなお強く握り締めた神銃―――その銃口が狙う先は、最後にして最強の敵―――グランゾン・F!
「みんなから貰った力を・・・食らえ、シュウ!」
そして、放たれる一撃―――
眩いばかりの光の洪水が全てを包んだ。世界を爆散させんほどの圧倒的な力。だがそれは、不思議なくらいに穏やかな
光だった。
何故ならそれは、祈りから生まれた光。友を想う心から生まれた光。それは光の極限に位置する。
―――闇を打ち倒す光だ。
綺麗だ、と、シュウですらそう思った。このままこの優しき光に包まれ、消え去るのもいい―――
「―――否!」
シュウは己の中に僅かによぎった感情を否定する。
「ならば、その光すら飲み込む闇を見せましょう―――」
グランゾン・Fが残る全てのエネルギーを両手に集約させる。そして両手を前に突き出す態勢で、一気に解放した。
「―――<真・縮退砲>!」
黒きエネルギーが解き放たれた。先程の光の洪水とは、完全なる対極。
全てを喰らう闇。絶対なる負の領域から産み出される闇。それは闇の極限に位置する。
―――光を喰らい尽くす闇だ。
極限の光と闇がぶつかり合う。極限の光と闇が交差する。僅かに勝っていたのは―――極限の闇。
黒が、白を、全てを、侵食する。
「くそぉっ・・・!」
まだ、まだ、足りない。あれほどのエネルギーを込めてなお―――なお、届かない。最後の最後で―――
と、背中を押されるような感覚があった。まるで、誰かが支えてくれているような―――
「・・・ああ・・・」
背後を確認した瞬間、全てを理解した。これまで共に戦ってきた仲間たち。彼らがみな・・・ダイザンダーの背中を
支えていた。誰もがみな傷ついて。誰もがみなボロボロで。誰もがみな、泣きそうに痛いのに。
―――それでも、支えてくれているんだ。

15 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:40:12 ID:A9nhaKc70
ドラえもんが掲げたままの親友テレカが、更に強く輝く。今、この背を押してくれる仲間たちの友情の力をも集め、
一つにしている。
それは極限の光の中に溶け合い、更なる力になった。
そして極限の闇は極限の光の前に、ただ消え去るだけ―――
「・・・・・・」
シュウはその光景を前に、ついに知った。
自分が、敗れることを。
最後に目に焼き付けた。すぐにでも己を包み、消し去るであろう、至高の光を。
それは、その光は、デウス・エクス・マキナ―――神が定めた御都合主義すら打ち破る、繋がる力。
光の中に、グランゾン・Fは飲み込まれていく―――!
「み・・・見事・・・です。このグランゾン・Fすらも倒すとは・・・」
もはや破滅を待つばかりのシュウが途切れ途切れに語りかけてくる。
「私ももはや悔いはありません・・・戦えるだけ戦いました・・・全てのものは、いずれ滅ぶ・・・今度は私の番だった・・・
それだけの・・・ことです・・・」
そして、最後の言葉。
「これで、私も・・・解き放たれる・・・全ての鎖から・・・本当の、完全なる、自由、を・・・」
その瞬間、グランゾン・Fが激しく火花を散らす。目を灼くような光が全てを包み―――世界が、爆砕した。
闇から生まれしものは、跡に何も残すことなく闇に還るのみ。
シュウ=シラカワは―――虚空の彼方へと消えていった。
<シュウ・・・>
マサキが、腹の底から搾り出すような声で呻く。
<バカな・・・奴だったぜ・・・くそっ!>
それは、なんのための言葉だったのか。どこまでも憎んでいたはずの彼を、マサキは心の底から哀れに思った。
―――だが、それも詮無きこと。戦いは、今・・・幕を閉じた。

16 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/12(火) 18:40:44 ID:A9nhaKc70
―――そして、しばしの間、誰もが呆けたように宇宙を漂っていた。
まるで、当てもなく彷徨う流星のように。
「・・・終わったね。ドラえもん、リルル」
「そうだね・・・まだまだ問題は残ってるけど、ひとまず、ゆっくりしとこうよ」
「そうね・・・それくらいしても、いいわよね」
三人とも、疲れきった声だった。無理もない。限界まで精神を張り詰めていたのだ。他のみんなもきっと同じだろう。
「・・・ダイザンダー」
のび太がそっと、共に戦ってきた相方に語りかけた。
その姿はボロボロだ。鋼鉄の逞しいボディには傷を負っていない部分などない。拳は先ほど、完全に砕けた。
よくぞこんなになるまで、着いてきてくれたものだ。
「・・・文句が言えるなら、言いたかったよね。ごめんね、ダイザンダー」
その時だ。ダイザンダーが勝手に動き出した。内部の人工知能が反応しているのだ。砕けた拳を動かし、そして―――
ぐっと、親指を立てた。
ポカンとするのび太に、リルルは笑いかけた。
「ふふ・・・ジュドは、怒ってなんかないわよ」
「じゃあ・・・なんて?」
リルルもまた、親指を立てて、答えた。
「<お前はよくやったんだから、そんな顔するな>―――ですって」

―――そして、ここから先は、物語にとって蛇足の部分―――

17 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2006/12/12(火) 18:41:18 ID:A9nhaKc70
投下完了。前回は前スレ287から。そして>>1さん、乙です。
ついに戦闘パートは全て終結。あとはエンディングまで4〜5話かな?100話で最終話ならきりがいいんですが・・・
向こうのスレでは書きましたが、次回作もドラえもんです。超機神の続編、というわけではありません。
ドラえもん的日本昔話・・・かな?
とあるスーファミのゲーム(で、日本昔話ならば思い当たる方もいるかも)と、他色々とのクロスです。
オリキャラもちょっと出ます。
ここまで書いたら、もう後戻りはできない・・・書くしかありません。どうかお楽しみに。

前スレ294 ロボット大戦さん、スパロボ好きとして楽しみにしています。
        ヤザンの玉コリコリは見れるのでしょうか?(楽しみなのそこかよ)

前スレ297 てゆうか、イデオンですw詳しくは第三次スパロボαをやれ、としか・・・

前スレ307 こんな演出でした。

前スレ309 本当に感慨深い・・・これほど長い話になるとは思いませんでした。

>>ふら〜りさん
インフレさせすぎて訳分からなくなりましたwまあ、それもご愛嬌と・・・

前スレ312 お褒めの言葉、ありがとうございます

前スレ340
始めまして。グロキシニアとアザミの名前の由来にちゃんと気付いてくれて、感動・・・
フー子と風助・・・やべえ!確かに口調被ってる!聖句については・・・作者がそこまで気付いてなかっただけだったり!(爆)
六十三話。その通り。分かる人だけ分かればニヤニヤしてくださいってかんじのネタです。
デモンベイン=アートレータ・アエテルヌム。まんまではないけど、>>12の下りはそれを意識しました。
御伽噺は・・・いや、それはないです(笑)

18 :作者の都合により名無しです:2006/12/12(火) 21:42:19 ID:SvuuPvmG0
永きに渡る戦いも終止符か・・・
サマサさん、本当にお疲れ様。
前作からずっと楽しませていただきました。
あと数話のエンディングまで、しみじみと待ってます。

あと、新作を楽しみにしてます!

19 :作者の都合により名無しです:2006/12/13(水) 07:55:57 ID:6PCpsH760
のび太はやっぱり主役なんだな。
ラストバトルはただのインフレバトルではなく、ちょっと切ない感じがステキでした。
もう数回、がんばってください。

20 :作者の都合により名無しです:2006/12/13(水) 09:24:43 ID:kXkREGHn0
友情テレカでみんなが現れた所でうるっときた。やべ。

21 :作者の都合により名無しです:2006/12/13(水) 16:42:27 ID:CF6Akm5v0
>>ジェシー・キリー
( - 人 - )ナム〜
安らかに眠ってくれ...

22 :作者の都合により名無しです:2006/12/13(水) 22:04:47 ID:wwgvOAl20
サマサさんが新作長編を書いてくれるという事で
来年もバキスレは安泰みたいで安心した

心配なのは、バレさんだな…

23 :前スレ340:2006/12/13(水) 22:14:15 ID:/+U1IRxs0
>サマサさん
決着お疲れ様です。

>エピローグ
解放されたシュウが、大導師よろしく星の海を漂っていそうなヤカン(w

>「・・・あなたはまさか、本物のバカだと言うのですか!?」
まぁ……ねぇ?…………(微妙に視線を逸らしながら)

ちなみに脳内BGMは、
>>8-11:「RISE ON GREEN WINGS」(フルver)or「血闘のアンビバレンス」

>>12-15:「破神昇華――乾かず飢えず無に還れ」
     or「神の摂理に挑む者達――真を断つ剣は未だ折れず」

(>>14-15:「斬魔大聖――汝魔を断つ剣となれ」or「HOLY WORLD」)

>>16:「神様にも消せない」or「勝利の凱歌を高らかに」

でした。

#ついでに。バカ王子のBGMは当然、「天才と何とかは紙一重というかむしろ完全に向こう岸」(w

他に、WA2のラストバトル曲だったり。
『大神』の「ありがとう」→「太陽は昇る」コンボだったり。

24 :前スレ340:2006/12/13(水) 22:23:11 ID:/+U1IRxs0
#感想続き

>御伽噺は・・・いや、それはないです(笑)
それは残念です。
では、喩え話を(爆)

>新作
『桃■郎伝説』クロスでしょうか?
楽しみにしております。

それはさておき。

二行で分かる「超機神大戦」ラストバトル。

のび太「神銃弾をくらえ〜」
シュウ「うおっ、まぶしっ」

…………orz

25 :強さがものをいう世界:2006/12/14(木) 17:08:30 ID:JYvZgMND0
 教室に小さな湖ができた。あえて名づけるならば“剛田湖”などが適当だろうか。
 体液を主成分として形成された、半径二メートルほどの湖。中心部では号泣し尽くした
ジャイアンが抜け殻のようになって佇んでいる。脱水症状を起こし乾ききった手足はぴく
りともしない。
 さて、始終を目撃していたドラえもん。ついに最後まで状況について行けなかった彼だ
が、今となっては唯一の生き証人だ。
「の、のび太君が……勝っちゃった」
 大金星を挙げた友は、まだ立ち尽くしている。駆けつけて祝福してやらねば。
「やったじゃないか! あのジャイアンを君がやっつけたんだよ!」
 ところが、なぜか返事が来ない。
「あれ……どうしたの?」
 揺さぶっても反応はない。
 生気を宿さぬ両目──のび太は立ったまま気を失っていた。 
「のび太君っ!」
 気を動転させるドラえもん。治療のためにポケットを探るが、あわてているためか、ろ
くな道具が出てこない。
「どっ、どうしよう、早くしないと!」
「落ちつくんだ、ドラえもん君」
「あっ! 君は……」
 声をかけてきたのは出木杉であった。全身の骨を折られた重傷にもかかわらず、みごと
に両足だけで立っている。
「眼球運動から判断するに、野比君は気絶しているだけさ。怪我もないようだし、心配い
らないよ」
「よかった……」
 ひとまずドラえもんは胸をなで下ろす。
「でも、君こそ大丈夫なの?」
「どうにかね。折られたらまずい箇所はかわしていたから、歩行に関しては問題ないよ」
「す、すごい……さすがだなぁ」
 まさしく天才。たとえ敗れても、魅せるところは魅せる。
 だが続いて、出木杉は予想だにしないことを口走る。
「つまり……君と野比君を葬って、ナンバーワンになるくらいの力は残してあるという
ことさ」

26 :強さがものをいう世界:2006/12/14(木) 17:09:26 ID:JYvZgMND0
 彼はのび太の勝利を知っていた。
 再燃する野望。理不尽な腕力によって一度は消し飛ばされた炎が、出木杉の中に復活し
てしまった。
「さ、さっきは助けてくれたのに……どういうことさ!」
「状況が変われば、対応も変わるさ。さっきまでの君たちは不幸にも戦場に迷い込んでし
まった罪なき一般人──でも、今はちがう。剛田君を倒してしまった以上、君らはもうぼ
くらと同じ土俵に立ったということになる」
 骨折などまるで感じさせない足取りで、ドラえもんとのび太に近づく出木杉。対するド
ラえもんも覚悟を決め、ポケットからショックガンを抜く。
「くっ……来るなら来い! のび太君はこんなになるまで戦ったんだ、ぼくだって……!」
 すると、出木杉はいきなり足を止めた。
「──なんてね。冗談だよ、冗談」
「えっ!?」
「ごめんごめん。ちょっとからかってみたかったんだ」
 先ほどまでの殺気が嘘のように、温和な面立ちになる出木杉。大きく息を吐き、またし
ても安堵するドラえもん。
「君も人が悪いなあ。てっきり本気で向かってくるのかと……」
「ハハハ、ぼくだって分別はわきまえているよ。でも、長居はしない方がいい」
「うん。ありがとう、出木杉君」
 ドラえもんは気絶したのび太を抱えると、どこでもドアで自宅に帰っていった。
 さて、ひとり残された出木杉だったが──。廊下がにわかに騒がしくなる。
「おいおい、ジャイアンと出木杉が弱ってるってよ!」
「うちのクラスがトップに立つチャンスだな……出撃ィッ!」
「二人まとめて討ち取ってくれるわッ! 天下は我がクラスが頂くッ!」
 のび太の教室を取り囲む大軍勢。二大巨頭の敗北を知った他のクラスの面々だ。
「野比君……ありがとう。嫉妬さえ感じてしまうよ。これまでぼくたちは、カルシウムと
タンパク質でしか強さを考えられなかった。でも君が示してくれた心の強さから学んで、
ぼくらはもっともっと強くなれるだろう。もっともっと戦いは激しくなるだろう」
 押し寄せる大軍に呼応するように、一敗地にまみれたファイターたちがよみがえる。
 続々と起き上がるクラスメイト。屋上から舞い戻る骨川スネ夫、のび太によって守られ
た源静香、初めての敗北を克服せんとする剛田武。
 ──戦いは、終わらない。

27 :強さがものをいう世界:2006/12/14(木) 17:10:33 ID:JYvZgMND0
 のび太を部屋に連れ帰ったドラえもんは、大急ぎで彼をお医者さんカバンで治療する。
 幸い脳に異常はなく、カバンから出された未来の湿布を頭に貼るだけでのび太は元気一
杯で目を覚ました。
「……あっ、ドラえもん!」
「もう大丈夫だよ、のび太君。家に戻ってきたから」
「ありがとう……。でも、ぼくはどうなったんだっけ……?」
「え?」
「ジャイアンに向かって飛び出したところまでは覚えてるんだけど……よく助かったなぁ。
ドラえもんが助けてくれたの?」
 なんと、のび太は自らが生んだ劇的な決着をすっかり忘れていた。元々夢遊病に近い状
態だったのかもしれない。
 ドラえもんの中に二択が出現する。話すべきか、否か。
 結論はまもなく出た。
「いや、ぼくはなんにもしてないよ。ジャイアンは、君を倒して満足したのか教室を出て
行っちゃったんだ」
「なあんだ、ぼくがムチャクチャ強くなっててやっつけたんじゃないのか」
「あるわけないでしょ、そんな夢みたいな話」
「だね、アハハハ」
 なにも知らず無邪気に笑うのび太に、心の中であやまるドラえもん。
 真実を打ち明けなかった理由はふたつ。ひとつは、話しても結局はのび太を調子に乗らせ
るだけだと判断したためだ。ヒーローに祭り上げるよりも、もしもボックスを軽はずみに使
うとどれだけ危険であるかを教訓とした方が今後のためになる。友人であり教育係でもある
彼ならではの決断であった。
 そして、もうひとつは──。

「お待たせしました。メンテナンスが終了した道具をお届けに参りました」
 石ころ帽子に透明マントという念の入れようで、どうにか夜まで生き延びたのび太たち。
 タイムワープで未来へと戻る業者を見送ると、さっそくドラえもんはタイムふろしきでも
しもボックスを修理した。
「じゃあ、のび太君」
 ドラえもんに促され、のび太は約一日ぶりに受話器を手に取った。
「なにもかも元に戻して!」

28 :強さがものをいう世界:2006/12/14(木) 17:12:34 ID:JYvZgMND0
 ドラえもんの手で、四次元ポケットに吸い込まれるもしもボックス。
 一方のび太はまだ不安が消えていない様子だ。
「これで……元通りになったんだよね?」
「うん。なにもかも戻ったはずだよ」
 とはいっても、なかなか実感はわいてこない。実はタイムふろしきでも直らなかったの
ではないか、とマイナス思考ばかりが浮かび上がる。
 すると、タイミングよく一階から呼びかける声があった。
「のびちゃん、ドラちゃん。ご飯よ〜!」
 ドキッとするのび太。
 昨夜の食卓が嫌でも頭に上ってくる。もしまた、テーブルに注射器や生肉が並んでいた
ら、ボディビルダーのような両親が居座っていたら、どうしよう。
 だが、心配は無用であった。
 おそるおそる入った台所には、およそ筋肉とは無縁ないつもの父と母が座っていた。夕
飯も、どれもこれも普通のメニューばかり。
 感動のあまり、とめどなく涙があふれてくる。
「ママが細いっ! パパも細いっ!!」
 いきなり泣きながら意味不明な叫びを上げる息子に、すっかり困惑する二人。
「あらやだ、なにいってるのよ」
 密かに実行していたダイエットの成果が出たのかしら、と内心でガッツポーズする玉子。
「の、のび太、いったいどうしたんだ」
 なにがなにやらチンプンカンプンなのび助。
 奇行は止まらない。今度は笑いながら、
「軽いっ! 軽いよっ!」
 と、のび太は椅子を天井高くまで持ち上げてみせた。
 この後、ありふれたご飯やおかずを実に美味そうに平らげたことはいうまでもない。
 そんなのび太を、ドラえもんは半ば呆れながら見つめていた。
 だが、世界が元通りになってしまった今、彼だけは知っている。本人ですら知らない野
比のび太の最強を知っている。親友のホットな秘密を独り占め。わざわざ二十世紀まで来
ているのだ、これぐらいのことをしてもバチは当たるまい。
 これが、もうひとつの理由である。

                                   お わ り

29 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2006/12/14(木) 17:14:53 ID:JYvZgMND0
前スレ>>422の続き。
終わるにはいい日だ。
ということで『強さがものをいう世界』これにて終了です。
原作の「お金のいらない世界」や「かがみのない世界」のような、
ちょっとしたもしもボックス物語を意識していたのですが、少々長引きました。

改変ネタまみれでしたが、好評で嬉しい限りです。
もっと純粋にドラ+バキにしとけばよかったかなという反省もあります。
とはいえ、ジャイアンの四連戦は今までで一番くらいに楽しく書けました。

最後になりますが、新スレ立てお疲れ様です。
投下させて頂き本当にありがとうございました。

>>425
ナチュラル消力状態だったかもしれません。

>>426
マンネリになるかもしれませんが、またチャレンジしてみたいです。

30 :作者の都合により名無しです:2006/12/14(木) 21:59:51 ID:oh8ENm710
おわっちゃったかー
でも、いい意味に手軽に楽しめました
サナダさんの短編はすっと読めるけど
必ず一工夫してあるので好きです。

31 :作者の都合により名無しです:2006/12/15(金) 08:04:29 ID:D3rAAylK0
サナダムシさん、完結お疲れ様です!
最後ののび太のパワーアップがちょっと不自然だったけどw
原作の名シーン準拠ということでw
短編だったけど中身は濃かったなあ。

32 :作者の都合により名無しです:2006/12/15(金) 22:09:35 ID:1FzsN1jm0
サナダムシさん完結おめ。
また完投記録が伸びたな。偉大だ。

33 :ふら〜り:2006/12/15(金) 22:23:40 ID:udr/qhaU0
>>1さん
おつ華麗さまですっ。45か……だんだん50が見えてきましたねぇ。30や40の時にも
同じような気分でしたが、50はやはり一味違う。50%といえば半分。100の半分。
などと100を思い描いてしまう今日この頃。今スレも華やか賑やかにいきたいですね。

>>サマサさん
前回の感想で「これ以上壮大な映像は想像できない」って言ったばかりなのに……宇宙・
次元・時間、全てを越えての揃い踏み。神ならぬ者たちが結集して神を越えた感じです。
本作が映画やテレビだったら、観てる子たちも参加してますね。親友テレカで繋がる友情。

>>サナダムシさん
あっちの世界の今後も気になるなぁ……ジャイアンがカッコ良く成長していきそう。出来杉
も渋くキメてくれたし、血生臭くも漢らしい世界でした。ドラの「秘密の理由」、何かブラック
な捻りがあるのかと思いきや予想外。濃い戦いに爽やかな後味添えて、楽しかったです!


34 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 22:46:50 ID:ZkKTIRTS0

その日を、その時を、その人を、瞬は決して忘れはしないだろう。
瞬は、拳を固める事にすら嫌悪を示した時期がある。
兄という巨大な傘の下にいた頃は、それでよかった、
だが、彼は怠惰な気性ではなかった。
彼にとって、兄は英雄だったのだから。
人は、英雄を求める。
だが、人は英雄になりたいと研鑽を積み上げたとしても、挫折し、涙し、諦観してしまう。
それでも生きていけるからこそ、人間という生き物は強いのだが。
挫折を乗り越え、涙を呑んで、諦観を踏み越える事のできる者も稀に存在する。
それが、明日の勇者となるもの達だ。
瞬は、その明日の勇者の一人だったのである。

城戸家に引き取られ、虐待じみたトレーニングに嗚咽をかみ殺した日々を重ね、
ある時彼らは一つの事実を知らされる。
自分たちは城戸光政の娯楽のための生贄なのだ、と。
自分たちは、聖闘士という、
その存在すら疑われるようなものになる為に全国の児童養護施設から引き取られたのだと言う。
瞬は、心底呆れ、驚いた。
だが、憎むことはしなかった。

35 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 22:51:35 ID:ZkKTIRTS0

その瞬が、憎悪に身を焦がした相手が只一人だけ存在する。
先代の魚座・ピスケスの聖闘士アフロディーテその人である。
故に、最大必殺技をもって葬った、否、殺したのだ。
師・ケフェウスのダイダロスに認められ、聖闘士となった時には、
瞬は、既に小宇宙の究極・セブンセンシズに指をかけており、白銀聖衣を粉砕してのけた。
そして、数々の戦いを経て完全にセブンセンシズを眠りから覚ました上での戦闘だ。
例え相手が天下無双の黄金聖闘士であろうとも、彼に殺せぬ道理はない。
その領域に至ってしまった以上、戦いにはならない。ただの殺戮だ。
聖闘士史上類をみない天才の繚乱時代であるサガの乱期において、
彼の実兄・フェニックス一輝同様、 超常の領域の天才である瞬にとって、
拳を固めるという事は、恐怖以外の何物でもなかった。
殺してしまう、命を奪ってしまう、壊してしまう。
常にその恐怖が彼にまとわり付いていた。
だが、しかし、大恩ある師匠の仇ともあれば話は別だ。
瞬自身、わずか十七年の生涯の中で後にも先にも、
あそこまで憎悪に、殺意に、赫怒に身を委ねたことはない。

「先ずは君からだ。
 フッ…死ぬ順番が変わっただけの事」

瞬の目の前に立つ茨の男。
麗人といわれても、すんなりと信じてしまいそうな出で立ちの彼は、
その秀麗な顔立ちに反してこの黄金十二宮最後の守護者なのだ。
同時に、瞬の、ジュネの大恩ある師・ケフェウスのダイダロスを殺した仇敵でもある。

36 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 22:56:36 ID:ZkKTIRTS0

「アフロディーテ、貴方に一つだけ尋ねたい事があります」

何かな、と返す彼の言葉を待って、瞬は尋ねた。

「貴方は、教皇が偽者だと知っていて、従っているのですか?」

沈黙は無かった。

「当然だ。
 他の者は知らないが私とデスマスク、
 そしてシュラは教皇の業を知った上で従っている」

やや芝居がかって、質問はそれだけか、ととじたアフロディーテの明朗とした答えは、
瞬の怒りの呼び水となった。
瞬間、大気は嚇怒に震えた。
瞬の右拳から攻撃を司るスクエア・チェーンが雷を模して襲い掛かる。
が、アフロディーテはかわしもしない。
否、彼が左手にそっと摘ん黒薔薇によって受け止められ、
同時に銀河の鎖は両方とも星屑のように砕け散った。
物質の最小構成単位、原子を破壊する事は聖闘士の戦闘の基本だ。
だが、それが黄金の小宇宙によって成されるのであれば、破壊の奇跡を呼ぶ。
瞬の強靭な意志の込められたネビュラ・チェーンはしかし、
黄金の甲冑魚の顎によって食いちぎられたのだ。

「君、もしや私をこの程度で倒せるとでも思っていたのか?
 だとしたら思い上がりも甚だしい」

瞬のみぞおちに突き刺さる茨の魔人の膝蹴り。
その衝撃が瞬の聖衣を粉砕し、臓器を思うまま引っ掻き回した後、
ようやく彼の声が瞬の耳に届いた。

37 :作者の都合により名無しです:2006/12/15(金) 22:57:01 ID:1FzsN1jm0
お、銀杏丸さんきた!
夜勤から帰ってきたら楽しく読むわ
頑張ってくれ

38 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:02:09 ID:ZkKTIRTS0

「この不沈の十二宮を此処まで上ってきたのだから、
 喩え青銅のヒヨッコであったとしても」

血反吐を撒き散らし、双魚宮の石柱を数本纏めて砕きながら地面と並行に飛ぶ瞬だったが、
茨の魔人はまさしく一瞬で間をつめる。
彼の光速の貫手突きが冗談のように瞬の聖衣の胸部装甲を打ち抜き、
肋骨を三本まとめて粉砕し、胸に穴をあける。
底意地の悪い事に、直ぐには死なないように加減した上でだ。
だが、それでも手を引く際に肋骨を三本ほど抉り取るという極悪さをもっていた。

「力はある、と思っていたのだがな」

撃墜。
そう呼んでしかるべき衝撃で地面に叩きつけられた瞬は、刹那の間意識を手放した。
だが魔人の攻撃に間断はなく、瞬の頭に踵落としが決まる。
双魚宮の磨きぬかれた大理石のタイルが放射状にひび割れ、
瞬の聖衣のヘッドパーツもまた、粉と散った。
つい数十時間前、ムウによって修復された聖衣が、まるで役に立っていない。
小宇宙の差は、そこまで大きいのだ。

「ケフェウスのダイダロスは、これで死んだが。
 君はどうだ?」

みしり、と瞬の頭蓋骨が軋んだ。

「ああ、安心したまえ。頭を踏み砕いて殺してなどいないよ。
 白銀聖闘士にその人有りと言われたケフェウスのダイダロスを、
そのように殺しては些か勿体無い。
 英傑には英傑の死に様というのが必要だろう」


39 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:10:09 ID:ZkKTIRTS0

瞬の髪の毛を左手で掴むと、魔人はそのまま彼を吊り上げる。

「くびり殺してやったのだ」

髪の毛を離すと同時に、彼は右手で瞬の細い首を締め上げる。

「かつて英雄ヘラクレスは、ポセイドンの子アンタイオスを大地から引き離してくびり殺したのだ。
 英雄の殺した化け物になぞらえた死に様、実に相応しかろう」

つつつぅっと、瞬の額が朱に染まる。
頭皮か、額の何処かを切ったのだろう、だがそれは同時に、瞬自身が恐れる魔を呼び起こしていた。
嚇怒、憎悪、敵意、殺意、あらゆる負の感情が込められた瞳が、
亜麻色の髪の中からアフロディーテを貫いていた。
澱のように積み重なった悪意の群れは、只一つの色に成り果てる。
泥のような、黒。

「僕は…」

血で咽(むせ)て、ややくぐもった瞬の声、しかし、諦観はない。
敵愾心を剥き出しにした、獣の如き顔の瞬。

「僕は…ッ!」

毒蛇が得物を捕らえるが如き動作で、瞬の手はアフロディーテの右手を掴んでいた。
みしりと軋んだのは、瞬の頸(くび)ではなく、アフロディーテの、ピスケスの聖衣だった。
だがそれでも、茨の魔人は怯まない。


40 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:16:25 ID:ZkKTIRTS0

「私の聖衣を軋ませるか」

黄金聖闘士随一の剛力を誇るアルデバランといえども、黄金聖衣を粉砕する事はできない。
単純な腕力では、黄金聖衣は壊れない。
神の領域まで高めた小宇宙でなくば、この奇跡の聖衣は傷つく事すらないのだ。

「君はどうやら、爪を隠していたようだな。
 舐められたものだ、このピスケスのアフロディーテも」

そこで初めて、アフロディーテは相貌に憤怒を滲ませた。
誇り高き黄金十二人最後の一人、ピスケスのアフロディーテの誇りを、瞬は踏みにじったのだ。
本気を出したまえ、そう言って瞬の体は放りだされた。
同時に、逆袈裟に切り裂かれる。
先ほど瞬のネビュラ・チェーンを打ち砕いたものと同じ、漆黒の薔薇ピラニアン・ローズだ。
粉砕されたとはいえ聖衣を装着した聖闘士、
それを薔薇で切り裂いた彼は、やはり魔人なのだ。

「僕は、人を傷つけたくない…」

自分の血で咽ながら、それでも瞬は立ち上がる。
黒い感情を押さえ込みながら、それでも瞬は立ち向かう。

「優しい事だな。
 だが、その優しさだけでは人を救えない。
 地獄への道は、善意で舗装されているそうだが、
 おそらくは君のような優しい善人が精魂込めて舗装しているのだろうな」

小宇宙が、広がる。
黄金の小宇宙に呼応するかのように、瞬の小宇宙が大きくなる。

41 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:19:51 ID:ZkKTIRTS0

「アフロディーテ、貴方が、もし一かけらでも省みる意思があるなら、
 僕は貴方を殺さない」

その言葉で、今度こそアフロディーテは吼えた。

「言うか小僧!
 私は己の意志で殺し、己の意思で奪い、己の意思で守ってきたのだ!
 今ここで、私が省みてしまったのなら、私が懺悔してしまったのなら、
 私が踏みにじってきた者たちはどうなる?
 私が守ってきた者たちはどうなる!
 それこそ全くなんの意味もなくなってしまうではないか!
 だから私は省みない。この生涯が終るまではな!
 外道も貫けば世の華だ!
 さぁアンドロメダ、おしゃべりは終わりだ。」

アフロディーテは構えた。
彼の右手の中には魔法のように純白の薔薇が現れていた。
すると、対応するかのように瞬もまた構えた。

「この白薔薇は、放たれたが最後、必ず君の心臓を穿つ。
 逃れられる術はないぞ?
 さぁ、これでも君は問答を続ける気かな」

ふらり、と幽鬼のように瞬は、アフロディーテに向かって掌を突き出す。

「…、僕は初めて拳を握る」

瞬は全身の力を込めて、軋ませながら拳を握り締めた。
そして、大気は瞬に掌握された。

42 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:28:25 ID:ZkKTIRTS0

「…ッ!
 アンドロメダ!何をした?!」

驚愕。
アフロディーテは、縫いとめられたかのように動けなくなっていた。
大気を支配する瞬の最大必殺技の前段階だ。
瞬の巨大な小宇宙によって大気を、空気を制御下に布き、敵の五体を完膚なきまでに封じる技である。
無論、この技をかけなくとも最大必殺技を放つことは出来る。
だが、あえて瞬は猶予を与えたのだ。

「ネビュラ・ストリーム…。
 無理に動こうとすれば、五体はばらばらに引きちぎれます。
 お願いです、アフロディーテ。ここで懺悔してください。
 己の行いを省みてさえくれれば、僕は貴方を殺さない。」

憎悪を押し殺し、降伏を勧告する瞬。
それは己との戦いだったのだろう。
そんな瞬を、アフロディーテは一笑に付した。

「馬鹿め。
 そんな事では更に被害が増すだけだ!
 非情になれ、アンドロメダ!殺す覚悟を決めろ、殺される覚悟を決めろ!
 今ここで私を殺さなければペガサスは死に、さらに死人が増えるだけだぞ!」

それにな、と一言。

「この程度で私を完全に封じることはできない
 馬鹿は死なねば治らないというだろう?」


43 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:34:15 ID:ZkKTIRTS0

体中を軋ませながら、アフロディーテは再び白薔薇を構えた。
その姿に、懺悔も自責もなく、只ひたすらに己の道を貫き通す傲然とした意思があった。
それは不思議な美しさをもって瞬の胸を打った。

「アンドロメダ。所詮この世は力が全てだ。
 力無き正義は無力…。勝てば官軍…。
 アテナに、城戸沙織に本当に力があったのなら、
 十三年前に己の身を守ったアイオロスを、殺させるような真似はしなかっただろうよ!
 私はそんな小娘の為に負けてやるつもりは無い!」

正義のために散ったアイオロスを、アテナを侮辱するかのような言葉に、瞬は嚇怒した。
故に瞬は、アフロディーテが胸中でほくそ笑んだことを知らない。
己を貫いているが故に、己を否定できなくなった哀れな男の唯一の望みを、瞬は知らない。
正義に敗れる悪である為、敢えて瞬を挑発したアフロディーテの哀しさを知らない。

「この分からず屋!
 もうどうなっても知らないぞ!」

もはや決した、瞬はそう断じて小宇宙を爆裂させるべく最後の挙動へと移る。
もうこうなれば、瞬ですら止める術はない。

「この世に生れ落ちて二十と二年。そこまで立てば十二分に頑固者になるさ!
 さらばだアンドロメダ!」

44 :作者の都合により名無しです:2006/12/15(金) 23:37:42 ID:WYdL4t1K0


45 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:49:50 ID:ZkKTIRTS0
ヘルメスは、風の神であると同時に英雄の魂の運び手でもある。
彼によって導かれた魂は、冥府の主の元へと集う。
今、茨の魔人の魂はヘルメスへと委ねられた。
ぎしり、と軋んだのは一体なんだったのだろうか。
瞬の理性か、
冥府の主の歓喜か、
アフロディーテの良心か、
アドニスの慟哭か、
黄金の聖衣たちか、
薔薇の群れか、
大気か、
双魚宮か、
それとも不沈不落を謳った黄金十二宮か、
同士討ちを悲しんだアテナの心か、
だが、それを知る術は彼らにはない。

「ネビュラッ!ストォオオオオムッ!」

黄金の薔薇は、妖しくおぞましく美しく咲いて。

「ブラッディイイイイィ・ロォオオオオオォォオォォォズッ!」

気高く、散る。
銀河の気流は嵐となり、嵐は茨を舞い散らす。
風に舞う一片の花弁の如く、アフロディーテは宙に舞い、固い大理石の床に叩きつけられた。
その一撃は、金色の聖衣を浸透し、確実に人を殺害せしめる究極の一打。
最も心優しい聖闘士が得た、モイライ(運命を司る三人の老婆神)の皮肉ともいうべき究極の拳撃。
銀河の嵐は、たとえ聖闘士の究極たる黄金聖闘士の命といえども、容易に刈り取る。

46 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:54:29 ID:ZkKTIRTS0

ここに不沈を謳った黄金十二宮は陥落したのだ。
そして、瞬もまた心の臓腑に赤い薔薇を咲かせていた。

幸いにして、一命を取りとめ、瞬はこうして今生きている。
アフロディーテはあれほどまでに憎んだ相手だが、
不思議といまはそういった感情が枯渇していた。
敵として合い争い、干戈を交えた相手であっても、
瞬は相手の良心の疼きを感じ取ってしまう。
あの時の事を思い返せば思い返すほど、アフロディーテという人間が良く分からなくなる。
こちらを挑発するかのような言葉、
戦闘を望む類の人間ならばそれで得心がいったろうが、彼はそういった人間ではなく、
むしろ典雅優美な面持ちを崩さなかった人間だったらしい。
アドニスの話を聞いても、あの時の彼とは繋がらないのだ。
そして、同時に瞬とジュネの大恩ある師・ダイダロスを討った仇でもあるのだから、
ますます分からなくなる。


47 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:58:34 ID:ZkKTIRTS0
瞬がほんの少しばかり力を入れれば、人は容易く壊れる。
だからこそ壊してしまいたくはなかった。
人は、美しい。
人は、醜い。
人は、素晴らしい。
人は、おぞましい。
だからこそ人なのだ。
愛し、憎み、慈しみ、争い、笑い、涙し、生まれ、老いて朽ち果てる。
瞬きのような生涯を、彼は壊してしまいたくはなかった。
瞬に兄が、ジュネが、弟子たちが、兄弟たちが居るように、どんな悪党にも想う人は居るのだと信じていたから。
思えば、アフロディーテにもそういった相手がいたのだ。今は自分の弟子となったあの少年が。
だからこそ、瞬は憎しみに駆られる事を殊更忌避して生きてきた。
どんなに理不尽な扱いを受けても、どんなに殴られても、どんなに疎まれても。


48 :戦闘神話・幕間〜師と仇と〜:2006/12/15(金) 23:59:58 ID:ZkKTIRTS0

それ故、今となっては、あの冥府の主に対しても、ある種の憐みに似た感情を持っている。
彼の思考を知ることができたのは、今もって尚、瞬を複雑な感情に陥れる。
余りにも深い悲しみが、冥府の主の心を支配していた。
愛おしいと、思ったのだ、冥府の主は。
慈しみ、愛で、穏やかな微笑みを浮かべる彼女の姿を、彼は求めていた。
天主のように権勢に任せて抱ける地位にはなく、海皇のように情熱に身を任せて抱ける事も出来ず、
懊悩を重ねた彼は、愛した女の娘をさらい妻に据えた。だが、彼女を愛する事は出来無かった。
娘を通じて、その母を見ていたのだ。
なんと愚かでなんと哀しい男だったのだろう、冥府の主は。
例えその愛した女から憎まれ疎まれようとも、彼はたしかに愛していたのだ。
そして、彼女が暴龍神との戦いで死んでしまった事が、彼を狂わせた。
愛した女が消えた地上を、消してしまいたかったのだ、彼は。
神々でさえも、モイライの糸車からは逃げられないのだ。
何時しか自分にもモイライの糸車の音が聞こえるのだろう。
だが、甘んじて受けてやるつもりは無かった、死にも神にも屈しなかった兄や兄弟たちのように、抗ってみせよう。
それが冥府の主に対して己が出来る唯一の餞(はなむけ)だと信じているから。

あともう少しで戦友のまつドイツへと瞬たちの乗った飛行機は到着する。
新たな戦の予感に、瞬は、すこし、高揚していた。

49 :銀杏丸 ◆7zRTncc3r6 :2006/12/16(土) 00:03:35 ID:ZkKTIRTS0
いつも利用してる満喫が鯖不良、運悪く人大杉、
泣きっ面に蜂、弱り目に祟り目な銀杏丸です

今回のお話は黄金時代の際、書かなかったエピソードで、第二回と第三回の幕間なんですが
第三回が今年中に投稿できる自信がないので前倒しさせていただきました
ごめんなさい
原作だと瞬殺されちゃったり、アニメだと完璧にオカマだったりするアフロディーテですが
不肖銀杏丸のSSでは優遇傾向にあります、聖衣かっこいいので
黄金時代第三回とあわせて読んで頂くと、僕が如何に彼を優遇してるかわかるかと思います
威厳たっぷりで鬼強いアフロディーテ、見てみたかったんですよ…

>>312さん
エドは次回こそ登場しますので…
バキスレで人気の錬金の戦士と接触予定です
しかし、昔の彼女って実にかわいらしいですねぇ

>>スターダストさん
ポントスやネレイデス、オケアヌスといった海神の皇なので、そりゃもう無茶苦茶やります
ほんともう、自分が好きな悪役のエッセンスを全部つめこんで煮詰めたのが戦闘神話の海皇なので
この銀杏丸の全知全能をこめて!と思ってます

>>ふら〜りさん
>SPW財団みたいなこともできたはず
まさしく今作ではそれをやりたく思ってます。
ぶっちゃけ、あの規模の組織があったらかなり面白いことができるだろうと考えております

今度こそエドの活躍にご期待ください
銀杏丸でした。

50 :作者の都合により名無しです:2006/12/16(土) 09:03:01 ID:/O0BFnLC0
銀杏丸氏力作乙!
幕間劇ながらも軽いものにならず、濃い文体だな。
アフロは俺も好きなので全然Okだと思う。

しかし氏はたまにしか来ない分、来ると長いなw

51 :作者の都合により名無しです:2006/12/16(土) 22:23:15 ID:uokudg1k0
銀杏丸氏乙。
やっぱり銀杏丸氏はこの文体の方がいいな。
黄金時代の作風が好きだったから。

52 :作者の都合により名無しです:2006/12/16(土) 22:35:23 ID:uokudg1k0
第三回 SS大賞のお知らせ

年末恒例の大賞がやってまいりました
今年はいささか準備不足で投票数が心配ですが
奮って投票をしてください。

以下の語ろうぜスレで、「IDがわかるように」投票してください。
(つまり、メール欄にsageとか記入せずにレスして下さい)

投票先スレ(漫画サロン板 SSスレを語ろう パート23)
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1152282950/l50


投票用シート

・大賞(1作):
・新人(1作):

・ストーリー(1作):
・ギャグ(1作):
・バトル(1作):
・名シーン(1場面):
・中短編(1作):

・最優秀キャラクター賞(1人):
・優秀男キャラ(3人以下):
・優秀女キャラ(3人以下):


17日 日曜日の午前0時から(つまり今から約1時間30分後から)
同日の23時59分までが投票タイムです。
突然で申し訳ありませんが、奮ってご参加を!

53 :永遠の扉:2006/12/16(土) 23:43:46 ID:etnX4uh10
第008話 「総ての序章 その2」

1905年10月14日 ポーツマス条約批准

終戦、である。
日露戦争によってともかくも勝者となりえた日本は長年頭を悩ませつづけてきたロシアの脅
威からひとまず開放されたといっていい。
その頃、爆爵は錬金術に熱中している。
例の蔵に終日閉じこもり、家中のたれとも口をきかぬ日もしばしばである。

──狂ったのではないか

使用人たちは陰でささやきあい、親族の中ですらそう信じる者がいた。
そうであろう。
何の前ぶれもなく隠居を発表し、半ば押しやるような形で事業のことごとくを息子へ譲渡した
かと思えば、あとは蔵の中へ地虫のように閉じこもっている。

──いや、そうではない

と爆爵の異変を擁護する者もいた。
かれらの弁によればこの異変こそ、まだ正気が残っている証拠だという。
なぜならば隠居の決断こそやや唐突ではあるが、息子への事業譲渡やそのほかの財産分
与のあざやかさは西洋貿易で巨万の富を築いた往年の手腕そのままであり、死後相続をめ
ぐって起こるであろう不毛な争いをみごとに防いでいる。

「豊臣秀吉をみろ。生前あれだけの権勢を誇っていたかれでも、死後の血族の処遇について
は病床で家康に「たのむ」といったぐらいだ。その家康に大阪城で淀君や秀頼を討たれた事
をかんがえれば、いま蔵に閉じこもっているあの方ははるかに理というものをわきまえている」


54 :永遠の扉:2006/12/16(土) 23:44:20 ID:etnX4uh10
もっとも爆爵にしてみれば、そういう人間的なしがらみなどはどうでもいい。
人間だった頃こそ日露戦争において日本が勝利する事を懇願していたし(別にこれは爆爵
に愛国心があった訳ではなく、帝政などという一人の人物の権勢にただ民衆が惑うほかない
「劣」の機構を持つロシアに目ざましい発展を遂げる近代日本が負けるのが気に入らなかった
だけである。もっとも、坂の上にかがやく一朶(いちだ)の白い雲のみをみつめて坂をのぼる
といった向上心をもつこの時代の日本の楽天家たち自体はきらいではなく、そうでない者が
繰り広げた太平洋戦争においては日本などほろべと思っていた)、そのほかの細々とした
「しがらみ」について手立てを講じていたが、ヴィクターと出逢って以来、興味がもてなくなっ
ている。
ゆえにかれは胸中密かに決めた。
(10年だ)
死ぬまでの期間が、である。
もっとも、1世紀後の爆爵が銀成学園において一大会戦を勃発させるのを考えればこの寿
命のそろばん勘定はややおかしい。
(おかしくもないさ)
爆爵はそろばんの珠をぴんと弾いた。錬金術でこみいった計算をする時の道具である。
実はこの頃すでにかれはホムンクルスになっている。
ヴィクターから製法を伝授されるやいなや実験もそこそこに人間を捨て、あとは自らの築き
あげた物をいかに自然現象的に消滅させるか熟慮している。
その中でもっとも難しい物を挙げるとすれば、「蝶野爆爵」という存在そのものであるだろう。
事業や財産ならば隠居という形にまぎれて始末できるが、「蝶野爆爵」という存在はそうも
いかない。下手に消し去ればそれこそ戦士の嗅覚の的である。
ちなみに実はこの頃、爆爵の髭や髪は真っ白になっているが、老化によるものではない。

──武装錬金発動の後遺症だろう。

ヴィクターの弁によればそういう事もあるらしい。
武装錬金は闘争本能を具現化する事でさまざまな武器を形成する。
いわば精神の流出作業なのだ。

──血を傷口から吹き出す、といってもいい。


55 :永遠の扉:2006/12/16(土) 23:45:44 ID:etnX4uh10
ヴィクターは妙なたとえを持ちだしたが、なるほど、確かに似ている。
精神などという神秘的なものの実体については本題でないゆえにこの稿でははぶくが、とも
かく生命活動の支えという点では似ている。
精神を血に見立てれば武装錬金は確かに「血を傷口から吹き出す」作業でもあるだろう。
量があまりに多ければ虚をきたして昏倒し、昏倒せぬよう戦士は訓練をつんで血の流出制
御の術をえる。
しかし爆爵は納得と同時に首をひねった。ヴィクターのたとえは的を射すぎている。
ひょっとしたらヴィクターは実際に、「血を傷口から吹き出す」怪物と出会った事があるのかも
知れない。むろん、そういう経歴については爆爵は聞かないし、ヴィクターも語らない。
なお、錬金術における精神は、肉体や霊魂(または魂)とならんで人間を構成する要素であ
り、それらを均一に高めていく事こそが本来の目的である。
(……だが)
と爆爵の脳裏にふとした疑問が浮かんだ。
精神は前述の通り、武装錬金によって高められている。
肉体はどうか。こちらはホムンクルスにより高められている。が。
(霊魂だけがない)
奇妙な話でもある。
純粋に自らの霊的完成を求めるにしろ、欲望のまま黄金変性や不老不死を求めるにしろ
錬金術師にとって賢者の石の精製はさけられない部分である。
そのためには精神・肉体・霊魂を均等に高めていかねばならないというのに、霊魂だけは
核鉄やホムンクルスに該当する産物がない。
(あるいはそれがあれば賢者の石の精製も可能……?)
ヴィクターを救い、なおかつかれが二度と人間如きに負けないようにするには、既存の物を
はるかに超えた産物が必要であるだろう。
爆爵は幸い、不老不死である。
それを以て悠久のときを研究にあて、遥かな力を創り出し「優」たるヴィクターに捧ぐ。
『蝶野』の本懐ではないか。
特有の二元論を満たしながらも自らの高みを目指す、惑いなき芯の通った生き方なのである。
それはともかくとして、爆爵の髪や髭が白くなったのは、例のアリスインワンダーランドの発
動により大量出血をきたした彼の精神の証であるだろう。
ヴィクターを連れかえってすぐおこったこの変調に爆爵は閉口した。

56 :永遠の扉:2006/12/16(土) 23:46:20 ID:etnX4uh10
山中でヴィクターを襲撃した者は総て殺している──実は1名だけ生存しており、爆爵の死
後のL・X・Eに重大な影響を及ぼすとは神ならざるかれには知るよしもない──から、すぐ
ここに来る事はないだろうが、その仲間が銀成市に焦点をしぼって調査する場合を考える
と爆爵の不自然な変調は非情にまずい。
戦士の知るところとなれば蔓からイモをたぐるようにヴィクターの存在を嗅ぎつけられる。
つまり爆爵がヴィクターの守護体制を敷くにあたってまず要したのは、黒髪を保つ白髪染め
なのである。
後のL・X・Eの規模から考えればやや馬鹿げているが、創立時の組織などはえてしてそういう
ものなのだろう。
「すまないヴィクター。キミに少しつまらない事を聞くよ」
と爆爵は真剣ながらにどこか処女のような恐れおおさでヴィクターに聞いてみた。
「錬金術で白髪を染める物質を作る方法があれば教えてほしい」
我ながらくだらぬ質問をした、と爆爵はやきもきしたが、しかし周囲の人間に白髪染めの調達
を依頼すれば、不自然に思われるだろう。よって術は自己調達しかない。
なお、このときのヴィクターは上半身のみで巨大なフラスコの中をたゆたっている。
例の再殺部隊の男に切断された下半身はいっこうに平癒の気配を見せず、爆爵は苦肉の
策ながらホムンクルス胎児の培養液を用いている。ゆくゆくはこれをヴィクター専用の修復
フラスコへと改造するつもりではあるが、しかし実現までどれだけかかるか。
例の霊魂のコトも含め、想像もつかぬ課題である。
爆爵の問いにヴィクターはやや面食らったが、しばらくすると答えた。

「ある」

概要を説明していくうちにかれはつい微笑をうかべてしまった。
無理もないだろう。自分の年齢の倍はある男が真剣な羞恥で「白髪染めを錬金術で作れな
いか」と聞いているのだ。
戦団から受けた執拗な追撃や娘(ヴィクトリア)への仕打ちで人間というものに心を鎖しかけ
ていた分、目の前の男性へ限りない親しさと敬愛をおぼえてしまい、それが微笑という形で
出てしまった。
微笑するとこの赤銅色の大男がやけに幼くみえ、「こういう顔もするのか」と爆爵はときめく
思いをした。
余談がすぎた。

57 :永遠の扉:2006/12/16(土) 23:47:20 ID:etnX4uh10
要するにそういう滑稽なやり取りでできあがった白髪染めの塗り方すらまだおぼつかない頃
なのである。
恐らく、戦士(ヴィクターからその単語を聞いて爆爵は使っている)らの熱はまだ冷めやらず
銀成市周辺をうろうろしているだろう。
よって爆爵は迂闊な行動をとりたくない。
実のところヴィクターともども今すぐ山野にかき消えて、人間のしがらみのない場所で友を復
活させる研究だけに没頭したいところだが、突如行方不明になれば周囲が騒ぎ立て、いずれ
戦士の耳に入ってしまう。
だから10年、である。
この間に後の活動拠点を秘密裏に作りつつ、自らの手足となるホムンクルスを静かにかき
集め、表立っては「蝶野爆爵」として衰弱の様相をまわりに見せつつ──…

1915年 9月28日 蝶野爆爵 逝去

くしくもこの日、新撰組三番隊組長・斉藤一が胃潰瘍により死去している。
かれの享年は72というから、爆爵より7つ年上という勘定になる。
ただし爆爵は55歳の段階でホムンクルスとなり、白髪白髭を除けばいっさいの老化を催して
いないから肉体年齢としてはこの後ずっと55歳である。

棺に入っているのは人型ホムンクルスの製法を応用して作ったクローンであり、その周りで
むせぶ連中はやや滑稽でもある。
もっともかれらが豪儀にも著名な寺を貸し切って葬儀を行ったおかげで、蝶野邸の蔵からヴ
ィクターを新たな拠点へうつすのはひどくたやすかった。
出立に際して爆爵はふと手を止めた。
錬金術の研究日誌。
それは13歳の少年だった頃からずっと欠かさずつけてきた。
ヴィクターと出逢う前も。そして出逢ってからのこの10年も。
足掛け半世紀にも渡る研究日誌だ。
爆爵としてはかなりの思い入れがあるが、それを持っていくかどうか。
(どうせここまで上手くやったんだ。多少の気まぐれもいいだろう。後続へのヒントとして残して
おいてやる)
爆爵はヴィクターにも見せたことのない笑みを浮かべた。

58 :永遠の扉:2006/12/16(土) 23:49:38 ID:cYM2lLPx0
蝶野の気質ならばあるいはこの錬金術の一部にしかすぎない日誌から、爆爵と同じ高みに
のぼってくるだろう。
「優」の血が代々薄まっていくという信奉の持ち主の爆爵としては、破格の期待といっていい。
この辺り、普通の人間としての感覚がまだ残っていたらしい。
(もし完成する事があるのなら)
いかなる者だろう。未知の蝶をさがすようなほのかな期待を持ちつつ、爆爵は蝶野邸を去った。

2002年。
爆爵の玄孫が病魔に喘ぎながらその蔵を訪れるが、それはまた別の話……

秘密裏に調達した別荘の地下で、ヴィクターはくすりと笑った。
「爆爵、白髪はもう染めないのか?」
「もう必要ないからね」
それに──と爆爵は蝶を模した見事な髭をなでながら思った。
(こういう佇まいの方が、キミを守るのに相応しい。そしてこの場所にも)
真っ白な髪の毛を揺らしながら、爆爵は薄暗い地下を眺めた。
(どれほど過ごす事になるかは分からない。だが必ず──…)
この瞬間から爆爵はDr.バタフライと名乗ることを決意した。

視点は変わる。

永い閉塞の象徴。遠きより魔を招聘せんとす黒の光景。

「それ」は例え何年かかろうとも忘れ去る事あい叶わず、幾度となく幾度なく光を遮るだろう。
望んでも開かず、血の滴る拳を叩きつけてもビクともせず、悲憤に涙する他ない。

この物語はいずれ、「それ」に縛られ続けてきた2人の男の戦いへ収束する。
1人は早坂秋水。
もう1人は──…

……まだ幼かった頃の早坂姉弟の話へ軸を移す。

59 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2006/12/16(土) 23:50:24 ID:cYM2lLPx0
いやはや、司馬遼太郎の文体を意識してみたものの、模写にまでは至らず。
むずかしいですなこういうの。余談だが〜だけだったらばS簡単なのですが。
今回は坂の上の雲ネタから始まり、錬金術うんぬんやら今後の伏線やらをからめつつ、2巻
P37のパピの台詞や3巻P21のバタフライの台詞との整合性もとってみました。
いや〜。本当はヴィクターと出逢った直後にホム化して偽装死するとか思ってたのですが、
爆爵が錬金術を始めたのを13歳に設定して、55歳当時で表向きに死なすと差し引き42年
で「半世紀に渡る研究資料」を遺せないというのに気付いておおわらわ。で、10年追加。
坂の上の〜は坂の上の雲ハードカバー版1巻のあとがきから。文庫だと8巻にあります。
このあとがき、すごく好きなんです。

さいさん
>Will Meet Again
もちろん子供達〜の段階で「もしや」と思ってましたよ! うーむ。それにしても一般人には普通
の対応ができる所がカッコ良くもあり恐ろしくもあり。にしても>>397後半は平野節のリズムが
流れてますね。なんというか低音で合唱したら恐ろしく映えそう。普通にしててもやはり神父w          

すみません。総角は同じ回で分身ネタ晴らししたかったのですが他の描写でついつい分か
れてしまい…… ブレミュは描くのが楽しくて楽しくてw 早く彼らを本格的に戦わせたいです。
そしてヴィクトリアの心理描写は何かと暗くなるかも? 前回1レス目は「こういう反応かな?」と。
オリキャラについてはもうすぐちょっとした物をば。不慣れゆえ二転三転してますが……
ただ、言葉ありきという点は同じで「おお!」と。ですよね。声とか言葉は大事ですよね。
死の河は、30体分身の激戦+シルスキ+ジェノサ+BOGの男爵様なら何とかッ! (無理かも。危ないかも)

>前スレ401さん
変わった感じのトライアングル、これも今後の軸の一つなのですがキャラが多くなってくるに
つれて描ききれるのかという不安も多少…… 困ったコトに嫌いな錬金キャラがいない……
い、癒し系!? 確かに江原さんの「ブラァボー!」はそんな成分ありますが……え、ええ!?

60 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2006/12/16(土) 23:51:28 ID:cYM2lLPx0
>前スレ402さん
天然は両刃ですからねw 自分はもうどっぷり浸かっているのでへっちゃらですが、確かに
人によっては抵抗あるのかも。女性受けは千歳や千里、小札といった人の方が良いのかも。
今回は司馬遼太郎もどき、次回は錬金ファンおなじみの欝話と今イチ定まってませんがよければお付き合いを。

>前スレ403さん
これだけ書いてるのに感覚的にはFF7のコルネオの館にもついてなさげで末恐ろしい限りです。
今年中にブレミュとの決着つけようとか思ってたのに…… もうちょっとしたら原作よろしく武
装錬金の勝負をバシバシやりますよ! こうご期待!

>前スレ404さん
自分もです。はぐはぐ食べて汗を流して、トンカツをぶち込んで何杯も何杯もお代わりしたい……

ふら〜りさん
感覚でつかんでながらその正体が分からないという、鈍いんだか鋭いんだか分からない所が
小札っぽいかなぁという結論ですが、気に入って頂けたようで光栄です。で、あと2つほど総角の
良さげな描写もあるのでいずれ。スカートはやっぱ強引にめくるのは良くないですよね。同意を得ないと。

61 :作者の都合により名無しです:2006/12/16(土) 23:58:35 ID:uokudg1k0
スターダストさんは本当に何でも知っているなあ。
尊敬する。小札かわいいw

62 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2006/12/17(日) 00:10:49 ID:h6FrE9gm0
忘れてたorz すみません銀杏丸さん

>戦闘神話・幕間〜師と仇と〜
優遇したい気持ちはよく分かりますw 好きなキャラの活躍ってもっと
見たい物ですよね。「美」という点で再構築されたアフロディーテが格好よいです。
>外道も貫けば世の華だ
ですね。確固たる原則を持つ人は好きです。そういう点では海皇も。
エドは彼女にどういう印象を抱くのでしょうか。軍に一人雰囲気の似た人がいましたが……

>>61さん
ありがとうございます。あぁ、でも日露戦争当時はもっと調べた方が良かったかも。
しかし錬金術はこのSSを描くにあたりけっこう調べてます。一応原作からして錬金術モノなので。
それにしても小札は、自分で描いてても可愛いとか思ってしまいます。親バカですねこりゃ。

63 :作者の都合により名無しです:2006/12/17(日) 00:25:53 ID:H2UbcQR+0
お疲れ様ですスターダストさん。
多分、作者の和月先生すら考えてないようなバッグボーンを考えておられますねw
歴史の流れに沿って、趣味に走りまくっているのが好感持てますw

64 :作者の都合により名無しです:2006/12/17(日) 03:48:49 ID:+5uXCeQr0
>銀杏丸さん
幕間劇といえども、本編以上に気合を入れて書いているのがわかる。
アフロディテがお気に入りなんだろうな。確かに「濃い」キャラだけどw
(個人的にはミスティの方が変態度は上で好きなんだけどw)

>スターダストさん
手抜き、本当にしないですねスターダストさんは。よく調べててそれを
作品へ反映させてる。爆爵やビクターの因果の歴史がよくわかります。
まっぴーや小札はのほほんとしてるけどw

65 :作者の都合により名無しです:2006/12/17(日) 12:56:18 ID:0lppoI0q0
スターダスト氏乙。
爆爵の孤独というか孤高、信念というか執念・狂気が染み出してきますな
斉藤って新撰組幹部の中で永倉と並んで長生きしたのは知ってたけど
胃潰瘍で死んだのは知らなかった。
こういう豆知識みたいなのを盛り込んでくれるのはうれしい。

次回は早坂姉弟の話か。
原作の監禁話以外にも、スターダストさんがまた創作してくれるのかな?

66 :永遠の扉:2006/12/17(日) 22:37:37 ID:ldDkAyF80
彼らの世界は、彼らと、その母・早坂真由美の3人が総てだった。
「早坂家」は3人と1DKのアパートが総てだった。
父親は──…
いない。
知らない。
分からない。

当時の遊びで秋水が一番よく覚えているのは、ケッコン式ごっこ。

──健やかなる時も 病める時も
──喜びの時も 悲しみの時も
──富める時も 貧しき時も
──これを愛し これを敬い
──これを慰め これを助け

──死が二人を別つまで

──共に生きることを誓いますか?

これに溌剌と答える桜花の横で秋水が恥ずかしげに答え、2人を満面の笑みの真由美が
両脇に抱きかかえるのが慣習だった。

「外は危ないから、出ちゃダメよ?」

秋水たちはいいつけを守り、終日ずっと、ずーっと家の中で暮らしながら、健やかに育っていた。
秋水は後に述懐する。

──誓いの言葉の意味なんてよく分からなかった。
──ただ姉さんと母さんが楽しそうだったから俺も楽しかった。
──”死”とか”生きる”とか本当によくわからなかった。
──だからその朝、母さんに何が起きたのか、俺は何も分からなかった。


67 :永遠の扉:2006/12/17(日) 22:39:08 ID:ldDkAyF80
そう。
彼は何も分からなかった。

桜花と秋水が3歳を少し過ぎた、梅雨のある日。
彼らの世界に決定的な異変が起こった。
朝起きると、いつも出勤するはずの早坂真由美が布団の中から動かない。
前々からその兆候はあった。
朝早くに出勤して夜遅くに帰宅し、秋水たちの成長と反比例して細くなっていた早坂真由美。
彼女は時折、眠くて体が動かない」とこぼしていた。
幼い秋水たちがそれを額面どおりの意味でしか理解できないのは当然だろう。
母をただのお寝坊さんとしか思わず、目覚めるのを待ち続けた。
目覚めるのを、待ち続けた。
雨音を聞きながら。
どこからか入ってきた2匹のハエの羽音を聞きながら。
どれ位経っただろう。
桜花が空腹を訴え出した。だが秋水にそれを満たす術はない。
仕方なく、彼らはケッコン式ごっこで時間を潰そうとした。
ハエが1匹、早坂真由美の顔の周りを飛び回り、やがて着地した。
彼女はあんぐりと口を開けたまま天井へ虚ろな視線を投げている。
瞳は、汚水のように光をなくしている。
見るべきものが見ればいかなる状態か分かるだろう。
ハエがもう1匹、止まった。更にもう1匹。もう1匹……
一体その部屋のどこからハエたちは入ってきたのだろう。
絶望的なまでに密閉されていたというのに、ハエたちはどこから入ってきたのだろう。
置かれた状況を把握した後、秋水は生死の境をさまよいながらかすかに思った。

羽音は止まない。
雨の滴る艶やかな音をかき消して、秋水たちの周りを飛び続ける。
その中で目覚めぬ母の肌がみるみると血色を失っていく。
色だけではない。
形も、使い古されて湯にふやけた石鹸のようにだらしなく歪んでとろけていく。
黒い粒が部屋の中に充満し、耳障りな羽音が幾重にも鳴り響き始めた頃。

68 :永遠の扉:2006/12/17(日) 22:40:10 ID:ldDkAyF80
ついに早坂真由美は完全に張力を失い、崩れた。髪の束が抜け落ち、枕元にたまった。
異変。秋水は咄嗟に桜花の手を取ると、ハエの群れをつっきり家から出ようと試みた。
「それ」が阻んでいるとも知らず。

「外は危ないから、出ちゃダメよ?」

扉。
「それ」は十数本の鎖と十数個の錠前でがんじ絡めにされていた。開かない。
「それ」を秋水たちは必死に叩いて、助けを求めた。
「それ」の向こうの住民たちに声は届いたが、彼らは耳を貸さない。助けない。

彼らはせせこましい経験則から知っている。
子供を泣き叫ばす親の劣悪なる正体を。
おおよそ社会責務を負うには不適合でありながら、一時の快楽を餓鬼のように求め、その挙
句に、無目的に、子を作る連中は。
いたずらに分不相応なる面目に拘泥し、ひとたびそれが潰されれば滑稽な、しかしそれだけ
に手に負えない屈折した怒りで生活を破壊しに掛かってくる。
そういうリスクをおってまで、子供を助ける理由が何処にある?
日々の生活に追われる者などに道徳はないのだ。
ただその生活を保つ事だけが目的となり、きらびやかな活躍など望むべくもない。

カップラーメン。
菓子パン。
缶詰。
スナック菓子。
惣菜。
缶ジュース。
ペットボトル入りの水。
みかん。
生の大根。
生のにんじん。
生のじゃがいも。

69 :永遠の扉:2006/12/17(日) 22:41:11 ID:ldDkAyF80
以上は桜花と秋水が命をつなぐために飲食していたモノである。
警察がようやく扉をこじ開ける頃には、彼らは衰弱しきっており、1ヶ月の入院を余儀なくされた。

ここで断っておきたい。
けして警察は桜花と秋水を助けるために現われたのではないという事を。
未成年者略取。
警察が早坂家に急行した理由であり、早坂真由美の罪状でもある。
彼女は、まだ乳児だった浮気相手の子供をさらい、自分の子として育てていた。
それが桜花と秋水。
彼らがなりゆき上助けられた後、マスコミのインタビューを受けたアパートの住民はこう答えた。

「いつも静かだったんで、子供がいるとは露とも」

実母は、秋水たちを激しく拒んだ。

「あんな女が三年も育てた子なんて もう私の子供じゃないわよ!!」
「よさないか 子供の前だぞ!」
「なによ 元はと言えばあなたのくだらない浮気が原因じゃない!」
「その話はもう済んだだろうが!」

まだ衰弱癒えぬ彼らの前で怒鳴り散らす「新しいお母さん」を見て。
まだ衰弱癒えぬ彼らを顧みようともしない「男の人」を見て。
助けに答えてくれなかったアパートの住民たちのコトを思い出して。

桜花と秋水は、世界に自分たちの居場所がないのを知った。
深い失意と不信に涙を浮かべる桜花の手を取り、秋水は病院からそっと抜け出した。
満月の下で、行くあてさえ分からず街を歩いた。
彼らの過ごした家(うち)は既になく、外は恐怖のみで助力は願えない。
夜の公園で落ちていたビニールシートを分け合うように羽織りつつ、秋水は桜花に聞いた。

「どこへいこうか?」
「どこでもいいよ。でも」

70 :永遠の扉:2006/12/17(日) 22:42:23 ID:ldDkAyF80

桜花は顔一面に熱をひりつかせ、生命の逼迫を告げる激しい吐息を辛うじて声にした。

「秋クンはいっしょにいてね」

極度の栄養失調は、幼い女児から最低限の抵抗力すら奪っていた。

「姉さん?」

冷えた夜気を浴びただけで高熱を発するほどに。

早坂真由美が「手本」を見せて、かつての飢餓状態で幾度となく覚えた死別の予感。
再来する激しい動揺の中で秋水は手近なガラス片を手にし、たまたま通りかかった1人の老
人を脅した。
果たしてその行為が運命に対し、幸か不幸、いずれの効能で作用したのかは今となっては
分からない。
見事な白スーツをまとい、奇抜な蝶々型のヒゲを蓄えたその彼こそ、かつての蝶野爆爵……
Dr.バタフライだったのだ。
「おかねと! たべものと! おくすりを出せ!!」
「これはこれは。随分と可愛い強盗だね」
おどけた声とともに秋水の背後へ手が伸び、3歳の小さな体をあっけなく持ち上げた。
もがく秋水。
三日月のイラストに目鼻と口と燕尾服の長身を引っ付けたようないでたちの中年男性にそう
される秋水は、奇妙な小動物のようで傍目から見れば滑稽でもある。
桜花の危機に何もできない自身の無力さに息を荒げる秋水。
彼を見たバタフライは薄暗い笑みを浮かべた。
「いい瞳(め)だ。程良く濁り始めている」
彼が見たのは、ドブ川が腐ったような、マグマとヘドロをごっちゃ煮にしたような負の感情。
「ほうら言った通りだろ。月夜の散歩は必ずいいコトがあるんだ」
ムーンフェイス。本名をルナール=ニコラエフというロシア人の台詞にバタフライは頷いた。
「ついて来い小僧。どうせその姿(ナリ)では行くあてもないのだろう」
「いやだ! 姉さんと一緒じゃなきゃ、どこへだって行くもんか!!」

71 :永遠の扉:2006/12/17(日) 22:43:31 ID:EOIVZF630
「構わんよ。なら一緒に連れて来い」
タフライは事もなげに告げると、こう釘を刺した。

「ただしその姉にその瞳(め)が出来なくば、生き延びるのは難しいぞ」

桜花と秋水が、L・X・E(超常選民同盟)と呼ばれるホムンクルスの共同体に所属し、銀成学
園の生徒を食料にしようと画策したのは、その月夜がきっかけだった。

そして秋水は修復フラスコの中で眠るヴィクターを幾度となく見る。
心を鎖していたせいで、何ら関心を払わなかったかれの存在。だが。

その認識はのちに覆り、かれの娘のために秋水は奔走する事となる。
いずれ見(まみ)えるもう1人の男も1世紀前にそうしていたとは知るよしもなく。

回り続ける。
轍で結ばれし輪は断たるる事なく、永劫に。

72 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2006/12/17(日) 22:44:30 ID:EOIVZF630
名文、というのをあげるとしたら坂の上の雲のタイトルの由来ですね。
あれだけは何度読んでもじんわりきます。
次は翔ぶが如くを読みたいけれど、なぜかゼロの使い魔を読んでる自分。
けっこう作りこまれている構成はハルヒより好きかも。

さて、原作最大の問題回。
本当は木曜日(アニメでの放映直後)に投下したかったのですが、火曜日同様アク禁に巻き
込まれ今日に伸びた次第。
迂闊にいじると大変なので原作そのままですが、アパートの住民だけは勝手にバックボーン
を作ってます。しかしどうして自分はこういう黒い話を描くときにテンションがあがるのか……

ちょっと寄り道状態ですが、一応後々にはつながる構成です。特に「霊魂」とか。

>銀杏丸さん(補足)
日露戦争についての爆爵の感想ですが、彼の「優を好み劣を嫌う」性格と自分の坂の上の雲
への思い入れをブレンドした結果、ああなりました。あの時代は日本の「青春期」だと思ってます。
「青春」が好きな自分としては、どうも爆爵の思考からでも貶せないようですね。

>>63さん
確かにここまで偏ったのは考えてないかも。しかしそう油断していると/z(小説版第2弾)です
ごいのが炸裂しそうで恐いですw あ、「『蝶野』の本懐ではないか」は燃えよ剣下巻の「大暗
転」で土方が沖田に語る所を意識してます。これも趣味の一つです。ハイ。

>>64さん
いえいえ。日露戦争のあたりはほとんど坂の上の雲経由の知識で……
日露戦争中・後の日本を書いた本さえあればもうちょっと描き込めたので、そこが残念です。
あの時代の「一朶の白い雲のみ見つめる楽天家たち」は大好きです。

>>65さん
爆爵の性格には司馬作品の主人公特有の「一種きちがいじみた部分を持ちつつも、どこか
で尊敬できて学べる萌えキャラ」オーラがあると思ってますので、感じて頂ければ僥倖です。
斉藤一の死因は恥ずかしながらwikiより。赤間倭子女史の小説も読んでみたのですが、どうもしっくりこず……

73 :作者の都合により名無しです:2006/12/17(日) 22:47:40 ID:LEfW3Aoo0
スターダストさんが好調でうれしい。
このあたり、漫画でも黒かったけど文章にするとまた切ないなあ。
欲を言えば原作にスターダストさんの+αをして欲しかったけど、
ここは触っちゃいけない部分かもしれませんね。


全然興味ないかもしれないけど、SS大賞で大賞に入れました!

74 :作者の都合により名無しです:2006/12/17(日) 23:47:11 ID:4ijcX2xt0
スターダスト氏乙です。
いつもの描写方法と少し趣を変えて、淡々とした感じで
早坂姉弟の絶望を書ききってますな。

75 :作者の都合により名無しです:2006/12/18(月) 01:45:51 ID:0DwQTSjg0
なるほど。アニメとリンクさせてるんですか。
錬金のアニメは今のジャンプアニメの中で一番出来がいいですな。
深夜にしておくのは惜しい。
でも深夜だから少しだけ、まひろが色っぽいですがw

76 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/18(月) 14:26:15 ID:lmdIB2dT0
「この間パパの友達からもらったチケットであのケダムサーカスを見に行ったんだけど
本当にすごかったよ、ピエロ・ボルネーゼ。100人以上に分身してさ。
あれは正に世界レベールだよ。ほら、これがその時の写真さ」
いつもの空き地の土管の上に座り興奮気味に自慢話をするスネ夫は写真を取り出した
そして土管の下でスネ夫の話を聞いていたドラえもん、のび太、ジャイアン、しずかの4人は差し出された写真を見る
確かにその写真には大勢の観客の中心で135体の同じ顔のピエロが玉乗りをしながらお辞儀をする姿があった。
それを見て
「道具なしでこんなことができるなんて・・・。」
「もう人間のできる業じゃないね・・・。」
とドラえもんとのび太
「すごいわ〜・・・私もこんな大勢の前ででバイオリンのコンサートしてみたいわ・・・・。」
「俺もだぜ、しずかちゃん!!」
今の話題とは的外れでそれでいて実現されたら死人が出そうな事を平然と言ってのけるジャイアンとしずか
「もぉ、そんな事は今は関係ないだろ!それでどう?次の公演のチケットがあるんだけど行きたい?」
「「「「行きた〜い!!」」」」
声を揃える一同
「けどのび太は駄目!!ついでにドラえもんも!!」
「「ええ〜?」」
いつものノリではあるが不満の声を上げるのび太、そして予想外のことに驚くドラえもん
「ちょと、のび太君はわかるけど何で僕も駄目なのさ?」
「ドラえもん・・・。君時々素でひどい事言うよね・・・。」
ドラえもんの言葉に落ち込み気味の、のび太
「だってチケットは三枚しかないからね、のび太は確実としてドラえもんには常日頃から散々と痛い目にあってるからね。お返しだい!!」
「そんな勝手すぎる!!大体のび太君をいじめるから悪いんだろう!!いくらのび太君が
愚図で頭悪くてノロマでアホで間抜けで馬鹿で金に汚くて泣き虫でドジでトンマでエッチで丸眼鏡で足短いからっていじめ過ぎだよ!!」
その時ドラえもんのシッポが引っ張られる音ともにドラえもんの機能は停止した。

77 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/18(月) 14:30:47 ID:lmdIB2dT0
ドラえもんの尻尾を引っ張った事により電源が切れたのだ。
そしてそれをしたのは紛れもないのび太だった。
のび太は顔を真っ赤にして額に青筋を立て全員を見ると
「なんだいなんだい!!みんなして僕を馬鹿にしてスネ夫の言うケダムだか毛むくじゃらか知らないけど僕は絶対それよりすごいサーカスを見てやるもんね」
その言葉に笑いを隠しきれないジャイアンとスネ夫
「「面白い、じゃあ見せてもらおうかドラえもんの力なしで」」
ジャイアンとスネ夫が息ぴったりに同時に言う。それは確実にのび太を馬鹿にした態度だ。
「もぉ・・・やめなさいよ」
影の薄いしずかが制止に入るが今の、のび太に効かない
「ああいいとも、そっちこそ後でほえづらかくなよ!!」
そう言うと電源が切れてただの鉄の塊と化したドラえもんを放置したままのび太は立ち去っていった。

----------数時間後
時刻はすっかり夜、人通りの寂しい小道の電柱についた電灯を頼りにのび太は
つい啖呵を切ってしまったものの135体・・・下手すればさらに多くに分身できるピエロを中心に
個人のレベルが世界レベールの水準を持つ脅威のサーカス団
未来の世界のサーカスなら勝てるかもしれないがドラえもんの力を借りないのを明言してしまった今その手段は使えない。
などと考えていると

ドン

のび太は誰かにぶつかってそのまま倒れてしまった

78 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/18(月) 14:32:13 ID:lmdIB2dT0
「眼鏡・・・・眼鏡・・・」
と倒れた拍子に落とした眼鏡を落としてしまい地面を叩いたりして眼鏡を探していると
「ぶつかってすまなかった・・・立てるかね?」
という声と共に差し出された眼鏡をのび太は受けとって掛けて見ると目の前の人物を見て絶句していた
背が高い男の人だったが一番驚いたのは目玉のある筈の所は黒い穴がぽっかり空いてるだけだった
それを見て小さく悲鳴を上げたがすぐに見間違いで目玉だということに気づく
そののび太の行動に男は「どうかしたかね?」と尋ねられ
「あ・・そのなんでもありません・・・・。」とまるで先生に怒られるような心境でのび太は答えた。
「ふむそうか・・・。しかしこんな時間に外に出歩くとはなかなか勇気のある少年だな」
「え?」
そこで初めてのび太は今が夜遅くだということに気が付いた
「いけな〜い、早く帰らないとママに怒られる、それじゃあ!!」
と足踏みしながら男から立ち去ろうとするのだ男に呼び止められた
「待ちたまえ」
「なんですか?僕は急いで帰らないといけないんですけど・・・。」
「ぶつかったお詫びといっては何だがね、私が経営しているショーのチケットを貰ってはくれぬかね?」
そう言うと男はチラシ付きのシルク・ド・フリークと書かれたチケットを数枚取り出した。
「いいんですか?」
「ああ、いいとも。友達もいっしょにどうぞ」
そう言ってニッコリと笑う男・・・だがのび太の目には唯怖いとしか思えなかったがショーのチケットをくれたのだ、
悪い人ではないのだろう、そう思って
「わぁ・・・ありがとうございます」
そうお礼を言いながらチケットを受け取るとのび太は急いで家路へと向かっていった
そしてそれを見送った男は
「あれが野比のび太・・・なるほど、面白そうな子だ・・・。」
そう言うと薄ら笑いを浮かべて去っていった
その数十分後のび太は
「のびちゃん!!いつまで遊んでるの!!今日はご飯抜きです!!」
鬼神と化したママにこってり絞られていた。
そして「ドラえもーん!!!」と今だ空き地に放置されているドラえもんに救いを求めたのであった・・・・。

79 :店長 ◆RPURSySmH2 :2006/12/18(月) 14:37:35 ID:lmdIB2dT0
身の程知らずがまたやってきました
そんで持ってなんか始めちゃいました。
まだ野比のび太も完成させてないのに何を書いてるんでしょうか私は・・・。OTL
元ネタはダレン・シャンとドラえもん。
自分はダレン・シャンは小説を参考にしてるので漫画と少し矛盾するかもしれません
ストーリ的には小説のバンパイア・クリスマスから数年後もしダレンとのび太が会っていたらと言う感じです。
まぁ色々と突っ込み所や文章力の無さから読みづらい所やお目汚しは多々ありますがよろしくお願いします

80 :作者の都合により名無しです:2006/12/19(火) 03:16:57 ID:4VDg+2Ac0
80

81 :作者の都合により名無しです:2006/12/19(火) 08:08:35 ID:ibf+m6R00
店長さん乙です!

ダレン・シャンというのは知りませんが、ドラえもん物は大好きなので期待してます。
新連載ですよね?まだ続いてくれるんですよね。楽しみに待ってますよ。

82 :作者の都合により名無しです:2006/12/19(火) 15:59:20 ID:euyWLJY40
第三回SS大賞の結果

・大賞:殺人黙示録カマイタチ(かまいたち氏)
(カマイタチ9票、永遠の扉3票、聖少女風流記2票、超機神大戦1票)
・新人賞:WHEN THE MAN COMES AROUND (さい氏)
(WHEN〜11票、17氏のバーディと導きの神2票、該当なし2票)
・ストーリー賞:聖少女風流記 (ハイデッカ氏)
(聖少女7票、永遠の扉3票、カマイタチ3票、超機神1票、金田一1票)
・ギャグ賞:該当作なし
(該当なし8票、シルバーソウル5票、月の勇者1票、超機神1票)
・バトル賞: 超機神大戦(サマサ氏)
(超機神11票、ブラックキャット2票、やさぐれ獅子2票)
・名シーン賞:超機神対戦(サマサ氏) 最終決戦での全員集合
・中短編賞:強さがものをいう世界 (サナダムシ氏)
(強さが〜13票、サナダムシ氏の短編すべて1票、該当なし1票)

・最優秀キャラクター賞:ジャンヌダルク(聖少女風流記)
(ジャンヌ9票、アスラン(超機神)2票、夕凪(カマイタチ)2票、
 まひろ(永遠の扉)1票、加藤(やさぐれ獅子)1票、千歳(永遠の扉)1票)
・優秀男キャラ:アスラン(超機神)9票 慶次(聖少女)8票 加藤(やさぐれ獅子)8票
・優秀女キャラ:まひろ(永遠の扉)9票 井上(やさぐれ獅子)7票 
          夕凪理沙(カマイタチ)3票  静香(強さが〜)3票

83 :作者の都合により名無しです:2006/12/19(火) 17:23:15 ID:L2UsqJZr0
>店長氏
いや、結構うまいと思いますよ
一部の方を除いて、大抵は書きながら上手くなっていくものだと思います
応援してるのでがんばってください!

84 :作者の都合により名無しです:2006/12/19(火) 20:51:42 ID:8xoi9rmf0
店長氏、ドラえもんの長編はクオリティを要求されるぞ〜w
でも頑張れ。ダレン・シャンってどんな漫画(小説)?

85 :作者の都合により名無しです:2006/12/19(火) 20:55:12 ID:7WeOeKau0
代わりに説明しよう。
とある蜘蛛大好きの少年がある日ヴァンパイアに誘われてサーカスを観に行き、いろいろあって自分もヴァンパイアになってしまうというお話
現在サンデーで漫画版も連載中だそうで。

86 :作者の都合により名無しです:2006/12/19(火) 21:06:31 ID:8xoi9rmf0
サンキュー!

87 :ふら〜り:2006/12/19(火) 21:40:32 ID:Occy0Fe60
>>銀杏丸さん(そういやG財団にもいましたなぁ。アニメ限定ですが科学戦闘隊が)
そうそう。あの期に及んでも仇敵に情けをかけてしまうのが瞬。考えてみれば双魚宮戦
までは、ず〜っと手加減・逆刃刀状態で戦ってたんですよね彼は。本作では原作キャラ
たちが軒並み年長者として威厳を見せてますが、瞬の甘さ・優しさは変わってない?

>>スターダストさん
まだ原作もアニメも未見なので、スターダストさんや他の職人さんの描写から、私の中で
各キャラがデザインされ動いてます。なので今後、例えばまひろと会話する秋水を見る目
が少し変わりそう……彼女が挑む彼の心、これほどまで強固な土台に固められていたとは。

>>店長さん
出会いのシチュ、何となく喪黒福造を彷彿としてしまいました。それはそうと、のっけから
ドラの力を借りない宣言してしまって、そうでなくても本作のドラは性格が黒そうで、しかも
>>85さんによると相手はヴァンパイア? かなり先行き不安なのび太、どうなりますやら。 


88 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/20(水) 01:33:31 ID:2hdQOIuX0
「「「「シルク・ド・フリーク?」」」」
空き地に集められたドラえもん、ジャイアン、スネ夫、しずか、は声を揃えて不思議そうな声を出しながらのび太を見つめていた
「ああ、そうさ、これが昨日言ったケダムサーカスより凄いショーさ!!」
自信満々に言い放つのび太だが
「嘘くせぇ・・・・。」
これが四人の正直な反応だった
「だいたいそんなサーカス聞いた事も無い!そんなのがあのケダムサーカスより上だとは思えないね」
とスネ夫、
「そうだ!!だいたいそんな凄いサーカスならチケット代だって馬鹿にならない筈なのに貧乏なのび太が買えるわけがねぇ」
とジャイアン
二人とも意見とはしては正論だ、元々口先が旨いとは言えないのび太は押されていくが
「とにかく見ないと分からないじゃないか!!凄くなかったら手の平からパンを食べてやる!!」
どこのホムンクルスだと言いたくなるような発言をするのび太に
「おもしろい、みてやりましょ。」「どうせ無駄だろうけどな。」
と馬鹿にしながら空き地を去っていくジャイアンとスネ夫の背中に
「今日の夜10時に空き地に集合だぞ!!逃げるなよ〜!!」
自信と余裕、それに少しの不安が混じった顔で二人を見送ったのび太だった

89 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/20(水) 01:36:05 ID:2hdQOIuX0
「けどあんな約束しても大丈夫なのかい?パンを手の平で食べるなんて、本当に君の発想は奇想天外というべきか、単純に馬鹿というべきか・・・・。」
とドラえもん、昨日空き地に放置せいか少々不機嫌な様子だ。
「そうよのび太さん、武装錬金の人型ホムンクルスが人間を食べるのとはわけが違うのよ」
しずかは今まで影が薄かったのを払拭しようとネタ的な事を言いつつのび太の事を心配しているようだった。
「大丈夫だよ!!」
「ほんとに?」
「たぶん・・・・。」
ドラえもんの問いに段々と自信をなくすのび太だったがそこであることに気が付いた
「しずかちゃん、その顔の傷どうしたの?」
「え?」
いきなり話を振られて驚きながらもしずかが顔を触ると確かに引っかいたような小さなひっかき傷が左頬に三つほど出来ていた
「なにかしら・・・。きっと寝ているときに自分でひっかいたんだと思うんだけど・・・・。」
「な〜んだ、しずかちゃんも意外とドジなんだな〜、」
そう言いながら笑うのび太
「もうのび太さんたらっ!!」
笑われたことに少々不満の声を出すが勿論本気ではない、これも彼らの日常なのだ。
「兎に角、僕の勘だけど今回は大丈夫な予感がするんだ!!」
と、いつに無く自信満々なのび太に二人は半信半疑ではあるがのび太を信じてみよう。そう思ったのだった。


90 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/20(水) 01:38:49 ID:2hdQOIuX0
場所は変わって夕方ののび太達が通う学校の近くの裏山の少し開けた場所に
のび太が腕でパンを食べるかの命運を決めるシルク・ド・フリークのトレーラーやらテントやらが並べられていた
その中でも一際目立つ銀色の細長いトレーラーの中で二人の男が喋っていた
「ハイバーバニアス!!なぜ日本に来たのかいい加減目的を教えてもらえないのか?」
一人目はオレンジの髪に頬に傷のある男だった。
「ラーテン・・・私達旅芸人はどんな所にでも行って商売するのが仕事だ・・・ちがうかね?」
ハイバーニアスと呼ばれた男は身長が高く目玉がいように黒い・・・・そうのび太にチケットを渡した男だ
「我が輩が聞きたい事はそんな事じゃないことぐらい知っているだろう、これにミスター・タイニーが関っている!!
つまりこの日本に来たのは仕事以外にも何か理由があるのだろう?しかも我が輩やダレンにも関係があることだ!!」
「ラーテン、君はそんな声を荒げるような人物ではないだろう?」
ラーテンと呼ばれた男は興奮気味に話していたがどうやら落ち着きを取り戻したらしい。
「すまない、ハイバーニアス、その態度の時には必ず何かあった時だけだったな・・・・。」
「ラーテン・・・。此方こそすまない。だが真実はもう少しで明かそう、そのときには私は君に頼み事をしなければならない・・・。」
「ふん・・・。友の頼みは断れぬわ・・・。」
こうして日は沈んでいく・・・・。
そして数時間後廃墟の中でショーは開催されるのだ。

91 :店長 ◆RPURSySmH2 :2006/12/20(水) 01:40:20 ID:2hdQOIuX0
調子に乗って第2話的な感じでできましたが前回より短かったですかね?
とりあえずラーテンとハイバーニアスに違和感あってしかたありませんOTL
さてダレン・シャン主人公のはずのダレンは今だ登場しませんがいつ登場になるんですかね・・・・。
自分にもよく分かりませんがもう少ししたら登場する予定です。
ついでに気分が乗ってたら違う作品のキャラも出すかもしれません
後ドラえもんの声優の水田わさびさん、武装錬金のエンゼル御前の声をやっているのを知ったときに
水田わさびさんのドラえもんも悪くないなと思ったのは私以外にもいると信じたいです

92 :店長 ◆RPURSySmH2 :2006/12/20(水) 01:42:35 ID:2hdQOIuX0
>>81
一応新連載風味です。
ダレン・シャンは興味がある時にでも見てください

>>83
ありがとうございます。
お世辞だとしても嬉しいです。
日々精進できるようがんばります

>>84
すごく・・・重いです・・・。(プレッシャーが)
でもがんばります

>>85
説明ありがとうございました

>>ふら〜りさん
喪黒福造?
言われてみれば確かに似たような感じが・・・。
特に意識した感じではなかったんですがね・・・。
とりあえずSSのドラえもんの最初は黒い気がするので
まぁ・・・ドラえもんならではの無茶なノリで何とか突破できそうな気はします

93 :WHEN THE MAN COMES AROUND:2006/12/20(水) 02:04:15 ID:keG/Vo+x0
火渡は口にくわえていた煙草の残骸をプッと床に吐き捨てた。
そしてギラつく眼でサムナーを睨みつける。まるで彼自身の能力を象徴するかのような、
怒りに燃える眼で。
「何だ? その眼は……。貴様、どうやら“上官不敬罪”で銃殺刑に処されたいようだな」
サムナーはゆっくりと立ち上がった。心持ち腕を浮かせ前傾姿勢になっている。
彼の周囲でモーター音に似た音や、ブンッと風を切る音が響いている。
その音の正体は何一つ見えないが、何らかの攻撃態勢に入っているのは確かだ。
それに呼応するかのように火渡もまた立ち上がる。
「ならテメエは“俺様不敬罪”で火あぶりの刑だな」
火渡の周囲の温度が一気に上昇していく。既に肩の付近からは炎が闘気の如く立ち昇っていた。
「あちち! あ、熱いよ火渡君!」
彼の隣に座る千歳はまともに炎に晒され、その身を炙られた。半ベソで悲鳴を上げるのも当然だ。
「いい加減にしねえか!」
千歳の泣き顔を眼にしたウィンストンが、初めて怒鳴り声を上げた。
「火渡! その闘志は北アイルランドに行くまで取っておけ。お前もだ、マシュー!
さっさと『インヴィジブルサン』を仕舞え」
立ち上がったままの二人の戦士は目線だけを彼らの長に向ける。
顔は笑っているが不思議な事に袖口や襟元、それに口の端から細い煙が洩れ出ている。
その光景を眼にした全員のうち、サムナーだけが僅かに眼の色を変えた。
「喧嘩がしてえんなら任務が完了してから好きなだけやれや。ま、そん時は俺も交ざるけどよ……」
ウィンストンは笑い顔のまま、冗談めかしてサムナーと火渡に告げる。
「フン……」
「チッ……」
両者は不承不承、席に着いた。

「続きだ、マシュー」
「……わかりました。」
ウィンストンに促され、サムナーは苦い顔をしながらブリーフケースの中を探る。
「テロリスト共の他にもう一つ教えておくべき情報がある。――コレだ」
テーブルの上にバサリとA4サイズのファイルを置いた。ファイルには“Special secret(特秘)”
と押印されている。

94 :WHEN THE MAN COMES AROUND:2006/12/20(水) 02:04:45 ID:keG/Vo+x0
「今回の件にはこのヨーロッパに存在するある組織も絡んでいる……。カトリック、法皇庁(ヴァチカン)だ」
「!?」
防人達、三人の脳裏に坂口照星が出発前に言い渡した言葉が鮮やかに蘇る。

『カトリックには、それも法皇庁(ヴァチカン)には充分に注意しなさい』

坂口戦士長の危惧していた事が現実のものとなっている。
あの時、戦士長は何と言っていたか。
ヴァチカン……。抗争……。実戦部隊……。衰退……。
防人と千歳はゴクリと喉を鳴らし、サムナーの語る内容に聞き入ろうとする。
火渡だけは顔色も変えず、鋭い眼つきでサムナーを睨んでいたが。
「そして実際に動いているのは……ヴァチカン特務局第13課“イスカリオテ”」
「イスカリオテ……?」
聞き慣れないようで、どこかで聞いた事のあるその固有名詞を、防人はオウム返しに呟く。
「そうだ。カトリックの絶滅機関、ヴァチカンの非公式特務実行部隊だ……」
サムナーはファイルを開き、それに眼を落としながら、やや声のトーンを下げつつ語りだした。
「ヴァチカンの持つ唯一にして最強の戦力。『イスカリオテ(ユダ)』の名を持つ存在しないはずの第13課。
悪魔退治(エクソシズム)、異教弾圧、異端殲滅のプロフェッショナル達。
我々、欧州方面各支部……いや、“錬金戦団”の仇敵だ」
“仇敵”という言葉に防人は反応する。
「坂口戦士長に聞きました。長年の間、戦団と抗争を続けている、と……」
「フン、どうやら少しは聞きかじっているらしいな。まあ、その通りだ」
私が話している最中は口を挟むな。我慢のならん連中め。
話の腰を折られそうになったせいか、サムナーは嫌味混じりの言葉を防人に返す。
「そして、これは私の調査でわかった事だが……」
サムナーはジュリアンを睨む。その眼は饒舌に物語っていた。
“無能な貴様ではわからなかった事だ。自分の仕事ぶりを恥じろ”と。
ジュリアンはその視線に耐え切れず、下を向いてしまう。
「今回の件に派遣された兵力は、たった一人だ」

95 :WHEN THE MAN COMES AROUND:2006/12/20(水) 02:05:23 ID:keG/Vo+x0
「なんだよ、そりゃあ。戦団を舐めてんのか?」
怒りと可笑しさが半々に入り混じり、火渡は思わず声を上げる。
サムナーは額に手を当て、顔を伏せてしまった。
何故、このクソガキ共は、黙って、人の話を、聞いていられないんだ。
サムナーは顔を上げると、始めは搾り出すように、やがて堰を切ったように怒鳴り声を上げた。
「……少しは黙っていられんのか? いきがるしか能の無い若造がッ!」
火渡も顔を斜に構え、巻き舌で怒鳴り返す。
「ああ? やんのか、コラァ!」

その時、「ドン!」という凄まじい音がサムナーや火渡らの耳を劈いた。
彼らが音のした方へ眼を遣ると、ウィンストンが拳をテーブルに叩きつけていた。
オーク材で出来た頑丈なテーブルの脚がギシリと悲鳴を上げる。
ウィンストンの表情は怒りとも驚きとも悲しみとも付かない表情に歪められていた。
眉間に皺を寄せ、口を硬く真一文字に結び、テーブルの上にある自身の拳をきつく睨んでいる。
「……」
室内にいる全員が言葉を失う中、ウィンストンはかすれ気味の声でサムナーに尋ねた。
「マシュー……。その“たった一人”ってなァ、まさかアイツか……?」
「はい……。派遣兵力は唯一人、“聖堂騎士(パラディン)”アレクサンド・アンデルセン神父です」
ウィンストンはフゥー、と大きく溜息を吐くと、防人・千歳・火渡らの顔をチラリと覗き、
また眼を伏せた。
「“あの”アンデルセン神父と戦り合うのだけは避けてェ……。何とかならねえか、マシュー」
「鋭意、努力はしてみますが……。何ともお優しい事ですな」
サムナーはウィンストンの発言の意図に気づくと、慇懃無礼に上官である彼を皮肉った。
防人の脳中は疑問に溢れていた。
この能天気かつ豪放磊落で、しかも欧州では(おそらくは)最強の戦士という座に着く大戦士長を、
こんな表情に変えてしまう“アンデルセン神父”とは何者かと。
「サ、サムナー戦士長……。そのアンデルセン神父という人物は一体……?」
自分達が口を開くだけで激怒する、この気難し屋の戦士長に向かって、防人は慎重に疑問を投げ掛けた。

96 :WHEN THE MAN COMES AROUND:2006/12/20(水) 02:06:03 ID:keG/Vo+x0
サムナーは特に機嫌を損ねることもなく、説明を再開し始めた。
「アレクサンド・アンデルセン神父。
“聖堂騎士”アンデルセン、“殺し屋”アンデルセン、“銃剣(バヨネット)”アンデルセン、
“首斬判事”アンデルセン、“天使の塵(エンジェルダスト)”アンデルセン。
出身・人種・年齢、すべてが不明。わかっているのはこの数々のアダ名の他一つだけ、
奴が化物専門の戦闘屋であるという事だけだ。奴は第13課の誇る、対“化物”の切り札だ」
「対、化物……?」
「吸血鬼(ヴァンパイア)、人狼(ウェアウルフ)、人造人間(フランケンシュタイン)、下位魔族(デーモン)、悪霊(ゴースト)、喰屍鬼(グール)……。
いわゆる“アンチ・キリスト”の化物共の事だ。その中にはホムンクルスも含まれている」
防人ら三人はポカンと口を開けている。
「きゅ、吸血鬼って……」
にわかには信じがたい話だ。まるでホラー映画やおとぎ話に出てくるような化物の名がスラスラと
サムナーの口から語られる。
だが、防人はあえて半信半疑の言葉は口にしなかった。またサムナーの機嫌を損ねて
ややこしい事になっても困る。
だから火渡、頼むから黙っていてくれ。
第一、ホムンクルスや自分達錬金の戦士の存在だって、一般人から見れば充分オカルトだ。
サムナーの説明は続く。
「奴が狩り獲った化物は数知れん。それに、化物だけではない。カトリックが異教・異端と判断した者もだ。
イスラム教徒、ヴァチカンを脅かすテロリスト、新興宗教団体、悪魔崇拝者、それに……錬金術師」
「錬金術師……? まさか……」
嫌な予感がする。それはありうべからざる事だ。そんな筈が無い。
「そのまさかだ。過去、数名の錬金の戦士達がこの“神父”に殺されている」
「そんな……! 核鉄を持たない普通の人間が、錬金の戦士を!?」
現代科学を遥かに凌ぐ超常の兵器を持つ戦士が、ただの人間に? ただの神父に?
防人はまるで今まで自分が生きてきた世界が崩壊するかのようなショックを受けた。
控えめに見ても致命的に大きなヒビくらいは充分に入ったショックだ。
「奴の戦闘能力は人間どころか化物すらも凌駕している。化物を超えた化物といったところか……。
それに――」
サムナーは急に口元に手を当て、言葉を濁してしまった。

97 :WHEN THE MAN COMES AROUND:2006/12/20(水) 02:10:29 ID:keG/Vo+x0
防人らが訝しげな眼を向ける。ウィンストンも。
「いや、なんでもない……。奴と対峙した者は必ず殺されている。それだけに詳細な資料も
作成する事が出来んのだ」
「ヘッ、面白え! ならこの俺がそのクソ神父をブチ殺してやるぜ! 俺の五千百度の炎に
焼き尽くせねえものは無えんだ。殺られた錬金の戦士達の仇は俺が取る……!」
ウズウズと身体を震わせていた火渡が堪えきれずに猛る思いを吐き出す。
やはりこの男に“強敵”という言葉を聞かせても、それは戦いへの燃料以外にはなりえないのだろう。
しかし、息巻く火渡を嘲笑うかのようにサムナーは呟く。室内にいる全員の耳に飛び込む程の音量で。
「若さ故の勇敢さを褒むべきか、無知故の愚かさを嘆くべきか……」
「んだとォ!?」
またもや立ち上がりかける火渡の肩を、防人が掴み必死に制止する。
おかげで間に挟まれた千歳は「ひええ」と前のめりになってしまう。まったく涙が乾く暇も無い。
「いい加減にしろ、火渡! 俺達はチームだ。確かにお前の力が凄い事は認める。
けど、俺達全員が足並みを揃えずチームがバラバラなってしまったら、勝てるものも勝てなくなるんだぞ!
俺はもう、“あの時”みたいな失敗は繰り返したくない……」
火渡の心に“あの時”の光景がフラッシュバックのように浮かんでは消える。
土砂に埋もれた小学校。千歳の涙。瓦礫をかきわける防人。そして、雨に吼える自分。
「クソッ……」
火渡は憮然として座り込んだ。
サムナーはニヤニヤと笑っている。彼にとっては防人らの心情など“夜中の三時のクソ”と
いったところなのだろう。
「ほう、日本の錬金の戦士にもまともなのがいるじゃないか。だが、防人君――」
「俺の名はキャプテン・ブラボーです。資料にもそう書いてあった筈ですが」
毅然と言い放つ防人に、サムナーは軽い苛立ちを覚える。
一体にこの男は自分の話を邪魔される事が何よりも嫌いなのだ。
「そんなものはどっちでもいい! ――いいか、君は二つ程間違っている。
一つは、君は『俺達はチームだ』と言ったが、私をそこから外してもらおうか。
本来、この任務は私一人のものだったのだ。君達は私の命令通りに動いていればそれでいい。
それともう一つは、君達がどんなチームワークを発揮しようが『勝てないものは勝てない』。
“あの時”がどの時かは知らんが、失敗とやらを繰り返すのが関の山だ」

98 :WHEN THE MAN COMES AROUND:2006/12/20(水) 02:12:46 ID:keG/Vo+x0
自分達の心の傷を土足で踏み躙る発言に、防人でさえも抑えの利かない怒りが込み上げてきた。
火渡は既に炎で髪が逆立ち、犬歯を見せながらギリギリと歯軋りしている。
千歳すらも下唇を噛み、涙を滂沱してサムナーを睨んでいる。
防人は砕けんばかりに強く奥歯を噛み締め、何とか意味を成す言葉を発した。
「それは、どういう意味、ですか……」
サムナーはソファにもたれ掛かり、優雅に脚を組んで答えた。
「小汚い島国からノコノコやって来た御上りさんご一行にあの神父が倒せるようなら、
欧州方面各支部の誰かがとっくの昔に倒しているという事だ。
アンデルセン神父はこの私が殺す……! わかったか、ジャップ!」
「この……!」
火渡は勢いよく立ち上がり、サムナーに飛び掛かろうとした。
千歳は止めようとしない。ウィンストンも動かない。
が、防人は素早く立ち上がり、腕を伸ばして火渡を制した。
腕の中で暴れる火渡を、防人は渾身の力を込めて押し止める。
何故、止めたのか自分でもわからない。出来る事なら自分も一緒に飛び掛かりたいくらいだ。
しかし、ふと頭の片隅に、瓦礫の下から救い出したあの少女の顔が思い浮かんだのだ。
ただ、それだけだった。それだけが自分を止め、火渡を止めさせた。
大戦士長執務室は粘度の高い液体で満たされたかのように、重苦しい雰囲気に包まれていた。



――北アイルランド アーマー州 アイルランド共和国との国境付近

北アイルランドとアイルランド共和国を繋ぐさほど大きくもない道路の脇に、一人の神父が立っていた。
南の方角を見つめながら、薄笑いを浮かべている。
おそらく彼の眼には遥か遠くに望む英国が映っているのだろう。
やがて、立ち尽くす神父の懐で携帯電話が単調な呼び出し音を鳴らし始めた。

99 :WHEN THE MAN COMES AROUND:2006/12/20(水) 02:13:52 ID:keG/Vo+x0
「私だ」
『アンデルセン神父、第2課“ヨハネ”機関員及び第13課“イスカリオテ”武装神父隊の
配置が完了しました。これで国境を通過するすべての道路は我々の監視下です』
「ご苦労。渡しておいた写真のエージェントが現れたら追跡を開始し、すぐに私に知らせろ」
『了解』
「それと……そのエージェントには錬金の戦士が同行している。いや、錬金の戦士にエージェントが
同行していると言うべきか……。ともかく奴らを発見しても絶対に手を出すな。
私が到着するまでは追跡・監視に止めておけ」
『了解』
「奴らを殺すのはこの私だ。奴らを殺せるのはこの私だけだ……」
『は、はい……』

通話の終わった携帯電話を懐に仕舞うと、“神父”アレクサンド・アンデルセンは
その厚く大きな掌で顔を覆った。
指の間からは至上の喜びに細められた眼が覗く。
もうすぐなのだろう。もうすぐだ。あと少しだ。ああ、だが……

“我慢が出来ない”

「さァ……。早く、早く来るんだ、錬金戦団。早く、今すぐに。貴様ら異端者に背信者共々、
我が神罰の味をとくと噛み締めさせてやる。ククククク……」





お久し振りです。いろいろありまして間が空いてしまいました。
今回も錬金サイドは会議でした。会議、嫌い。
次回、北アイルランドへ出撃の巻。
やっと、やっと神父に“あのセリフ”を言わせる瞬間が近づいてきた……。

100 :さい ◆Tt.7EwEi.. :2006/12/20(水) 02:15:06 ID:keG/Vo+x0
前スレ401さん
やはり狂った事をツラッと普通に言ってこその神父ですな。
番外編は私も味を占めちゃったんで色々書いて見たいとは思います。

前スレ402さん
>幕間劇の何気ない偶然が後に・・
ものすごい後になると思います。七年後とか。

前スレ403さん
いやいや私の短編は“短いだけ”ですんで。
この神父はどこまで普通にしていいのか悩みました。

ふら〜りさん
原作では戦ってばかり、狂ってばかりの神父なので勝手に日常の姿を想像して、こんな感じに
仕上げちゃいました。そして外伝は後付けしてナンボというマジテキトーな私w

ハシさん
神父ファンのハシさんに喜んで頂けて光栄の極みです!
今後も神父をカッコ良く書けるよう努力しますね。
あと私の方も眼鏡っ子リップヴァーンの活躍を楽しみにしてますよ。
やはりHELLSINGキャラが出演する作品は読んでて嬉し楽しい!

>スターダストさん
どうもお世話になっておりますw
アクセス規制、嫌ですよね。私も巻き込まれてたとこです。
>永遠の扉
来ましたね、ある種スターダストさんの真骨頂とも言える爆爵篇。
司馬遼太郎ライクな文体で語られる爆爵の過去ですが、本当によく出来てますよ。
彼の思考や志をここまで精密に描き切ると同時に、キチンと史実の日本が背景にある辺りは
真似出来ませんわ。少なくとも私は無理ですw

101 :作者の都合により名無しです:2006/12/20(水) 07:57:25 ID:etjb4ew10
さいさんお疲れ様です!(新人賞おめ)
アンデルセン神父の恐れられっぷりが最高だ
こんなの敵に回したらやってられませんね。味方でもいやだけど。
火渡と神父との化学反応が今から楽しみ。

102 :作者の都合により名無しです:2006/12/20(水) 13:43:15 ID:520R2UOz0
>店長氏
サーカスというとからくりの真夜中のサーカスを思い出す
まだ序盤だけど、いよいよ何かが動き出そうとしているね
今回は短かったけど、次回は物語の本当のスタートになりそうだ

>さい氏
やはりアンデルセンは名高いのか。悪名だと思うけど・・
キレキャラが全員見事にキレてますね。一番キレるのは神父だろうけどw
あと、新人賞おめでとう。日曜は仕事の都合で投票できなかったけど
やはり俺もあなたに投票してたと思う。

103 :作者の都合により名無しです:2006/12/20(水) 14:22:52 ID:97Wot44k0
遂に日本の文化遺産を破壊し始めた韓国人
日本人の尊厳を傷つける行為は決して許されない
マスゴミはスルーする可能性があるのでしっかり目に焼き付けて置くように

【社会】 「神社を潰す」 宮司を強迫し、神社乗っ取り。韓国人3人が新役員になり鳥居も撤去→神社本庁が刑事告発…京都★13
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1166587409/

104 :作者の都合により名無しです:2006/12/20(水) 18:13:32 ID:42h9Rqnn0
店長さんも結構うまいね
日常から、異世界への少しずつの移行が上手くいきそうだ。

さいさんはもうすっかりバキスレの大黒柱の一人ですな
ちょっとイッテるキャラの活用がうまい。
さすがご自分のサイトで鍛えているだけありますな

105 :作者の都合により名無しです:2006/12/21(木) 08:14:43 ID:2KdQmQdj0
年末だから少しペースが落ちてるか。
バレさんがマジで心配。お元気ならいいが

106 :作者の都合により名無しです:2006/12/21(木) 12:11:02 ID:58JSiaVR0
店長さん最初うみにんさんかと思った

107 :作者の都合により名無しです:2006/12/21(木) 15:36:12 ID:eL8e21pJ0
うみにんさんのサイトは酷い事になってるな・・
VSさんのもだが。

さいさんのサイトは、違う意味でひどいわw
いや面白いけど、手コキだのなんだのw

108 :作者の都合により名無しです:2006/12/21(木) 22:28:53 ID:T37CtbVx0
バレさんは本当にご病気とかじゃないだろうか
黙って長期更新停止するような方ではないし
海外出張中とかならいいんだが、心配。

109 :ふら〜り:2006/12/21(木) 23:04:47 ID:2R8xgfIo0
>>さいさん
いい具合にアヤしさが漂ってきました。今はまだ、誰が敵で誰が味方かすらもはっきり
しないので先を予想するのも楽しみ。のび太は意図的に狙われたみたいだけどそれは
なぜか。そもそも狙われたのか見込まれたのか、そういや友達もとか言ってたし。さて?

>>店長さん
あ〜あ〜。相手が「あの」神父だってのに、仲間割れしてる場合じゃないでしょがと。強い
敵組織の幹部たちの内紛のおかげで、ヒーローが辛うじて勝つのもパターンで……って、
また神父に主人公属性がっ。ゴルゴ風に名前が轟いてる彼、ほんと本作のメインですね。

110 :作者の都合により名無しです:2006/12/21(木) 23:16:12 ID:XS9WA9UN0
逆ー逆ー

111 :ふら〜り:2006/12/22(金) 06:24:40 ID:E2IReWex0
>>110
ぅわ確かに! 失礼しました店長さん&さいさんっっっっ!
あと、ご指摘ありがとうございました>>110さん。何やってんだ私……

112 :作者の都合により名無しです:2006/12/22(金) 08:14:10 ID:IQnuSrLQ0
感想職人らしくないミスですなw
2週間前の神ラッシュが嘘のようだ
年末だから仕方ないか

サナダムシさん、また新作書いてくれないかな

113 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/23(土) 06:24:17 ID:ZKjbDPd60
近所で『お化け屋敷』または『吸血鬼の館』更には一部の少年の間で『雷帝、神成さんゾンビバージョンが百体が竹刀振り回して襲ってくる館』
などと色々な根も葉もない馬鹿らしい異名で恐れられている町外れの潰れて今は廃墟と化した劇場
立地条件が悪く人の往来が少なく更に縁起の悪いところだったらしくすぐ潰れた場所であった
それがシルク・ド・フリークの今回のショーの舞台だ。

ここで話は離れるが実はシルク・ド・フリークは違法の団体である。
のび太達一行は普通のサーカス団と勘違いしているが実際は『フリークショー』なのだ。
『昔、欲張りな詐欺師が異形の人達・・つまり見た目が普通と違い手が三本あったり鼻が二つあったり、背が物凄く高かったり低かったり
そういう人達を詐欺師は見世物にして、フリークと呼び見た目以外は人と変わらないものを客を呼んで見物料を取り
笑いの種にして変人呼ばわりして獣のように扱いただ同然で働かせて殴りつけボロボロの吹くばかり着せて風呂にも入れない。
フリークショーは残酷でぞっとする見世物でまともなサーカスのフリをする悪者だらけの汚いところである。』
                               ダレン・シャン、奇怪なサーカス ドノバン先生談(一部編集アリ)
フリークショーに関する一般人の認識はこんな感じであろうか。
しかしシルク・ド・フリークが上記の様な集団なのかはこれから呼んでいけばわかるだろう。
という訳で話は逸れたが元に戻します


114 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/23(土) 06:26:43 ID:ZKjbDPd60
開演は夜の11時から、のび太達が空き地に集合して映画館の廃墟に到着したのはその十分程前だ
「作者め・・・。いきなり手抜きしてやがる・・・。小説の文章をほとんどそのまま書き写しやがった・・・。」
「まぁ仕方ないね・・・。作者馬鹿だもん・・・。」
と本当に呆れていたドラえもんとのび太にスネ夫が話しかけた。
「のび太・・・。こんな所に本当にショーなんてやっているのか・・・?」
「なんだ、なさけねぇなスネ夫は、こんなのが怖いのかよ。」
色々と恐れられている所だ。内心は不安がありながらも外見は見せず不安そうなスネ夫に渇を入れるジャイアン
「う・・・うん、チラシにもそう書いてあるし・・・。」
不安そうにチラシを見るのび太
その時救世主が現れた。
「やぁ、来てくれたようだね・・・。」
背の高く赤いシルクハットを頭にかぶり手袋をしている目玉が常人より黒い男、そう、のび太にチケットを渡した張本人が現れた。
「あ、はい!!友達も連れてきました。」
男はのび太達の顔をジロジロと見ると
「私はミスター・トール。シルク・ド・フリークのオーナーだ」
ミスター・トールの自己紹介に自分達も自己紹介をしようとする一同の声をミスター・トールは遮った
「ふむ・・・実は子供はお断りなのだが君達は勇気がありそうだ。よし、許可しよう」
その後もミスター・トールと名乗る男は物事を強引に進めていた。
のび太達に話す機会など与えない
「ではチケットを拝見」
「あの〜・・・。」
「早くしないとショーが始まる。それとも見なくていいのかね?」
そう言いながら手を伸ばすので仕方なくドラえもん達一行はチケットを渡すと
五枚同時に口の中に放り込み粉々に噛み千切ってゴクリと飲み込んでしまった。


115 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/23(土) 06:27:27 ID:ZKjbDPd60
それを見て唖然としているドラえもん達にミスター・トールは
「もうそろそろショーの時間だ。早く行った方がいい・・・。後、中は満員だから静かにしたまえ・・・。」
そう言うと映画館の廃墟の中へ消えていった。
「少し変だけど・・・・怖そうな人だったわ・・・。」
「とりあえず中へ入ろう!!」
躊躇気味のしずかを元気付けるような形でのび太は真っ先に映画館の廃墟の中に入った。
「のび太君成長したね〜・・・。このこの!!」
ニヤニヤしながらのび太の隣を歩くドラえもん。
そしてそれに続くように残りの三人も中に入るのだった。
廃墟の中は薄暗くて座席には人が座っていて満席状態だった。
勿論子供などのび太達しかいないので気づいた観客達は少々珍しい目で見ていた
そしてそんな視線を気にする事無く
「わぁ〜・・・。」
「人が沢山いるわね〜・・・。」
と驚く五人だったが「静かにしたほうがいい」と言うミスター・トールの言葉を思い出すとそのまま奇跡的に空いていた前の方の席に座った。
その並び順は右からドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫といった感じである。
そして電気系統をいじったのだろうか、本来は廃墟で電気など付くはずも無いの舞台の上を照らした。
そこに居たのは人間と狼を組み合わせたような、簡単に言えば狼人間だった。
興奮した狼人間は暴れ襲われるんじゃないかと思った観客は悲鳴を観客達は上げるがそれは心配なかった
なぜなら檻の中に入っていたからだ。そして檻の中の狼男が暴れまくり落ち着いた頃にミスター・トールが現れた。
「日本のみなさん初めまして。」
低くしわがれた声なのにきちんと聞き取れる

116 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/23(土) 06:28:05 ID:ZKjbDPd60
「世界一珍しい人間の巣窟、シルク・ドフリークへようこそ。わたくしどもは、歴史あるサーカスです。
かれこれ五百年巡業し、異常の人々を代々お見せしてまいりました。
顔ぶれはめまぐるしく変わりますがサーカスの目的は一度として変わりません。
そう、みなさんを驚かせ、怖がらせることなのです!身の毛もよだつ奇怪なものばかり、
たっぷりお見せいたしましょう。世界広しと言えどここでしか見られないものばかりです。」
ここでミスター・トールは釘をさした
「気の弱いお客様は、どうか今すぐお引取り願います。皆さんの中にはきっと、おふざけだろうと高をくくっていらした方が多いでしょう
フリークといっても仮面をかぶった人間か害の無い変人の類だろうと。」
ここでミスター・トールは強調させるように音量を上げた
「いいですか。それはちがいます!!今晩お見せするフリークはすべて正真正銘の本物です。
全員この世に二人と居ないフリークばかり。人畜無害なフリークなど一人も居ないのです。」
そう言えばお辞儀をしてショーは開演となった。
ドラえもん一行は混乱していた
「どういうことだ、のび太?これはサーカスじゃなかったのかよ!!」
怒り気味で話すジャイアンを
「まぁまぁとりあえず見てみようよ」
とドラえもんはなだめていた。
そしてショーでは檻の中に入れられた狼人間、ミスター・トールの紹介ではウルフンマンというらしい。
それは檻の中で暴れて興奮していたがミスター・トールがなにか動作をするとウルフマンは急に大人しくなった。
ミスタートールの話だと催眠を掛けた状態らしく今から檻から出して客の目の前を歩かせると言う、
度胸のある人はあくまでやさしくなら触ってもいいがしかし大きな音を出せば催眠は溶けて
暴れだすそうなので絶対に喋るな。そう釘を打つとミスター・トールは檻からウルフマンを放し、
舞台の脇から現れた青いローブに身を包んだ小柄でのび太達と身長は変わらないが筋肉隆々な助手達がウルフマンをつれて通路を歩いていった
そして何事も無く事は進んでいたその時だった。

117 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/23(土) 06:29:08 ID:ZKjbDPd60
バーン!!

何か分からないが大きな音がした。
そして催眠が溶けたのか暴れだし大音量で叫ぶウルフマン、
それを見て混乱し悲鳴を上げる観客に興奮したのか青いローブの助手達の抑えを振り切りドラえもん達一向に襲い掛かったのだ。
もちろん逃げるドラえもん達、しかし、しずかは逃げ遅れウルフマンが襲おうとしたその時
しずかを守ろうと震えながら両手を広げウルフマンの眼前に立つのび太
その目はいつものノロマな駄目人間で無く本当に強い意志を宿し確かな覚悟があった。
その眼差しにウルフマンが一瞬怯んだ、その瞬間爆音と共にウルフマンは吹き飛ばされ壁に激突し意識を失った。
のび太としずかが後ろを向くとそこにはまだ白煙上がる空気砲を腕につけたドラえもんだった。
それを見た観客達は一時混乱していたが、それは歓声に変わっていく。
「よくやった!!」「すごい!!」「かっこいい!!」
そんな声が聞こえる中ドラえもん達は腰が抜けてヘロヘロなのび太に近寄った。
「のび太君だいじょうぶかい?」
「なんとか・・・・。」
苦笑しながら言うのび太を見て安心する一同
その時拍手の音が聞こえ一同の視線はそこに集まった。
「お見事、お見事。まさかウルフマンの眼前に立つどころか撃退するとは・・・いやはや大した方達でだな。」
そう言いながら手を叩くミスター・トールに少々怒りが芽生える一同だったが文句を言う前に
ミスター・トールの大音量の声に阻まれたのだ。
「皆さん!!これでこのショーがいかに危険かお分かりいただけでしょう!!繰り返しますがこのショーは危険なのです。
約束を守れず命を捨てたくない者は立ち去ってください!!」
その迫力に歓声に包まれた映画館の廃墟は静寂に包まれた。

118 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/23(土) 07:25:23 ID:wY3Xq0hx0
「ふむ・・・結構。では次の演目へと移りましょう。皆様お楽しみください」
反応に満足そうにそう言いながらお辞儀するとのび太達の方を向いて
「迷惑掛けてすまなかった・・・。あとでお詫びの品を渡そう。」
それだけ言えばいつの間にか舞台の上に上がっていた。
その後はなんとも不思議で楽しいショーだった。
鋏でも切れない不思議なひげを自由に伸ばせる不思議な美女、トラスカ
胃が二つあるといい見てるだけでも吐き気がするような量の食べ物の山を五分足らずで完食してしまう世界一の太っちょラムス・ツーべリーズ
両手だけで百メートル八秒で走り終えるハンス・ハンズ
電動ノコギリでさえ壊せない歯を持つ女ガーサ・ティース
足だろうが指だろうがどこを切っても再生するコーマック・リムズ
とここまで順調に進んでいたとき舞台の上にまたミスター・トールが現れたのだ。
そして彼の説明によれば次の演目はかなりユニークだが危険なものらしく許可するまで静かにとの事だ
ウルフマンのことを教訓にしているので観客は全員黙っている。
現れたのオレンジ色の髪をした男だった。
彼は「ラーテン・クレスプリー」と名乗り
そしてその助手だろう海賊の姿をした少年が籠の中に入った蜘蛛を持ってきた
名前はマダム・オクタと言うらしい。
この蜘蛛は山羊をも一撃で仕留めるという猛毒を持っており今から笛(縦笛だったがクレスプリーはフルートらしい)
でその蜘蛛を操り様々なことをさせるらしい。
しかしこれはかなり集中力が居る為周りがうるさいと蜘蛛は勝手に動き回り無差別に人を襲うことになりかねないらしい。
それを聞いて観衆も緊張しながら芸を見ていた。
結果から言えば大成功だった。
マダム・オクタは器用に用意されたボールや棒などででサッカーをしてみたり用意されたティーセットや更に盛り付けられた大量の蝿を
人間がティータイムと同じように二本の脚のみを使って蝿をフォークとナイフで食べカップにいれてある何かを飲んだりしていた。
更には地面からクレスプリーにマダム・オクタは登り途中助手の海賊の格好をした少年に笛の役目を任せ口の中に巣をかけさせてりなど
ドラえもん達も口をあんぐり空けて驚く芸だった。
ちなみにこれが終わったあとミスター・トールがショーの終わりを告げて観客が帰ろうとしたときに
大きな蛇が出口から進入して恐怖させたがそこに蛇少年(体に蛇のような特徴がある少年)がやってきてその蛇を
捕まえた後その蛇と芸をしてその後
「本当にお開きです」
と言うミスター・トールの言葉で本当にショーは終わった。

119 :ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア:2006/12/23(土) 07:26:53 ID:wY3Xq0hx0
ちなみにミスター・トールの言うお詫びの品は演目の間の休憩時間に無口な小柄の青いローブを着た助手達から渡された
蜘蛛の糸の形をした綿菓子やらどこを斬っても再生するゴム人形(数ヶ月で腐るらしいが)等それなりに魅力的な品ばかりだった。
それに満足したドラえもん達はウルフマンに襲われた恐怖やミスター・トールに対する不満など忘れ
「すごかったね〜」
「ウルフマンのときは死ぬかと思った・・・・。」
「のび太の癖にかっこつけるからだ!!」
「あの蜘蛛を操る人・・・ずっと私を見てた気がする」
「確かにケダム並に面白かった」
などとショーの感想を熱く語りながら家路へと向かうのであった・・・。

その数十分後
「さてハイバーニアス、真実を教えてもらおうか・・・。」
銀色の細長いトレーラーの中で蜘蛛の演目をしたラーテン・クレプスリーとミスター・トール、本名ハイバーニアス・トールは話していた。
そして二人は気づいてないがそれを闇にまぎれて聞いている影があった。
「ああ・・・。しかし私には君にどうしても頼まなければならない事がある。それを先に聞いてくれるか?」
「ふん・・・。一体なんだというんだ・・・。」
「---------をダレンとラーテン・・・君達で殺して貰いたい・・・。それが頼みであり今回日本に来た目的の一つだ・・・。」
それを聞いた影は誰を殺させるかは聞こえなかった物のそのまま気配を消してトレーラーから離れていった・・・。

120 :店長 ◆RPURSySmH2 :2006/12/23(土) 07:28:17 ID:wY3Xq0hx0
え〜クリスマスの予定?そんなものありません。やけくそでSS書いてます。店長です・・・。
というか書くスピード上げすぎな気がします。
これも昨日に仕上げたのですが規制の為書き込めず暇の為現在次の半分くらい書き終わってます
自分基本怠け者なので終盤あたりバテル予感しまくりです
今回は多分文字数今までに比べて多め、そしてその分グダグダ感も増量してしまいました
しかもフリークショーの説明やらミスター・トールの口上もパクリが多すぎました
さて本編ですが文章力の無さからグダグダなショーが終わって次からは本格的に事件が起こり始める予定。
更によく見てみれば前のSSハイバーニアスをハイバーバニアスと間違えて書いてしまった所がありました・・・。
申し訳ありません・・・・。OTL
今回のウルフマンの所、ミスター・トールをダレン・シャンの著者ダレン・シャン氏が演じる寸劇
があるので興味のある方はどうぞ、原作とこのSSでは色々と違うので参考に見てみるのも面白いと思います。
という訳でアドレス載せときます→ttp://www.shogakukan.co.jp/darren/news/news23_03.html


121 :店長 ◆RPURSySmH2 :2006/12/23(土) 07:29:30 ID:wY3Xq0hx0
>>さいさん
アンデルセン神父がいい感じに狂ってる感じがします。
ここまで見事に狂っていると誰も彼に文句など言えないんでしょうね。
というか火渡に神父の攻撃が効くのか気になって仕方ありません。
とにかく続き楽しみにしています

>>102
サーカスでは無くフリークショーでしたが・・・。
まぁシルク・ド・フリークの場合はサーカスと言ってもいいかもしれません
からくりは未読なので最近読み始めました
しかしまだ真夜中のサーカスまで買ってないので困惑気味
そんで持って本編はとりあえずこんな感じです。
物語は一応始動した感じにはなりましたかね?

>>104
ありがとうございます!!
しかしその分いろんな部分がグダグダになりそうな予感があって仕方ありません

>>106
うみにんさんのSS印象に残ってたんで影響されちゃたんですかね?

>>ふら〜りさん
感想の名前が逆なのにびびりつつ展開的には異世界とかそう言うのでは無くのび太の町を舞台にする予定です
先の予想は案外皆さんが考えてる通りになるかもしれません。
というか小説読むかダレン・シャンの漫画がそれなりに進んだところまで行っていれば確実にこのSSの展開が見えそうな気がしますOTL

122 :作者の都合により名無しです:2006/12/23(土) 08:17:12 ID:F9s5Zfl80
店長さん、朝早くから乙です。
物語が一気に加速しましたな。
ダレン・ジャンは知らないんで、かえってこれからの展開が楽しみです。

123 :作者の都合により名無しです:2006/12/23(土) 11:45:40 ID:lrlwphq+0
店長氏頑張ってるな
ダレンジャンの世界とドラえもんの世界は重なり辛いと思うけど
頑張って下され

あまり、ダレンジャン詳しくないので
キャラ解説か何かしてくれると幸いです

124 :作者の都合により名無しです:2006/12/23(土) 16:51:24 ID:WOCMLonY0
ダレン・ジャンってワールドワイドなファンタジーらしいね
初めて知った

125 :作者の都合により名無しです:2006/12/24(日) 09:39:28 ID:NPX9+KX80
ダレン・ジャンってアメリカ版オタクかw
サイトまで見に行ってちょっとわらたw

ウルフマンというと、アニメのキンニクマンのキャラをどうしても思い出すw

126 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/24(日) 20:11:05 ID:rYLyBv+u0
第九十六話「待ち人」

最後の戦いから、早くも丸一日が過ぎていた。
のび太はただ一人、小さな公園でブランコに揺られていた。
待ち人は、まだ来ない―――そもそも、どこで会おうだの、そういった約束はしていない。
けれど、彼はこう言うだろう。
<俺たちが出会うべき運命ならば、何をどうしたところで必ず出会う>
いいだろう。だったらもう少し待ってやろうじゃないか。彼との最後の対峙を迎えるには今この時をおいて、他にない。
もしもこのまま置いてきぼりを食らうようなら、そもそもそれだけの因縁しかなかった―――そういうことだ。
だから、のび太はその時を待っていた。
待っている間、考えていた。
今回の事件のことや、今までの事件のことやら。
あれこれと考えることが意外と多くて、退屈はせずにすんだ。
―――そして。
足音が聞こえてきた。思考を中断して、視線を上げる。
狐面の男―――否、狐面はもう被っていなかった。以前彼が言った通りに。
「じゃあ始めようか、俺の敵。このろくでもねえ物語の、後始末だ」


127 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/24(日) 20:11:36 ID:rYLyBv+u0
第九十七話「THE FOX AND THE GRAPES」

さっさと終わらせちまおう。西東はそう言った。
「これが小説ならば、もう読者が見たい部分は全部終わっちまったんだ。こんな場面、本来ならば書く必要などは
ない。後から<こうこうこんなことがあった>とでも注釈を入れればすむような場面なんだ。だから―――
さっさと終わらせちまおう」
そして西東は懐から、一丁の拳銃を取り出し、のび太に持たせた。
ずしりと重い―――人殺しのための鉄塊だ。
「人払いはしてある。しばらくは誰の邪魔も入らねえから心配するな。何も考えず、俺の脳天に向けて撃つ。それで
仕舞だ―――そうそう、一つだけ言わなきゃいけないことが残ってた。今回の勝負の結果についてだ」
「何か、文句でもあるの?」
「いや、文句は無い。お前が勝って俺が負けた。それには文句の付けようもないさ。だが、もしかしたらお前らはそれに
ついて、運命を切り開いた、運命に打ち勝った―――などと、傲岸不遜なことを考えてるんじゃないかと心配でな」
西東は一拍置いて続けた。
「俺達は運命に流していただいている身―――それに逆らうことは赦されない。お前らは運命を切り開いたわけではない。
―――ただ、運命がお前たちを勝たせてくださっただけだ。忘れるな。全ては運命だ。この結果は最初から決まっていた。
運命は最初からお前たちを選んでくださっていた。それだけだ」
「・・・・・・」
詭弁ですらない。言い訳にすらなっていない。
運命が全てを決めているから、どんな結果も運命を切り開いたことにはならない。
ただ、運命がそう決めたからそうなった。
それで全てを片付ける。それで全てを無為となす。
詭弁、言い訳、曳かれ者の小唄。なんと言ってもいいけれど―――それじゃあまるで、狐と葡萄の例え話だ。
あまりにも・・・あんまりすぎる。

128 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/24(日) 20:12:14 ID:rYLyBv+u0
「西東、さん・・・」
のび太は言った。
「ぼくらが戦ってきた相手にとって、ぼくらって実は、全然眼中になかったんじゃないかと思うんだ」
「<全然眼中になかった>ふん。と、いうと?」
「まあ、そいつらはそいつらで別に目的があって・・・それさえ果たせるなら、別にぼくたちなんてどうでもよかった。
別にぼくたちがどうしようと、どうでもよかった。そんな奴らばかりだった。けど・・・あなたは違った」
そう、あなたは。
「あなたはぼくらを。ぼくらそのものを目的にした。最終的には世界の終わりを見ることがあなたの目標だったんだろう
けど―――それでも、ぼくたちを見ていた。敵としてだったけど―――見てくれた」
それは、怖いくらいに―――
「ぼく、人に褒められることなんて、あんまりないからさ。だから・・・あなたのことは怖いし、色々酷いこともされた
から、大嫌いだけど・・・それでも、嬉しかった。あそこまで褒めてくれて・・・認めてくれたから」
心の底から、それだけは嬉しかった。
「だから・・・だから、ぼくは。あなたがもう、世界の終わりなんて目指さないって・・・そう約束してくれるなら・・・」

「ぼくはあなたを殺す・・・そんなのはなかったことにして―――あなたとだって、友達になれると思うんだ」

「・・・くっくっく」
西東は、いつものように、犯しそうに笑った。
「やめてくれ。俺には友達はいらない。もう、いらない。俺の友達と言えるのは、二人だけだ。そいつらももう、死んだ。
だからもう―――いらねえよ、そんなもん」
それに、だ。西東は続けた。
「それに俺は、世界の終わりを見ることを諦めることはできん。シュウもまた、世界の終わりの答えではなかった。
ならば、どこかに―――どこかに、あるはずだ。世界の終わり。その解答は。俺はそれを、どうしても見たい」
「・・・・・・」
「俺はそのために、あらゆるものを捨てちまった。二人の親友も、娘も、何もかも、大事なものもそうでないものも、
全て等しく切り捨てた―――いまさら、自分の命程度を惜しめるものか」

129 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/12/24(日) 20:12:45 ID:rYLyBv+u0
だから―――
「俺をここで殺さなければ、俺は再び十三階段を集め、世界の終わりを目指すだけだ。お前はそんな俺の遊びに、一生
付き合うつもりかよ?」
「それは・・・嫌だなあ、ちょっと」
のび太は苦笑した。
「だろうな。ならば、ここで」
俺との因果は、閉じておけ。
それだけ言って、西東は黙りこくった。もう何も言わない。
のび太は拳銃を、西東に向けた。外さない。のび太の腕があれば。のび太に腕がなかったところで、この距離ならば―――
外れることはありえない。
「・・・ああ、そうだ。言い忘れた」
西東は、突然口を開いた。
「これで俺とお前の勝負は幕を閉じるわけだが・・・お前の戦いはこれで終わりではない。むしろ、これからが本番だぜ」
西東は、笑った。犯しそうに笑った。
「世界はお前を放っておかない。直に第二・第三の俺が現れる。今回の一件などほんの前哨戦と思えるほどの無数の怪物
たちが、お前の行く手に待っている。幾多の不幸と幾多の不運が、あまねく異形が全ての異能が、お前に牙を剥くだろう。
全ての伏線を消化したなどと思うな。全ての世界を知ったなどと思うな。お前の知ったことなど、ほんの僅かだ。
それだけは、肝に銘じておけよ」
くっくっく。狐は笑った。
「それで―――お前は何処へ行く?世界はお前のような奴を放っておいてはくれない。これから先に待ち受ける数多の困難
を前に、何処へ?なあ―――答えろよ、俺の敵・・・野比のび太」
西東は言う。狐は言う。最悪は言う―――
「俺の屍を越えて、お前はこれから、どこへ行くんだ?」
のび太は答えた。
「ぼくはもう、どこにも行く気はないよ。当分冒険は真っ平だ」
そして、引鉄を―――誰にも恥じることのない、自らの意志で、引いた。
「ひとまず家に、帰るとするよ。それからのことは・・・それから考える」
銃声が響いた。
かくして、最悪の狐―――西東天との戦闘はこの時点で、完全に終結したのだった。

130 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2006/12/24(日) 20:24:07 ID:TNmnq7UP0
投下完了。前回は>>16より。
今回二話に別れてるのは、100話でフィニッシュにするためです。
来年の1月、遅くとも2月には次回作に移れると思います。
次回作ではのび太が落ちながら戦ったり、陰陽弾を食らわせたりします。
そしてデモベファンお待ちかね、あの愛すべき漢もついにバキスレに進出させます。一部の方はお楽しみに。

>>18 そんな永いSSももうすぐ終了・・・

>>19 もう数回がまた大変です。

>>20 名シーンまでいただいて、嬉しい限り。

>>22 趣味に走りまくった話ですので、まあ、期待せずに(笑)

>>前スレ340氏
中々渋いチョイス。で、次回作は大当たり。新桃です。
続編が出ないなら自分で書きます。
二行で分かるラストバトル・・・やべえ、まんまだ。

>>ふら〜りさん
これは自分でもかなりお気に入りのシーンになりました。これをさらに越えるシーンを書くのが目標になったほど。

131 :作者の都合により名無しです:2006/12/24(日) 22:04:56 ID:wog/Udyh0
クリスマスの夜にサマサさん乙w
いよいよカウントダウンか・・
新作はうれしいけど、前作からのシャッフル軍団とか好きだったから寂しいな・・

132 :作者の都合により名無しです:2006/12/25(月) 09:46:24 ID:lc+q3zMS0
あと3話か。西東の告白により、戦いが終わったって感じがありますね。
のび太もアスランやバカ王子たちの前にちょっと影が薄かった事もあったけど
立派に主役の締めを果たしてくれました。

133 :作者の都合により名無しです:2006/12/25(月) 12:33:49 ID:yDKijp+N0
次の新桃にもプリムラ登場!

無理かw

134 :作者の都合により名無しです:2006/12/25(月) 16:13:28 ID:fHNzldtH0
サマサ氏乙。
映画版をイメージしてるだけあって、
のびたが随分大人っぽい問答してるな、西東と。
もう少しだけ、がんばって下さい。

135 :作者の都合により名無しです:2006/12/26(火) 08:09:56 ID:lXhth/110
年末はさすがにみんな忙しいか

136 :作者の都合により名無しです:2006/12/27(水) 08:16:05 ID:ZcxXHh4H0
休みに入ったらまた来るんじゃない?
バキスレの職人は勤め人が多いし

137 :邪神?:2006/12/27(水) 13:07:19 ID:wdbHrAaU0
お久しぶりな邪神?です。(0w0)
長い間カメンライダーを見過ごしていたので現在のストーリーが分かりませんorz
そしてクリスマスにパソコンを買ってもらえる事になってたんですが
急にダメとか言い出しましたのでまだまだ続行不能な状態が続きそうです。
お年玉はPS3に使いたかったんですがね・・・。
高三にもなってお年玉貰うなとか言うな!(#0w0)
親に貸した4万帰ってきてないのにお年玉貰わずしてどうしろっちゅうねん!
そしてお年玉で足りなかったら更に更に延期になります。
久々のカキコなのにこんなしょうもない報告で申し訳ありません・・・。
それでは、ごきげんYO・・・・。(0w0)ノシ

138 :作者の都合により名無しです:2006/12/27(水) 13:18:59 ID:+Dn90vQB0
なんにせよ邪神さん元気そうで何より
受験うまくいくといいな

139 :作者の都合により名無しです:2006/12/27(水) 20:34:09 ID:16W2m18/0
>>137
話の中の6割を占めるライダーが死んだ。
残りの4割の兄弟ラーダーは生きてる。

140 :作者の都合により名無しです:2006/12/27(水) 23:58:11 ID:0e4SUzzsO
ぼっちゃま…

141 :作者の都合により名無しです:2006/12/28(木) 14:17:26 ID:1vhIxlmX0
そろそろ誰か濃い!

142 :作者の都合により名無しです:2006/12/29(金) 03:19:55 ID:sDWLUo6WO
書きたいネタはあるが暇がないorz
年末年始も仕事がある社会人物書きってどのぐらいいるよ?

143 :作者の都合により名無しです:2006/12/29(金) 04:09:11 ID:MUzWeTLz0
年末年始も仕事ですか
大変だなあ。

144 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:26:09 ID:JJGCdE8p0
第009話 「例えばどんな風に悲しみを越えてきたの?」

ヴィクトリアは苛立たしげなためいきをつくと、ベッドに身を沈めた。
セーラー服のままなのは、あいにくパジャマなどというしゃれた衣服は持ってきていないからだ。
着のみ着のままこの街へやってきた。そして期せずして寄宿舎にいる。
黒いハイサイソックスを履いた幼い足を短いスカートか無遠慮に投げ出し、天井を睨む。
とかく苛立っている。
が、怒鳴ったり泣き喚いたりする激しさはない。
そういう感情は100年分の鬱屈に押しつぶされ、化石の硬直で奥底に追いやられている。
例えばどんな風に悲しみを超えていけばいいか、本当に少女だった頃から分からない。
学べなかった、という方が正確だろうか。
自分とわずかでも似た境涯の者と出逢えていたのなら、もっと違った人生だっただろう。
だが、100年という人一人の一生分の歳月でそれはなく、やがて母を失った。
港町を見下ろす小高い丘。そこに建つニュートンアップル女学院。
その屋根の上でちりゆく母の姿へ、涙は出なかった。
ただ、疲れた。
老女のように枯れてねじくれた精神から一絞りの何かが消えうせて、ただ疲れている。
その精神で過ごすのは、独りでただ自壊を待つだけの絶望的な期間。
闇に鎖された建物で血の通じた肉をかじり、開きもしない扉を永遠に見つめ続けるような。
母を失った後の人生に覚えたのは、そんな想像するだに億劫な意味。
だがその時。
一人の男が目の前に現われた。

気に入らない

初対面の印象は、他のあらゆるものに対するのと変わらなかった。

早坂秋水。
姿を見たときから一種のキナ臭さと、嫌いな匂いを感じていた。
何故なら出逢った場所は半ば男子禁制の女学院。
そこにわざわざ侵入し、自分を訪ねる者といえば察しはつく。

145 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:27:17 ID:JJGCdE8p0
錬金の戦士。
名前の次にされた自己紹介に、ヴィクトリアは「フン」と鼻白んだ。
更に彼は元・信奉者であるコトを明かしたが、心情は別に和らがない。
むしろそういう境涯の者をわざわざ差し向けて、いかにも闇の世界の住民を手厚く加護して
いるように見せる戦団の姿勢が腹立たしい。
「違う。ここに来たのは俺の意思だ」
「そう言うしかないでしょうね」
氷のような眼差しを差し向けると、折り目正しい学生服の美青年はパンフレットを取り出した。
「単刀直入に言う。君にこの学校へ来て欲しい。俺が言えた義理ではないが、いい学校だ」

少し面食らったが、ヴィクトリアはすかさず棘含みの指摘をくり出した。
ホムンクルスにとって学校はエサ場。そこを守るべき戦士が間口を開けている。
それが矛盾でなければ何なのか。何を目論んでいるのか。と。
「目論みはない。君が人を殺すとはどうしても思えないから誘っている」
話にならない、という風にヴィクトリアは肩をすくめた。
信じる。すがる。夢を見る。
そんな行為なら、100年前から散々してきた。
戦団にホムンクルスへと変えられたその時から。
ごく平凡で幸福な家庭を打ち壊された時から。
現実にそぐわない夢想を幾万回も繰り返し、そのつど絶望してきた。
信じる。すがる。夢を見る。
それらの無意味を辛酸の中で知り尽くした自分に、今さら信頼めいた言葉を投げかけれら
れた所で何も変わらない。変わるはずがないだろう。ヴィクトリアは頑なに信じていた。
だが凍えた眼差しの先、秋水は口を開いた。
「君は俺が見てきたホムンクルスたちとは違う」
秀麗な顔立ちにじっと見据えられて、表情が微かに揺れるのを感じた。
思えば誰かに真正面から見られたコトなど久しくない。
「馬鹿馬鹿しいわね。根拠もないのに」
「根拠ならある」
「何よ」
「君の目だ」
この後、がらんどうの礼拝堂によく透った声を、ヴィクトリアはなかなか忘れるコトができなかった。

146 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:28:18 ID:JJGCdE8p0
「冷えてはいるが、濁ってはいない」
目、という言葉にヴィクトリアはついつい目の前の青年のそれを見てしまった。
水のようにきらびやかで刃物のように玲瓏で、澄んでいながら一分の翳を宿す瞳。
それはどこか孤独で、自分と同じ境涯の色に染まっていて。
けれどもけして諦観に負けない強さを秘めていて。
例えばどんな風に悲しみを越えてきたの?
合わせた視線のなか思いがあふれた。
まったく突拍子もない思いと、興味が。
されどその対象は憎むべき戦士であり、ヴィクトリアは自らを抑えるのに少し苦労した。
どうしてこの早坂秋水という男は、ホムンクルスたる彼女に向かいあってくるのか。
戦士ならば化物を始末するのは当然だろう。
そう思ったからこそヴィクトリアは100年以上、母を守るように地下深くで過ごしてきた。
されど秋水は、人喰いという禁忌の話題を避けるわけでもなく、ヴィクトリアを責める材料に
する訳でもなく、ただ真剣に話をしようとしていた。
「それに、君は知らないだろうが、世界には他人の子供の為に身を削る母親だっている」
いったい誰のコトを指しているのかなどヴィクトリアには見当がつかなかった。
それが早坂真由美という、秋水や桜花を誘拐して育てた女性のコトだとは。
彼女は女手一つで幼い姉弟を養うべく過酷な労働に身をやつし、そして過労死を遂げた。
その姿勢は、あっけなく秋水たちを見捨てた実母に比較すればどうだろう。
秋水の口調の真剣さは到底横槍を入れられる物ではなかった。
「まして、実の母親が娘を飢えさせて平気でいられるとも、人喰いを黙認できるとも、俺には
どうしても思えない。だから君が命をつないできた手段が何か、見当をつけている」
小さな肩が密かに震えたのは、何か核心めいた物に触れられたからか。
いや、事実ヴィクトリアは地下に潜ってからの100年間、母アレキサンドリアのクローンの、「出
来損ない」にあたる部分を食べて命を繋いできた。
ヴィクトリアの特技といえば毒舌ぐらいしかないように思えるが、のちに蝶野爆爵の曾孫と結
託し、彼の部下を人格や記憶を保ったまま再生するのを見れば、クローン技術も特技の範疇
に含めてもいいだろう。

147 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:29:03 ID:JJGCdE8p0
さらに、通常のクローンが記憶や性格までも引き継げず、錬金術とちょっとしたつながりを
持つフランケンシュタインの製造技術ですら、元になった人間をそのまま蘇らすコトができない
──例をとると、雷が嫌いだった内気な少女が、雷を非常に好む快活なフランケンシュタイ
ンになったり──コトを思えば、ヴィクトリアの手腕は在野の錬金術師をはるかに凌いでい
るといっても過言ではない。
千歳の依頼で根来の髪を増殖したコトなどは朝飯前。
そんな飛びぬけた手腕を持つヴィクトリアだが、秋水との会話でつい少女らしい詭弁を吐い
てしまった。
「あらそう。でも戦士のアナタが招いた私が、学校で誰かを殺したらどうなるかしら?」
論議の軸を一種のありえない事象にすりかえて。
「戦団が始末しに来るわよ。身内の不始末にはとても敏感で、化物でもしないような揉み消
し方をする連中だから」
いっていたのはもちろん父のコト。聞くものが聞けば怨嗟含みの皮肉として眉をひそめただろう。
「分かっている。意見の食い違いから仲間を始末しかけた戦士なら見た事がある」
秋水は反論する訳でもなく、ただ静かに言葉を紡いでいた。
「だが君の場合は違う」
食い入るように見据えてくる瞳に、ヴィクトリアはかすかに戸惑った。
瞳から見える境涯の近さへ、毒気をぶつけるのがはばかられた。
毒を吐いても実直に応じてくる姿勢が、母とかぶって見えた。
結局、他に色々な話(例えば寄宿舎の管理人が戦士長とか)をし始めた秋水を強引に追い払うと。
見覚えのある戦士が入れ替わるようにやってきた。

「今日は先客万来ね。望んでいないっていうのに」

ステンドグラスから夕日をうっすらと浴びながら、ヴィクトリアはその戦士─楯山千歳─の要
件を聞き、銀成市への移動を頼むというよりは命令口調で一方的にいってのけると、地下へ
と姿を消した。

地下深くでガラス張りの水槽がぷくぷく泡を立てていた。もはやいない主を寂しがるように。


148 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:30:13 ID:JJGCdE8p0
「もうどこに居ても同じよ。だから気晴らしに行くだけ──…」
セーラー服の上にメタルブラックのマントといういでたちで呟いた通り、それだけのつもりだった。
翌日、千歳に銀成市へ移動した際には防人へ「寄宿舎には住まない」と広言してから適当
に街を歩き、夜は自分の武装錬金で夜露をしのぎ、楽しくもない物見遊山の挙句に寄宿舎
の近くへつい近寄った。
(別に見たいとかそういう訳じゃないわよ。戦士にさっさと話を断りにいくだけ)
転校の話を反故にしたいのならば黙って消えればいいだけだが、なぜかそうせず近寄った。

それからは前述の通り。
L・X・Eの残党と遭遇したところを栴檀香美に助けられ、総角と顔を会わせた後に寄宿舎へ。

(気に入らない)
香美や総角が、である。
前者は妙に人道を弁えた風で、後者はやけに悠然としている。
両者ともホムンクルスだというのに、禍々しい気配が微塵もない。
秋水いうところの「濁っていない」瞳の持ち主で、人喰いとは無縁そうだ。
そして彼らは再びヴィクトリアと会話するコトを望んでいたが……
(誰がアイツらなんかと)
ヴィクトリアは自身がそうであるにも関わらず、ホムンクルスをひどく嫌悪している。
というより、「錬金術」から派生した物ならば錬金の戦士であろうと錬金戦団であろうと、核鉄
も調整体も等しく激しい嫌悪の対象だ。
錬金術のせいで家庭が破壊され、100年の地下生活を余儀なくされれば彼女ならずともそ
うなるのは必然であるだろう。
(気に入らない)
ホムンクルスも戦士も、悪辣であるべきだったのだ。
いや、そうだと思い込みたかっただけかも知れない。
でなければそれらを恨み続けた100年という歳月があまりに空しい期間となってしまうのだから。
だのに香美たちは人当たりが良く、防人もごく普通の転校生への対応をヴィクトリアにしてきた。
(なんでホムンクルスが私を助けるのよ。なんで戦士が私をココに連れてくるのよ)
寝返って枕に顔を埋めながら、ヴィクトリアは叫び出したいほど不愉快になってきた。
されたコトは到底憎むべき事象ではないが、だからこそ憎らしい。
劣悪であるべき存在が、善良なのが気に入らない。

149 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:31:30 ID:/vAZ8Ysg0
(そうよ。……嬉しいわけ、ないでしょ)
考えまいとするが、さっき出会った総角のセリフが気になってくる。

──「悪いが、知らばっくれても分かる。少し父親の面影があるからな。取り繕っていても顔立ち
──ばかりは偽れないものだ。誰でも、な」

(アイツ、パパとどういう関係なのよ。だいたいなんで見覚えが……)
だんだん瞳が暗くなってきた。
(気に入らない)
そうとしか感想を抱けないのも腹立たしい。
過酷で辛苦しかない100年が心情を表す言葉を乏しくしているのが自分でも分かる。
が、ふかふかしたベッドの上で満腹の身をもてあましているうちに、ついつい心地よい眠気が
襲来し、いつしか彼女は寝入ってしまった。

遠い遠い記憶の中、風にたなびく一面の草原。
崩れかけた家の中で、目覚めぬ母を前に泣きじゃくる幼い自分。
夢を見ている。そう夢の中で気付くのは明晰夢というが、覚醒は選択しない。
たとえ夢の中でも母の姿が見れるのならば、永遠に醒めなくてもいい。
ヴィクトリアが思っていると、部屋の戸が開いた。
入ってきたのはあまり馴染みのない顔。
長い金髪で碧眼の、すらりと鼻筋が通った生真面目そうな男性。
(え?)
幼い自分も夢を見ている自分も同時に息を呑んだ。
前者は不意の来訪者に身を固くしただけだが、後者は違う。
(この顔……アイツと一緒……)
総角を思い出す。ただ、この来訪者の方はやや老けている。
総角が17〜8とすれば、こちらは20代後半。
だからこそヴィクトリアは唖然とする。

──この顔と同じ奴を見たコトはないか? もうちょっと老けてると思うが

寄宿舎の近くで聞いた総角の台詞と見事に合致している。

150 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:32:14 ID:/vAZ8Ysg0
少なくても彼はこの来訪者について何かを知っている。
何となくだった見覚えが、この夢のせいでハッキリとした輪郭を帯びていく。

「いいかいヴィクトリア。これから教えるコトはいまの君にはとても難しいと思うけど、頑張って
覚えるんだ。この技術を君のママに教えたのは俺だから、頑張れば君だってちゃんとでき
るようになる。いいかい。君は人間でいたいな? いたい筈だ」

来訪者が屈みこんで諭すように喋ると、幼いヴィクトリアは泣きながらこくりと頷いた。

「……よし。いいコだ。だが俺はここにそう長くはいられない。短い授業になってしまうが、
だからこそしっかりと覚えるんだ。いつか、いつかきっとこの技術が、君や周りの人間を
助ける手がかりになる。そう信じて正しく使ってほしい。……この、クローンの技術を」

幼いヴィクトリアはいやいやをした。来訪者にずっと傍に居てほしいとぐずっているのだろう。

「それはできない。俺も錬金戦団から追われる身だ。だが、いつまでも追われるつもりはない。
どれだけの星霜を経ようとも、奴らだけは必ず滅ぼす。奴らの総ては必ず滅ぼさなくてはな
らない。そうしない限り、たとえ君の父をここに取り戻しても……」

来訪者の目が狂気に染まった。それまではどこか中世的な優しい面持ちだった彼の頬は
限りない失意と怒りに引きつり、ドス黒い闇を宿した瞳が彼方を睨む。

「回り続ける。轍で結ばれし輪は断たるる事なく、永劫に」

胸で淡く輝き服を透過する光の形は、章印。ホムンクルスの証だ。
それに照らされ、認識票が首に掛かっているのが見えた。
一般に夢の中では文字を読めないというが、ヴィクトリアは読んだ。

「MELSTEEN=BLADE (メルスティーン=ブレイド)」

それが来訪者の名前らしいと気づく頃に、ヴィクトリアの夢は醒めた。


151 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:32:54 ID:/vAZ8Ysg0
窓から差し込むまばゆい光を浴びながら、ベッドの上で身を起こす。
例えば老人が幼少を夢見たとすれば、老化した脳細胞のせいでほとんど判然としないだろう。
だが不老不死ゆえに夢は鮮明で、それだけにヴィクトリアは分からなくなってきた。
総角と来訪者の関係、そして来訪者と自分の関係。
重大なコトを忘れている。
すっきりしない目覚めでヴィクトリアは朝を迎えた。

8月30日。

ヴィクトリアがまどろんでいるうちに秋水と桜花は寄宿舎への移住を完了した。
彼らが世界への無関心ゆえに必要最小限の家財道具しか持たなかったコトと、瞬間移動能
力を持つ千歳がいたおかげで、移設自体は30分とかからなかった。
まず桜花や秋水の部屋に千歳が飛ぶ。家財道具に触れる。寄宿舎の一室に飛ぶ。
だいたい5〜6回も繰り返したあと、秋水たちはあてがわれた部屋に家具を設置した。
そして朝、である。

長身が寄宿舎の廊下を姿勢よく歩んでいく。
すれ違った生徒は一瞬「え!?」と目をむいたが、男子生徒は手近な生徒にヒソヒソ事情を
聞き、女子生徒はぽーっと見とれるのであまり騒ぎにはならない。
もちろん彼はそれに気付かず、物思いにふけっている。
秋水は防人から渡された紙を見るのに忙しい。
(……寄宿舎見取り図。警護のための必要資料)
それを見ながら実地を歩きつつ、ヴィクトリアの部屋を目指している。
昨日、ごたごたしている所へ予想より早く彼女がやってきたから、碌に話すコトができなかった。
(せめてこれを使って案内ぐらいはしないと)
ヴィクトリアを銀成学園へ誘った自身の責務は、まだそれ位しか果たせない。
戦士陣営が倒すべき敵やるべきコトは非常に多い。
L・X・E残党を全滅させる任務は斗貴子が引き継いでいるがまだまだ山積み。
昨日寄宿舎近くで逆向凱を辛うじて退けたといっても、また襲撃を受けた時に上手くいくとは
かぎらない。
また、かつて死んだはずの彼を蘇らせた『もう1つの調整体』は、廃棄版だという。
にもかかわらず、一度は総角を退けて秋水に苦戦を強いたコトを思えば、正式版をけして

152 :永遠の扉:2006/12/29(金) 07:33:42 ID:/vAZ8Ysg0
ホムンクルスの手に渡してはならないというのは自明の理だ。
その正式版を手に入れるためには6つの割符が必要であり、うち1つは防人が管理している。
残りは5つ。こちらは千歳や桜花が捜索する手はずだ。
(もっとも秋水たちは知らないが、すでに残り5つは総角とその部下の手中へ落ちている)
本来なら秋水も寄宿舎警護に全力を裂くべきだが、ヴィクトリアに対してどうしても何かをして
やりたい。
幸か不幸か、秋水は寄宿舎に住むコトになった。
支援体制を保つためにヴィクトリアの傍へいるのは、つまり同時にホムンクルスである彼女
の動向監視にもなり、本来の任務を果たせる。
そういう都合のいい割り切りをしている訳ではなく、ただ漠然とヴィクトリアに協力したい。
カズキのように体当たりでヴィクトリアを説得できないとは分かっている。
けれども。
太平洋上で聞いてしまった。
彼女の父・ヴィクターの叫びを。
年端もいかない娘を戦団の手によってホムンクルスへと変えられた悲劇を。

自らの望まぬ形で闇に閉じ込められ、誰の助けも望めなかった。
そして最愛の者をずっと守り続けてきた。

要素だけを抜き出せば、防人たちがいうように前歴はあまりに似ている。
(君は姉さんや俺と同じなんだ。だから放っておきたくは──…)
「え? ええ? なんで? どーして秋水先輩がココに? もしかしてお泊り?」
小鳥のように可愛らしい声に、秋水は反射的に目をあげてしまった。
まひろが目を白黒させている。
見ればそこは廊下のT字路で、向うから来たまひろとばったり遭遇したらしい。

153 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2006/12/29(金) 07:34:34 ID:/vAZ8Ysg0
投票してくださった方、ありがとうございます! (ハイデッカさんには恐縮です)
よもやああいうスレがあろうとは。言動はつつしまねば。
けっこう俗物ですので投票経過をちらちら見てましたw 
一番嬉しかったのはまひろが賞を頂いたコトですが、小札に票があったのも地味に嬉しく。
色々と試行錯誤の末に生み出したキャラなので。
来年もご期待に沿えるよう、精進します。

>>73さん
あのあたり、迂闊にいじるのは一原作ファンとして、原作そのまま描くのはSS描きとして
抵抗があったので、+αはあまり本筋に関係ないアパートの住民だけにしております。
ホントは腐ってく真由美さんの描写に15行ほど裂きたかったんですが、やっちゃダメですよね。

>>74さん
こういう光のなさはひょっとすると、カマイタチさんの影響かも。あと無限回廊でよくある
犯罪経過の描写とか。やはり闇があってこそ光が引き立つので、前回はなかなかの手応え。
和月作品でいう「墨絵」みたいな独自技法が欲しいので、今後も色々試せたらいいなぁと思っとります。

>>75さん
実は他のアニメはプリキュアぐらい(あくまで敵目当てです。咲舞よりゴーヤーン可愛い)しか見てないの
で、比較はできませんが……出来栄えには大満足! 秋水との殺陣とか正に蝶サイコー!
まひろの艶っぽさは異常。最初ハルヒ声だったのがだんだんまひろそのものになってて良い感じ。

154 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2006/12/29(金) 07:35:35 ID:PVTFmAyh0
ふら〜りさん
実は前回を描くきっかけというのがふら〜りさんのレスだったりします。「錬金は未読」とのコト
でしたので、なるべくそういう方にも伝わるように、とガラにもない配慮をついつい。秋水のバック
ボーンを描かないと、今後の軸となる彼の行動原理が未読の方に分かりづらくなってしまいますので。

さいさん
>WHEN THE MAN COMES AROUND
インヴィジブルサンの語感の良さに痺れました。で、ウィンストンはひょっとして、照星のボツ
案(人の良い下町のあんちゃん)が入ってるのかも。そうでなくてもヘルシング風味が入って
るのが良いです。細い煙は一体? それと変な所に感心してしまったのですが
>オーク材で出来た頑丈なテーブルの脚がギシリと悲鳴を上げる。
オーク材のような洋風チックなディティールは自分には描けないので、「さいさんスゴい!」と。

ありがとうございます。(本当に色々と) 爆爵パートはもう完全に趣味ですねw あの屈折ぶり
とかヴィクターの敬意とかが好きで好きで。ただ、次回ぐらいに現代へ時系列が移ってしまうの
で、日露戦争後の日本の描写をもっと増やすべきだったと…… 次は盟主+研究者の要素から爆爵を描きます。

155 :作者の都合により名無しです:2006/12/29(金) 18:41:06 ID:QIjofmsN0
お疲れ様です。今回はヴィクトリア主役の会でしたね。
この作品はさまざまな視点から楽しませてくれますので
飽きなくスイスイ読めるから大好きです。
来年も、絶好調モードでお願いしますね!

156 :『絶対、大丈夫』:2006/12/29(金) 19:19:51 ID:RIuNJ0St0
        第二話<それは、未来への不安なの>

前回より少し前のお話。


「おじゃまします、小狼君。」
「ああ、いらっしゃい。」
さくらが、小狼が日本で活動する際の拠点としている、マンションにやってきた。
別に来るのは初めてではないが、二人きりというのは初めてである。なんせ、いつだっけか
ここに来たときには、当時小学生だった小狼の付添い人である、衛(ウェイ)がいた。
しかし、今は完全に二人きりである。
好きな人と一緒にいられるということは、きっと人間として一番幸せなのだろう。とてもにこ
やかな顔で、さくらは靴を脱いで、短い廊下を歩き、そのままリビングに入った。
ちょうど部屋の真ん中にテーブルがあり、そしてその付近にはソファ、そしてちょっと離
れた隅っこの方にテレビが置いてある……という感じの部屋は、綺麗さっぱり整理整
頓されており、埃一つないように思われる。ていうか、絶対にないと思う。


157 :『絶対、大丈夫』:2006/12/29(金) 19:21:45 ID:RIuNJ0St0
しかし────息を吸うたびに感じる、この暖かい感じは────
「とりあえず、そこに座ってくれ。」
と、座布団を指差す、少年の匂いだった。
「……うん。」
と答えながらさくらは、小狼に指されたとおりの座布団に、行儀よく正座した(ちなみに、
小狼はあぐらをかいて座っている)。
二人の位置関係は、テーブルを挟んで反対……つまり、顔を合わせているということで
ある。そのことに気づいた途端、座布団の場所を勧めた小狼も、それに従ったさくらも
まるで完熟トマトのごとく、真っ赤になった。
「あ……その……」
「あ、ああ……な、なんだ?」
「え、ええと……」
二人とも、会話を切り出そうとはしているのだが、しかし結局は何も言えないまま、時間
が過ぎていく。

こんな、微笑ましい、純情なカップルの恥ずかしくも幸せな時間は、いとも簡単に崩れ去
った。

突如、緑色の光の弾丸が、飛んできた。
小狼の部屋のバルコニーの窓を突き破り、そのままさくらへ当たる────前に、
「危ない!」
「!?」
小狼が、動いていた。
緑色の弾丸から、さくらを守る盾のように、彼女の体を抱き寄せる。
その直後に、鮮血が舞った。
突然の事態に流されるままだったさくらも、そこでようやく何が起きたかを理解した。
「────小狼君!?」
「───っ!!」


158 :『絶対、大丈夫』:2006/12/29(金) 19:24:23 ID:RIuNJ0St0
素人のさくらから見ても明らかに重傷を負いながらも、小狼は自分を貫いた緑色の光の
弾丸が飛んできた、窓の外を睨み付けた。そして、半狂乱になっているさくらに「壁の後
ろに隠れろ」と言って、自分は窓の向こうを睨んだまま、動かない。
「小狼君……」
パニックに陥りながらも、なんとかさくらは小狼の言葉に従い、言われたままに壁の後ろ
へと隠れていた。このような状況では、間違いなく自分よりも彼の方が対応できるという
ことはよく知っていたからだ。
バルコニーに、二つの足音が響く。その直後、声が聞こえてきた。
「ふうん……君が、あのクロウ=リードの後継者───いや、こっちは血縁者か。」
「………あなたと、あなたの大切な存在である……クロウ=リードの後継者は、私たち
についてきてもらいます。もちろん、反論はさせませんよ。」
どうやら、一人の少年と、少女の声らしかったが───やけに、機械的で、感情のこも
っていない声だった。
「誰が、お前たちに……」
臨戦態勢をとった小狼が、言いかけた、その時────
「文句は言わせないと、言ったはずですよ」
少女の声が響くと同時に、緑色の光の濁流が、小狼の体を、そして彼の部屋を包み
込み、とにかく破壊した。その濁流にぶっ飛ばされた小狼は、かろうじて破壊されなかっ
た壁に激突し、そのままもたれかかった。
「小狼君!!」
思わず叫びながら、さくらは壁にもたれかかる小狼のもとへかけつける。そして、その時
に、目に入った。バルコニーに立っている、緑色の髪と瞳の少女と、黒い髪と眼をした
少年を────



159 :『絶対、大丈夫』:2006/12/29(金) 19:29:43 ID:RIuNJ0St0
それから時間は多少流れる。



かなりの広さを持った、畳敷きの部屋。
そこに、さくらと小狼のふたりは、紅天元秀一、蒼地竜刹木……そして高町なのはの
三人と向かい合う形で、ちゃぶ台のすぐそばにある座布団に座っている。
最初に発言したのは、小狼だった。
「……いったい、あの二人は誰なんだ?何故俺たちを狙ってきた?」
それは、さくらも聞きたいと思っていた、質問。
秀一は、それに静かに、茶を啜りながら答えた。
「……あれが誰かは、俺たちにもわかっていない。」
「…………?」
思ってもいない答えに、小狼とさくらは口を開きかけたが、しかし結局何も言わなかった。
「……ただ、目的だけはわかっている。」
「………それって、いったいなんなんですか?」
不安そうな顔で聞くさくらに、秀一はできるだけ───とはいっても先ほどと対して変
わっていないが───柔らかめの口調で、言った。
「……どうやら、あれは、強い魔力を持ったものを狙っているらしい。」
「…………強い、魔力………」
「そうだ。それも、この……今俺たちがいる世界……お前たちが住んでいる世界だけ
ではなく、さまざまな世界でな……」
それを、刹木が続けた。
「ああ……しかも、もう被害者は全員合わせて三桁近くまでのぼってやがる。こりゃ、時
空管理局始まって以来の大量誘拐事件だな。」

160 :『絶対、大丈夫』:2006/12/29(金) 19:33:09 ID:RIuNJ0St0
聞けば、過去になんどか魔術師などの誘拐事件は起きた事はあるらしいが、それらもせ
いぜい被害者は2、3名。多くても10〜20人程度らしい。それを聞けば、この事件の
異常さが、いやでもわかった。しかも、この事件に自分たちも巻き込まれてしまったので
ある。
これからのことで不安になるさくらに、刹木が話しかけた。
「私たちは、この世界までとある魔導師の力を借りるために来て────まあ、そんとき
に偶然君たちがあの二人に襲われているところに遭遇したのさ。」
「………噂には聞いていた、あのクロウ=リードをも凌ぐほどの魔力を持った魔導師だ
からな。保護をしないわけにはいかんだろう。」
刹木の後に続いて秀一はそう言うと、再び茶をすすった。そして、お茶碗を一回ちゃぶ
台の上に置いて、再び口を開く。
「……ところで、木之本桜。」
「は、はい!」
話をふられて、慌てて返事をするさくらであった。
「────明日、君のご家族は、暇かな?」
「え────」
突然、家族の話をされて一瞬混乱したものの、しかしすぐに考える。確か、明日は父親
は出張でおらず、兄の木之本桃矢は────
「お兄ちゃんが、大学のみんなで行ってた旅行から、ちょうど帰ってきます。」
「………ふむ、そうか。」
満足そうに────見えないけれど────頷く秀一。

161 :『絶対、大丈夫』:2006/12/29(金) 19:37:50 ID:RIuNJ0St0
「………そして、君たちも今は冬休みの真っ最中で、しばらく学校はないんだな?」
「は……はい……?」
思いがけない質問に、さくらも小狼も怪訝そうな顔になる。
「一体、なんでそんなことを聞くんだ?」
と、不思議そうに小狼が聞いた。
秀一は、最後の一滴のお茶をすすり終えて、そして一息をついてから答えた。
「……とりあえず、君たちの身柄は、こちらでしばらく保護させてもらう。家族の暇につい
て聞いたのは、そのことを保護者に話すためだ。」

それが、さくらと小狼の身に起きた、なんだか信じられない話である。


麻帆良学園の、学園長室で、
「え、エヴァンジェリンさんが!?」
思わず、耳をふさぎたくなる様な大声で、10歳くらいの少年……ネギ・スプリングフィー
ルドは叫んだ。
それに答えたのは、全身をボロボロにした、まるでロボットのような(というかそのもの)少
女、茶々丸である。
「はい、間違いありません。証拠に、私のレーダーでは、マスターの生命反応を確認す
ることはできません。」
「そんな……」
悲しそうな顔をして、項垂れるネギ。

162 :『絶対、大丈夫』:2006/12/29(金) 19:50:13 ID:RIuNJ0St0
そんな彼の後ろに立っているまさに「ナイスミドル」と表現できる男が、さらに茶々丸に聞
く。
「それは、もしかして赤か、もしくは緑か黒い髪だったかい?」
「……はい。緑と黒は確認できませんでしたが、赤い髪の毛でした……高畑先生。」
その答えを聞いた男……高畑・T・タカミチはさらに自分の後ろに立つ、老人……この
麻帆良学園の学園長に言った。
「……学園長、これは……」
「うむ、間違いないじゃろう……」
頷きながら、学園長は嘆いた。
「………どうやら、時空管理局の言っておった通りのようじゃな。」


自宅に帰ったさくらは、夜中の1時になってもまだ眠れないでいた。
確かに、こんな状況ですぐに眠れるような精神構造をした12歳など、滅多にいないだろ
う。自分のベッドのすぐ下で毛布に包まっている小狼も、どうやら同じようだった。
「……眠れないのか?」
「………うん。」
「そうか………」
それきり、小狼も話しかけてこない。どうやらこれからの事に関して考え込んでいるらし
い。
さくらも、やはり彼と同じように考えていた。
────これから、自分はどうすればいいのだろう。
────これから、自分はどうなるのだろうか。
そんな、答えの出るはずのない疑問を抱えて、さくらの意識は、闇へ落ちていった。


163 :白書 ◆FUFvFSoDeM :2006/12/29(金) 19:57:59 ID:RIuNJ0St0
どうも。前回からちょびっと間が空きました、白書です。
サマサさんの超機神がクライマックス。
この後の展開にわくわくするようで、しかし、まるで好きだったアニメの最終回を
観るときのように寂しくも思います。
最近は、西尾維新の戯言シリーズをコタツに潜りながら読んでます。ただ、新書
は文庫に比べて、高いんだよな〜値段が。
さて、お年玉で全部買うことができるかどうか。すべては親や親戚が、いくら
俺にお年玉をくれるかにかかっている。


164 :作者の都合により名無しです:2006/12/29(金) 20:05:02 ID:QIjofmsN0
白書さんお久しぶり!
このさくらのSSもサマサさんに負けないようによい作品してあげてください!

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